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鑑定評価とキャッシュフロー(金利と税金)

不動産取引をする際、いろいろなことを考えながら、最終的に「買う」「買わない」を判断するわけですが、そのなかでは、やはり何と言っても「価格」が大きな要素を占めると思います。

われわれ不動産鑑定士が扱う「価格」とは、その不動産の「経済価値」です。

しかし、実際の市場参加者が気にしているのは、「経済価値」ではなく、「実際にいくらかかるのか?」・・・即ち「キャッシュフロー」です。

たとえば、一般住宅の場合、その不動産の経済価値よりも、頭金がいくら必要で、「ローンは月々いくらづつ返せばよいか?」等を気にします。金利が低ければ、ローンの月々の返済額は少なくて済みますので、より多くの市場参加者が現れ、住宅地の不動産価格の上昇・・・という形で、価格に反映されて来ます。

また、キャッシュフローの観点では、「税金」も大きな要素を占めるはずです。

不動産鑑定の世界では、収益価格や賃料の必要諸経費等を求める際に、「公租公課(固定資産税、都市計画税)」については織り込みますが、その他の税金については、あまり考慮しないのが通常です。建物等を売買すれば消費税が課税されますので、鑑定評価書の鑑定評価額の欄に「但し、消費税は含まない」と注記していますが、これを記載していない鑑定評価書も結構多く見受けます。

私が銀行で働いていた頃、土地・建物の複合不動産の購入資金を融資する際、資金計画表(資金繰表)を作成して、償還能力を分析しましたが、不動産鑑定で用いるDCF表と異なり、そこには、当然のごとく、借入によって発生する金利や法人税等の税金等も考慮されていました。それらも考慮した上で、ちゃんと返済できるような事業計画でないと、返済不能になりかねないわけですから、融資は受けられず、その不動産取引は行われないことになります。

そう考えると、金利や税金を無視して行われた鑑定評価って、果たして意味があるのだろうか?…とも思えてきます。(まあ、今は金利も安いので、価格に与える影響も小さいのかもしれませんが…。) 

ここで厄介なのは、固定資産税や不動産取得税のような税金は、所有者がだれでも同じ金額で課税されるのですが、所得税や法人税といった税金については、所有者の損益に応じて、税率等が異なってきますので、これらを考慮するのは危険です。但し、事業再生に関わるケース(民事再生法の下での特定価格を求める場合等)の様に、所有者の事業計画を前提とした価格を求める場合には、法人税も考慮したキャッシュフローを前提として鑑定評価額を決定するのも「あり」のように思います。(実際、事業は順調なのに、債務免除益による莫大な利益が発生して税金払えないなんていうケースもよくあります。)

いずれにしても、鑑定評価を行うに当たって、金利や税金等、鑑定評価額に含まれない部分についてもある程度知識を持っていないと、鑑定評価書の説得力が弱まるので、日々変わって行く税制を注視しておかないといけませんね。

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不動産鑑定士 四方田 修

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コメント

四方田先生

おつかれさまです。

初めて四方田さんのブログ拝見しましたけどしっかり書かれていますね。

わたしも自社HPを立ち上げたタイミングでブログを始めてみましたので

よかったら、拙いものですが、覗いてやってください。

では、今後ともよろしくお願いします。

P.S.今週末に「不動産戦略アドバイザー」の集合研修に東京に行くのですが、

四方田さんも受講されてますか?もしかして、と思いまして。。

投稿: 梅村(@四日市)です。 | 2011年2月28日 (月) 16時31分

梅村先生

コメントありがとうございます。
BLOG拝見しました。お互い頑張って更新して行きましょう。
3/5の研修は受講しません・・・というか、知りませんでした(恥)。

投稿: あかつき鑑定 | 2011年2月28日 (月) 22時46分

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