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底地の価格

借地権の付着した土地を「底地」と呼びます。

底地が単体で売りに出されることは滅多にありませんが、何らかの理由で底地の所有者が手放す必要が生じた場合、借地権者がこれを買い取るというケースがままあります。
こんな時、その売買価格は路線価や公示地価を基準に更地価格を求め、これから財産評価基準書(路線価)の借地権割合を乗じて求めた借地権価格差し引いた価格(ここでは「割合法」と呼びます)をもって、底地価格とすることが多いようです。

底地価格=更地価格-(更地価格×借地権割合)

個人間の戸建住宅の敷地等の場合はかなり高い確率でこの計算式で求めた価格で取引されています。

はたして、これは妥当な価格と言えるのでしょうか?

価値や大きさ等、価格に影響を与える要素(価格形成要因)がほとんど同じの二つの土地(土地Aと土地B)があるとします。更地価格を1億円、借地権割合は60%とします。

但し、両者は借地契約の条件に次のような違いがあると想定して下さい。

①A土地は地代が年額1百万円、B土地は地代が年額50万円。
②A土地は借地契約の期限が1年後に迫っており、借地人は契約を更新する意向で、特約により更地価格の5%の更新料を受け取れる予定である。B土地は借地契約の更新をしたばかりである。

割合法で計算した場合、どちらも更地価格1億円、借地権割合60%ですから、

更地価格1億円-(更地価格1億円×借地権割合60%)=底地価格4千万円

となります。

しかし、よく考えてください。みなさん同じ値段だったら、A土地を買いたいと思いませんか?

①は年間地代が倍も違います。

②では、1年後に更地価格の5%(5百万円)の一時金が「もらえる」と「もらえない」で大きな差が生まれます。

この二つの土地が同じ値段などと言うことは決してあり得ないのです。

不動産鑑定評価基準においては、底地の価格を次のように求めるとしています。

「底地の鑑定評価額は、実際支払賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格及び比準価格を関連づけて決定するものとする。 」

底地所有者は、自ら土地を使用収益出来ないことから、底地の経済価値は地代徴収権(その他一時金の徴収権)と借地期間の満了等によって更地に復帰する経済的利益ですから、それらの収益を現在価値に割り戻して求めた価格(収益価格)が最も合理的な価格と言えるでしょう。

この場合においては、さらに次に掲げる事項を総合的に勘案するものと定められています。

(ア)将来における賃料の改定の実現性とその程度
(イ)借地権の態様及び建物の残存耐用年数
(ウ)契約締結の経緯並びに経過した借地期間及び残存期間
(エ)契約に当たって授受された一時金の額及びこれに関する契約条件
(オ)将来見込まれる一時金の額及びこれに関する契約条件
(カ)借地権の取引慣行及び底地の取引利回り
(キ)当該借地権の存する土地に係る更地としての価格又は建付地としての価格

「比準価格を関連付けて決定する」とされていますが、上の(ア)~(キ)までを比較可能な底地の取引事例というのもなかなかありませんので、通常底地の比準価格は規範性が低くなる傾向にあります(そもそも手法の適用自体を省略する場合も見られます)。

いかがでしょう? 不動産鑑定評価基準の底地の評価手法には「借地権割合」という言葉は出て来ていません。

しかし、ご覧の通り底地の評価はなかなか複雑で、評価するのにも手間暇がかかります。そこで、「借地権割合」というわかりやすい基準を設けて、画一的に取り扱おうということなのでしょう。実際に借地権割合に基づく取引が頻繁に行われていることから、これはこれで一つの価格水準として尊重すべきですが、実際の経済価値は借地契約の条件等によって、大きく異なるということを理解する必要があります。

底地の評価には他にもいろいろと注意点がありますが、それはまたいずれ。

Akatsukilogo   

不動産鑑定士 四方田 修

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