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数寄屋橋阪急(モザイク銀座阪急)の立退料は60億円

sukiyaエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングは4日、東京・銀座の銀座TSビル(旧銀座東芝ビル)の建て替えをめぐって、ビルを所有する東急不動産から商業施設「モザイク銀座阪急」(東 京都中央区)の立ち退きを求められていた裁判で和解が成立したと発表しました。

和解の概要は、モザイク銀座阪急の既存テナントとの定期建物賃貸借契約が満了する2012年8月31日をもって東急不動産との間の賃貸借契約を合意のうえ解除し、東急不動産は、明渡完了と引 換えに立退補償金として60億円を支払い、和解成立の日から明渡完了までの賃料等の支払いを免除するというものです。

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同ビルは、東芝の前身である東京電気株式会社が1932年に本社拠点の建設用地として同地に土地を購入し、1934年共同建物株式会社(現東芝不動産)が東芝の前身である東京電気の本社拠点と して建築。1956年には、阪急百貨店が東京2号店として数寄屋橋阪急をオープン。1966(昭和41)年に増築され、現在の姿となります。 1984年には、晴海通りを挟んで向かい側に有楽町マリオンが完成し、有楽町阪急(売場面積 11,206㎡)が開業して隆盛を極めたが、百貨店不況の影響から、2004年からは子会社の阪急商業開 発が「モザイク銀座阪急」を運営してきた。 しかし、2007年に同ビルを1,610億円で取得した東急不動産が築70年以上経過している同ビルの建て替えを理由に立ち退きを提案。2009年に東京地裁に提訴していました。H2Oは「建て替え が必要なほど老朽化はしておらず、正当な立ち退き理由にはならない」と主張していました。

ところで、60億円という立退料は、どうなんでしょうか?

モザイク阪急を運営している阪急商業開発のホームページを見ると、 S造・RC造(銀座TSビルの地下1階から地上4階の一部、延床面積8,122㎡)地下1階~地上4階 店舗面積7,025㎡店舗数/物販・・・38、飲食・・・1、サービス・・・9 合計48店舗(平成21年11月現在) とあります。

60億円を延床面積で割ると、

60億円÷8,122㎡≒74万円/㎡

まあ、引越代としては十二分。

モザイク銀座阪急の営業面積は5,300㎡で、48店のテナントが入居し、10年3月期の売上高は50億円という記事がありました。営業補償としては、売上高の1.2年分に該当します。

家賃と比較してみます。一般的に、駅前等の好立地のファッションビルのテナントの家賃は、歩合制であることが多く、概ね売上高の8~10%と言われています。

仮に10%とすると

50億円×10%=5億円(月額42百万円)

※坪単価:42百万円÷営業面積は5,300㎡×3.3㎡/坪≒26,000円/坪・・・なんか銀座にしては安いな...。

ざっくり家賃の12年分ということになります。

借家権割合を計算してみましょう。

東芝不動産が東急不動産に売却した時のIRによると、同ビルは、鉄骨鉄筋コンクリート造地下4階地上9階、敷地面積 3,766.80㎡(1,139.46坪)、ビル延床面積 40,415.33㎡(12,225.64坪)で す。建物の賃借部分の割合は、 8,1222㎡/40,415.33㎡≒20% 借地権割合が90%なので借地権価格≒更地価格として、ざっくり2007年の取引額に借家権割合30%を乗じると

1,610億円×建物賃借部分割合20%×借家権割合30%≒100億円

これ、借家権割合20%ですと、かなりジャストですね。

実際には、移転費用、営業補償(休業補償等)、借家権相当額(賃料差額の2~5年分や自用の建物及びその敷地と貸家及びその敷地の価格の差額に所要の調整をして求める)等を鑑定して定めるのですが、実際の決め方は正当事由の具備等によって異なるので、一概に判断できません。今回は和解による決着ですし、弁護士の能力や鑑定評価書の説得力も影響してくると思います。

モザイク阪急は、立退きを要求されているにもかかわらず、平成21年にリニューアルしています。一方で、1995年に日本第1号店としてオープンして以来の店子であるファストファッションのGAP(1F,B1Fに入居)は、この2月に晴海通りのはす向かいのビルへ移転しており、比較的すんなり立退きが進むような気がします。先日、行ったら、GAP跡に4月に新店舗がオープンと張り出されていましたが、後1年で閉店するビルに出店する店なんてあるのでしょうか?(笑)

いずれにしても、2007年に東急不動産が立退き~建替計画に着手して足かけ5年…。建替えとは、多大な労力の掛かる大事業ですね。

東急不動産が同建物を取得した際に、SPCに350億円出資し、このSPCが特定事業を対象に融資するノンリコースローンを銀行などから調達し、ビルの買収と建て替えの資金を賄い、建て替えに向けてさらに最大340億円を追加出資すると報道されていました。立退料で既に建て替え資金の内2割近くを吐き出したことになります。地下4階まである建物ですから、取壊し費用もかかりますし、果たして、どんな建物が出来ますやら…。

〈追伸〉

建替え計画は、現時点では、銀座ルールに従い高さ66m地下5階地上11階建て延約5万㎡、東京メトロ銀座駅とを直結する計画で、10月に解体工事に着手、2013年6月に新築着工し、順調に進めば、工期は3年程度となるそうです。

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