« 2011年2月 | トップページ | 2011年4月 »

2011年3月

内陸部の我孫子市で液状化現象

東日本大震災では、津波による被害があまりに甚大なので、影に隠れていますが、地震そのものによる被害もかなり大きな爪痕を残しています。

報道によると千葉県の内陸部にある我孫子市でも118戸の家屋が、液状化現象により全壊したそうです。

液状化現象とは、地殻を形成する砂や土の粒子が、地下水の中を浮遊するような状態になって地盤が流動化する現象です。

液状化現象につきましては、こちらのHPが詳しいです。

地盤と建築基礎(吉見 吉昭 東京工業大学名誉教授)

液状化現象とは?(経済産業省)

今回の震災でも、東京ディズニーリゾートのある浦安市での被害が大きく報道されていましたが、どちらかというと海岸に近い埋め立て地というイメージでした。

天然の陸地が長時間かけて形成されているのに対し、埋立地は人工的に短期間で形成されているため、土壌粒子の間隙が大きく保有水が多く、地震による液状化現象が起きやすいとされています。したがって、おもに河川跡や沼地等の「低湿地」を埋め立てて造成された内陸の埋立地でも原理は同じで、 液状化現象を誘発したものと考えられます。今回大きな被害のあった地域は、かつて利根川の堤防が決壊してできた沼を埋め立てた土地だったそうです。

逆に、昨日、江戸時代に砂洲を埋立てて造られた佃島を歩いたのですが、液状化現象等どこ吹く風、街は平穏そのものでした。長い時間をかけて地盤が安定しているということなんでしょうね。

建築基準法では、埋立地に一定の基準( 埋立から30年未満、埋立地盤厚さ3m以上等)を設けて、より厳しい耐震基準を課しています。しかし、建物の構造計算以前に、地面が液状化して隆起するのですから、余程地中深く基礎を掘り下げていないと、建物の損壊は免れません。また、水道管が破裂したり電柱が倒れたりして断水や停電が起き、地域のライフラインが寸断される等の被害も目立ちました。

土木技術の発展により、一昔前なら「あんな場所に住めるわけがない」というような場所も、綺麗に埋め立てられて、普通に宅地として造成され、分譲されます。一見、日常生活には問題ないように見えて、今回のような大規模な地震や大雨などが降ると、一転してリスクが表立ってきます。

不動産鑑定評価を行う際、古い住宅地図などで地歴調査を行うのですが、数年前、数十年前に評価対象土地がどのような形質であったかは、今後よりいっそう重要なファクターになっていくことでしょう。NHKの人気番組「ブラタモリ」のように、より深く地面と対話するようにしないといけませんね。

【参考】

建築基準法に関する建設省告示(昭和55年11月27日建告第1793号)による「第三種地盤」

「腐葉土、泥土その他これらに類するもので大部分が構成されている沖積層(盛土がある場合においてはこれを含む。)で、その深さがおおむね30m以上のもの、沼沢、泥海等を埋め立てた地盤の深さがおおむね3m以上であり、かつ、これらで埋め立てられてからおおむね30年経過していないもの又は地盤周期等についての調査若しくは研究の結果に基づき、これらと同程度の地盤周期を有すると認められるもの」

【関連記事】

東京都液状化地図

東日本大震災が不動産投資市場に与える影響(自然災害)

被災地の評価

姉妹都市「共助の時代」

陥没

Akatsukilogo

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

不動産鑑定士 四方田 修

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

ランキングにご協力お願いします。
クリック
↓↓↓↓

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

| | コメント (0) | トラックバック (0)

融資審査の三要素に、「担保」なし

「融資の三要素って、知ってる? 『使途』、『金額』、『償還能力』・・・。 『担保』は入ってないんだよ・・・」

かれこれ20年近く前の話ですが、私はまだ新米銀行員だった頃、当時の支店長が、「役員から質問されたんだけど、答えられなくってさぁ…」と、誰に聞かせるでもなくつぶやいた一言でした。

さりげなく、周りにいた若手に聞かせているのではないか・・・と、ずっと胸に焼き付いていました。

私が社会に出たのはすでにバブル崩壊寸前の頃で、融資判断は「担保の有無」という風潮が強かったのですが、古い融資の稟議書(昭和60年前後が転換期でしょうか?)をめくると、先にあげた融資の三要素を中心としたフォーマットでかかれていました。まだ、銀行の審査が厳しかったころの話です。

この三要素を厳格に審査すると、融資されたお金は、百パーセント事業に有効に活用され、そして返済されるはずです。ですから、貸し手にとって最後の砦である「担保」はあまり重要な要素ではありません。

もちろん、これをすべて厳格に適用すると、融資を受けられない会社も出てくることになりますので、多少融通を利かせる必要があると思いますが、三要素のいずれかを満たせない場合は、充足できるようにアドバイス(経営指導等)していくというのが本来の金融機関のあり方だと思います。

東日本の震災は、日本経済に大きな打撃を与えました。津波による物理的な損傷だけでなく、マクロ的な経済への影響により、担保となる不動産の価値の下落が予想されますが、担保価値の変動に合わせて、貸し渋りや回収の促進が行われることがないよう、金融機関の基本に立ち返った対応を期待するところです。

【関連記事】

事業再生ADR

Logo2

不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

| | コメント (0) | トラックバック (0)

鑑定評価における「重要な後発事象」の扱い

震災から1週間経ちました。

あらためて、震災で犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災地の皆様がいち早く元の生活に戻れるよう、願っています。

我々被災地の外にいるものは、難の手助けも出来ずもどかしい日々ですが、しっかりと平常時の経済活動に勤しむのが、復興への確かな足掛かりになるものと信じております。

Img_0087

昨日発表された平成23年度地価公示には、震災による地価への影響についてコメントが付されていました。

不動産鑑定評価基準の留意事項に、「また、時の経過により対象不動産及びその近隣地域等が価格時点から鑑定評価を行う時点までの間に変化している場合もあるので、このような事情変更のある場合の価格時点における対象不動産の確認等については、価格時点に近い時点の確認資料等をできる限り収集し、それを基礎に判断すべきである。」という記載はあるものの、その後の価格形成要因の変化について注記することを義務付けてはいません。

会計の世界では、「決算日後、貸借対照表を作成する日までの期間に発生した事象で、次期以後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすもの」について、「後発事象」と呼び、重要なものについては、開示することを要求しています。

【企業会計原則】 注解1-3、重要な後発事象の開示について

財務諸表には、損益計算書及び貸借対照表を作成する日までに発生した重要な後発事象を注記しなければならない。

後発事象とは、貸借対照表日後に発生した事象で、次期以後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすものをいう。

重要な後発事象を注記事項として開示することは、当該企業の将来の財政状態及び経営成績を理解するための補足情報として有用である。

重要な後発事象の例としては、次のようなものがある。
イ 火災、出水等による重大な損害の発生
ロ 多額の増資又は減資及び多額の社債の発行又は繰上償還
ハ 会社の合併、重要な営業の譲渡又は譲受
ニ 重要な係争事件の発生又は解決
ホ 主要な取引先の倒産

ゴーイングコンサーン(継続企業の原則)の会計の世界とは、事情が異なりますが、不動産鑑定の世界でも、依頼目的に応じて、価格時点に後に起きた「重要な後発事象」について注記し、場合によっては、その動向についてコメントするようにした方がいいかもしれませんね。

【関連記事】

被災地の評価

「全壊建物及びその敷地」という類型(罹災都市借地借家臨時処理法)

東日本大震災が不動産投資市場に与える影響(自然災害)

賃貸等不動産の価格調査における東日本大震災の影響に関する評価上の取扱い

Akatsukilogo

不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

| | コメント (1) | トラックバック (0)

【平成23年地価公示】地価下落、都心部は歯止め

国土交通省は17日、平成23年1月1日時点の公示地価を発表しました。

全国平均は住宅地が前年比▲2.7%、商業地が▲3.8%と、3年連続で下落しましたが、リーマン・ショック以降、初めて下落幅が縮小しました。

住宅ローン減税・低金利・贈与税非課税枠拡大等の政策効果や住宅の値頃感の醸成により、マンション販売が復調、大都市圏を中心に上昇・横ばい地点も増加しました。

地価の上昇率が最も大きかったのは、マンション用地の需要が高い名古屋市中区正木3丁目の商業地で+30.4%。1㎡当たりの最高価格は、東京都中央区銀座4丁目の山野楽器銀座本店の27,600,000円。前年比▲2.8%と下落しながらも、5年連続でトップとなった。

今回の地価公示では、「東京圏の沿線別駅周辺住宅地の公示価格例」のように、沿線別の代表的な公示価格を図示する等、新たな試みも見られ、国民の皆様にとってより使いやすいものになっていると思います。

11l

また、「分科会等で検討した地価公示価格形成要因の概要」のように、各圏域ごとに地価動向について、具体的な分析を加えているところも注目です。

http://tochi.mlit.go.jp/chika/kouji/2011/pdf/01.pdf

一方で、発表の直前に東日本大震災が発生し、今後の地価は大幅な変動が避けられない情勢であり、今後の動向が注視されます。

国交省は「震災復興の過程で、公共事業用地の取引が行われることが考えられ、価格算定の基準が必要」と判断して、例年通り公表したとのこと。

国交省のホームページには、「なお、平成23年3月11日に発生した平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震により被害を受けた地域にある標準地については、当該震災により標準地の利用の現況、標準地の周辺の土地の利用の現況等が変わっているものもあります。したがって、地価公示の価格等を利用する際には、当該震災の前後で価格等が変化している標準地があることに留意して下さい。」とのコメントが付されており、被害の大きさをうかがわせる地価公示となってしまった。

この国家の非常時の中、関係者の方々はギリギリの判断を迫られたと思いますが、なんとか発表にこぎつけた地価公示が、有効に活用されることを願います。

【関連記事】

芦屋市の景観保全と地価動向

鑑定評価における「重要な後発事象」の扱い

プロミス大手町本社ビル売却(売却益300億円!)

数寄屋橋阪急(モザイク銀座阪急)の立退料は60億円

「あるべき価格」と「ある価格」

国有地を定期借地方式で再開発

Akatsukilogo_2

不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

| | コメント (0) | トラックバック (0)

みんなで分け合えば出来ること

食品、日用品の買いすぎを控えください。分けあう気持ちを大切に。

258630946_3

Akatsukilogo_2

不動産鑑定士 四方田 修 http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

| | コメント (0) | トラックバック (0)

プロミス大手町本社ビル売却(売却益300億円!)

消費者金融大手のプロミスは11日、東京・大手町にある本社ビル「大手町パルビル」を14日付で売却すると発表しました。

譲渡額は約720億円で、取得するのは同じ街区に本社を置く三井物産と三井不動産で共有持ち分とします。プロミスは2004年に約420億円で土地と建物を取得したので、7年間で300億円余りの譲渡益を得ることになります。
売却により手元資金を厚くして、過去に払いすぎた利息(過払い金)を巡る顧客からの返還請求に備えるのが目的ということです。

プロミスと言えば、2004年に三井住友フィナンシャルグループとの戦略的提携を発表し、同行は20%を超える筆頭株主です。提携当時、バブル崩壊で収益力向上が課題だった都市銀行は、高金利で高収益の消費者金融との提携関係を強めたものの、2006年の最高裁判決で、利息制限法の上限金利(15%~20%)を超えた「グレーゾーン金利」の有効性を大幅に狭める判断をしたのを転機として、過払い金返還請求に備えるための引当金負担が重くのしかかり、経営を圧迫していました。今年に入って、SMBCは同社への支援継続を表明し、その直後の売却発表で、譲渡先が三井グループの老舗ということで、経営支援的な意味合いも強いのかもしれません。

下のグラフは、大手町パルビルの近隣にある基準地(千代田5-24)の価格推移ですが、2003年頃を底に証券化バブルに乗って一気に地価上昇して2008年にピークを迎え、リーマンショック後、2年連続下落しています。2004年の取得額420億円をこの増減率にて時点修正(概算)すると、2010年の価格は約560億円ですので、三井二社の取得額(720億円)がいかに太っ腹な価格かがわかります。もちろん、高く買うことで、過払い金返還請求に広く対応できるようになりますから、称賛されるべきことです。

524_2

もちろん、三井物産も三井不動産も株式会社ですので、無駄に高く買うことは株主が許しません。三井にとっては隣接地ですので、価値の増分が見込めるということで、ちゃんと数字が合う鑑定評価書を取っているはずです。

この規模の不動産の売買になりますと、単なる相場感だけでなく、投資家や利害関係者に対する説明責任が求められるので、必ず裏付けのある価格です。しかし、逆に言うと、市場の相場感とは異なるところで意思決定がなされますので、安易に取引事例として採用するのも注意が必要です。

三井物産によると、取得後もプロミス本社として賃貸する予定ですが、北側の街区は区画整理事業で開発が促進されている地域なので、近いうちに大規模な開発が行われるかもしれませんね。

【追記】

↓下のURLの資料13頁に、新規プロジェクトとして、隣接する大手町一丁目三井ビルディングが掲載されています。開発計画の内容は未定となっていますが、動き始めているようですね。

http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/ir/presentation/pdf/project1204.pdf

関連記事

数寄屋橋阪急(モザイク銀座阪急)の立退料は60億円

国有地を定期借地方式で再開発


Akatsukilogo

不動産鑑定士 四方田 修 http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

| | コメント (0) | トラックバック (0)

創造都市(菅総理は“ダメ”で、ベルルスコーニ首相は“アリ”な理由?)

我が国の政治は足の引っ張り合いの様相ですが、遠くイタリアでは、我が国の宰相の数万倍の疑惑を国民に抱かれながら、長期政権を続けています。

そんなイタリア人の気質を「創造都市」ボローニャの都市再生に重ねて綴られた本を紹介します。

昨年亡くなった井上ひさし氏の著書「ボローニャ紀行」

この本に目が留まったのは、別に、亡き氏のファンだったからというわけではありません。
実は学生時代に「地域経済論」のゼミに入っていて、その時の恩師(佐々木雅幸先生)がボローニャの研究をライフワークにしていて、井上ひさし先生とも交流があったからです。

私が学生だった当時は、地域経済論の分野では「内発的発展論」という言葉がよく使われていましたが、その後、「文化」が都市の経済発展に資するとする「創造都市」という概念が言われるようになりました。

案の定、本文中には恩師の著作からの引用が数箇所ありました。ただ、本著は経済学の本ではなく、読みやすいエッセーとして、当時ボローニャにレンタル移籍していた中田選手や、過去の歴史的人物、具体的な施設の名前等が多く出てきて非常に読みやすい内容になっています。

ボローニャは世界最古の大学がある街で、古くから高い自治意識を持ち、戦後革新自治体になったがために、復興資金(いわゆるマーシャルプランですね)を取り込むことが出来ず、そのため、自治体や地域財界の捻出した資金を有効に活用して、年の生み出す製品を世界に向けて売り出していったことによって、内発的に発展を遂げます。その成功体験が、今もこの街の原動力になっていて、社会的協同組合という有志で構成された組織により数々のプロジェクトが進められています。

そして、何より市民の年に対する愛着。徹底的に景観が保存された旧市街は、世界に誇る美しい町並みを残し、建物の内部は時代に応じてリニューアルしていく。そして音楽、演劇、映画等の文化的な集積が世界中から才能を引き寄せ、その文化的集積を推進力に都市が発展していく。

これって“Think Globally,Act Locally(世界視野で考えてローカルに行動する)”
まさに、今日本が手本とすべき都市再生のモデルです。

イタリアでは、国政にはあまり期待していなくて、その代わり都市の自治には強い関心を持っています。
ですから、一国の首相がサッカーチームのオーナーであっても全くお構いなしです(まあ、実際には批判だけはちゃんとするんですが…)。でも、自分の住む都市については、口も出すし、手も貸します。
そういえば、イタリア人に“Where are you from ?”と質問すると、「イタリア」ではなく、「フィレンツェ」等と都市名で答えます。国より都市への帰属意識が強いんですね。

今、「日本は政治が…」等と国政の失策に一喜一憂していますが、本当に人間が必要としているのは個人の幸せであって、その個人の幸せに密接に関係あるのは地域(または都市)の繁栄であるはずです。

独自の発展を遂げるボローニャのモデルに、日本が今抱えている問題を解決する鍵がある様な気がします。

【関連記事】

姉妹都市「共助の時代」

Akatsukilogo

不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

| | コメント (2) | トラックバック (0)

数寄屋橋阪急(モザイク銀座阪急)の立退料は60億円

sukiyaエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングは4日、東京・銀座の銀座TSビル(旧銀座東芝ビル)の建て替えをめぐって、ビルを所有する東急不動産から商業施設「モザイク銀座阪急」(東 京都中央区)の立ち退きを求められていた裁判で和解が成立したと発表しました。

和解の概要は、モザイク銀座阪急の既存テナントとの定期建物賃貸借契約が満了する2012年8月31日をもって東急不動産との間の賃貸借契約を合意のうえ解除し、東急不動産は、明渡完了と引 換えに立退補償金として60億円を支払い、和解成立の日から明渡完了までの賃料等の支払いを免除するというものです。

Mosaic

同ビルは、東芝の前身である東京電気株式会社が1932年に本社拠点の建設用地として同地に土地を購入し、1934年共同建物株式会社(現東芝不動産)が東芝の前身である東京電気の本社拠点と して建築。1956年には、阪急百貨店が東京2号店として数寄屋橋阪急をオープン。1966(昭和41)年に増築され、現在の姿となります。 1984年には、晴海通りを挟んで向かい側に有楽町マリオンが完成し、有楽町阪急(売場面積 11,206㎡)が開業して隆盛を極めたが、百貨店不況の影響から、2004年からは子会社の阪急商業開 発が「モザイク銀座阪急」を運営してきた。 しかし、2007年に同ビルを1,610億円で取得した東急不動産が築70年以上経過している同ビルの建て替えを理由に立ち退きを提案。2009年に東京地裁に提訴していました。H2Oは「建て替え が必要なほど老朽化はしておらず、正当な立ち退き理由にはならない」と主張していました。

ところで、60億円という立退料は、どうなんでしょうか?

モザイク阪急を運営している阪急商業開発のホームページを見ると、 S造・RC造(銀座TSビルの地下1階から地上4階の一部、延床面積8,122㎡)地下1階~地上4階 店舗面積7,025㎡店舗数/物販・・・38、飲食・・・1、サービス・・・9 合計48店舗(平成21年11月現在) とあります。

60億円を延床面積で割ると、

60億円÷8,122㎡≒74万円/㎡

まあ、引越代としては十二分。

モザイク銀座阪急の営業面積は5,300㎡で、48店のテナントが入居し、10年3月期の売上高は50億円という記事がありました。営業補償としては、売上高の1.2年分に該当します。

家賃と比較してみます。一般的に、駅前等の好立地のファッションビルのテナントの家賃は、歩合制であることが多く、概ね売上高の8~10%と言われています。

仮に10%とすると

50億円×10%=5億円(月額42百万円)

※坪単価:42百万円÷営業面積は5,300㎡×3.3㎡/坪≒26,000円/坪・・・なんか銀座にしては安いな...。

ざっくり家賃の12年分ということになります。

借家権割合を計算してみましょう。

東芝不動産が東急不動産に売却した時のIRによると、同ビルは、鉄骨鉄筋コンクリート造地下4階地上9階、敷地面積 3,766.80㎡(1,139.46坪)、ビル延床面積 40,415.33㎡(12,225.64坪)で す。建物の賃借部分の割合は、 8,1222㎡/40,415.33㎡≒20% 借地権割合が90%なので借地権価格≒更地価格として、ざっくり2007年の取引額に借家権割合30%を乗じると

1,610億円×建物賃借部分割合20%×借家権割合30%≒100億円

これ、借家権割合20%ですと、かなりジャストですね。

実際には、移転費用、営業補償(休業補償等)、借家権相当額(賃料差額の2~5年分や自用の建物及びその敷地と貸家及びその敷地の価格の差額に所要の調整をして求める)等を鑑定して定めるのですが、実際の決め方は正当事由の具備等によって異なるので、一概に判断できません。今回は和解による決着ですし、弁護士の能力や鑑定評価書の説得力も影響してくると思います。

モザイク阪急は、立退きを要求されているにもかかわらず、平成21年にリニューアルしています。一方で、1995年に日本第1号店としてオープンして以来の店子であるファストファッションのGAP(1F,B1Fに入居)は、この2月に晴海通りのはす向かいのビルへ移転しており、比較的すんなり立退きが進むような気がします。先日、行ったら、GAP跡に4月に新店舗がオープンと張り出されていましたが、後1年で閉店するビルに出店する店なんてあるのでしょうか?(笑)

いずれにしても、2007年に東急不動産が立退き~建替計画に着手して足かけ5年…。建替えとは、多大な労力の掛かる大事業ですね。

東急不動産が同建物を取得した際に、SPCに350億円出資し、このSPCが特定事業を対象に融資するノンリコースローンを銀行などから調達し、ビルの買収と建て替えの資金を賄い、建て替えに向けてさらに最大340億円を追加出資すると報道されていました。立退料で既に建て替え資金の内2割近くを吐き出したことになります。地下4階まである建物ですから、取壊し費用もかかりますし、果たして、どんな建物が出来ますやら…。

〈追伸〉

建替え計画は、現時点では、銀座ルールに従い高さ66m地下5階地上11階建て延約5万㎡、東京メトロ銀座駅とを直結する計画で、10月に解体工事に着手、2013年6月に新築着工し、順調に進めば、工期は3年程度となるそうです。

【関連記事】

銀座5丁目プロジェクト

借家権や継続賃料を求める際の「上限」と「下限」

鉄道と地域要因の変化(JR大阪三越伊勢丹と阪神大震災)

百貨店から家電量販店(新宿三越アルコット閉店)

プロミス大手町本社ビル売却(売却益300億円!)

国有地を定期借地方式で再開発

Akatsukilogo

不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

| | コメント (0) | トラックバック (0)

CRE・PRE戦略推進のための人材と組織

3月7日月曜日、霞が関コモンゲートの霞山会館での、CREC/JAREC共催セミナーに行って来ました。

テーマは「CRE・PRE戦略推進のための人材と組織」

セミナーの参加者は、我々不動産鑑定士の他にも、CREを実施する主体である大企業の関係者の方も多く来られていたようです。

1時間程の基調講演の後、パネルディスカッションが行われたのですが、非常に参考になる話でした。ちょっと刺激を受けたので、CRE(企業不動産)やPRE(公的不動産)の活用について考えてみました。

CREやPREというと、遊休不動産の売却やマンションや商業ビル等の収益不動産を建てて運用しましょう…という提案が殆どだと思うのですが、果たして、それは企業のためになっているのか疑問です。売却や建設というと、大きな金額が動くので、周辺業界(不動産業や建設業)から大きな「推進力」が働きます。しかし、公益性や企業イメージの向上といった、具体的な数値に表れにくい活用方法は、提案されにくい傾向にあると思います。

先日読んだ、東京都の猪瀬直樹副知事の著書「地下鉄は誰のものか?」に、地下鉄建設用地(代替地)として購入した土地に、ホテルやマンションを建てていることに対して、鋭く批判していました。

元々はCREの一環として、最も収益性が高い運用方法を実行しただけなのでしょうけど、公共性の高い交通機関が、地下鉄建設の名のもとに立退きをお願いして入手した土地を、何ら公益性のない事業に使用するというのは、やはり大衆の感情を刺激すると思います。

この時、同じマンションや商業性施設を建てるでも、例えば建物の一部に「保育所」や「介護施設」が入っていたらどうでしょう?公益性が高まり、企業イメージの向上や、沿線の利便性が向上して、結果として高い経済効果が生まれるはずです。シェアハウスやコーポラティブハウス等の未来の生活を考える新しい試みに活用するのも一案だと思います。

こういうマインドは、なかなか理解されにくいと思いますが、大きな企業体こそ、大きな目で観る必要があると思います。

Akatsukilogo   

不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

| | コメント (0) | トラックバック (0)

パンダとスカイツリー

東武鉄道が、浅草駅ビル(松屋浅草店が入居)2012年春の改装すると発表しました。

同ビルは1931年に関東初の百貨店併設型の駅ビルとして、建てられ、もともとは、側面に17個のアーチ形の窓が並ぶ、アールデコ調の外壁を持つ建物でしたが、1974年の改修で周囲をアルミ製カバーで覆われたため、特徴ある外壁が見えなくなっていました。今回の改修により、歴史的建物として、浅草の町にまたひとつ名所が増えることになります。

江戸、明治、昭和初期と、江戸・東京の一番の盛り場と言えば浅草でした。

浅草御蔵(今の蔵前)に米蔵が設置され、日本全国から集められた侍や江戸庶民たちの食用米が集まるようになり、札差(株仲間)が豪遊したことから、繁華街として発展していきます。

日本最大の遊郭「吉原」、江戸時代に歌舞伎の興行を公式に認められていた中村座・市村座・森田座の江戸三座は、天保の改革の折、浅草猿若町に移され、以来、浅草寺の参詣も兼ねて、多くの人が訪れるようになります。

明治に入ると、浅草寺周辺が東京初の都市公園となり、12階建ての「凌雲閣」や演芸場や劇場が建てられ、東京きっての歓楽街になります。

関東大震災、戦災等に逢いつつも、復興を図りますが、昭和32年4月1日、売春防止法の施行により、吉原遊郭も寂れ、テレビの普及により、劇場が閉館に追い込まれる等、戦後の浅草は、東京一の繁華街の座を銀座や新宿・池袋の副都心に奪われます。

しかし、日本らしさ(江戸の風情)が残る街として、外国人を中心に年間三千万人が訪れる一大観光地であることには変わりはありません。

そんな浅草の川向うの業平橋に、新たなランドマークとなる東京スカイツリーが建設中です。高さは遂に600mを超えて世界一の電波塔になりました。

Skytree

そして、西隣の上野動物園には、中国からパンダがやってきます。

Panda

浅草、業平橋、上野のゴールデン・トライアングルが形成され、これから台東区が熱いですね。

Akatsukilogo   

不動産鑑定士 四方田 修 http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2011年2月 | トップページ | 2011年4月 »