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2011年4月

マンションの修繕積立金に関するガイドライン

国土交通省は18日、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を発表しました。

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansei/tsumitate2304.pdf

国交省のHPによると、マンションのストック総数は約562万戸(平成21年末現在)、約1,400万人が居住するということで、日本国民の約1割強がマンションに住んでいます。

マンションの良好な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、計画的な修繕工事の実施が不可欠です。

修繕積立金の額は、管理組合で決めるものですが、一般的には、マンションの分譲段階で分譲事業者が、長期修繕計画と修繕積立金の額を購入予定者に提示し、管理組合も、そのまま鵜呑みということが多いのではないでしょうか?

マンション販売業者も、ローンの返済も含め、月々の支払額を安く見せたいという意識が働きますので、中には修繕積立金の額が著しく低く設定される等の例もみられ、必要な修繕積立金が十分に積み立てられず、修繕工事費が不足するといった事例も生じています。

とはいえ、多くの方にとってマンション購入は一生に一度の大きな買い物であって、修繕積立金の適正な額等知らないのが当たり前です。そこで、このガイドラインが発表されました。

これからマンションを購入する方にとっては、修繕積立金の額が適正であるかどうかの判断基準になります。

もちろん、発表された数字は多くの事例の平均値的なもので、実際には建物の形状や規模・立地、仕上げ材や設備の仕様に加え、工事単価、区分所有者の機能向上に対するニーズ等、様々な要因によって変動するものであり、このような修繕工事費を基に設定される修繕積立金の額の水準も、当然、これらの要因によって変化する性格のものです。

本ガイドラインでは、「修繕積立金の主な変動要因について」において、修繕積立金の必要額に変化を与える要因について説明があって、とても親切な内容になっています。(先日発表された地価公示もそうですが、最近だいぶかゆい所に手が届くようになってきていますね>国交省)

こういうガイドラインは不動産鑑定に携わる者としても、大歓迎です。今まで、マンションの鑑定で収益還元法による収益価格を求める際、「賃貸収入の●%」なんていう見積もりをよく目にしましたが、今後はこのガイドラインにあるモデルケースを用いることで、より説得力のある説明が出来るようになるでしょう。(実務修習の時、「賃貸収入の●%」で見積っ手課題を提出したらたら、「本当にそうなんですか?」とコメントが付いて戻ってきたことがあります…。苦笑)

但し、注意しなくてはいけないのは、この場合の長期修繕計画の前提は、「推定修繕工事は、建物及び設備の性能を新築時と同等水準に維持・回復させる修繕工事を基本とする(長期修繕計画標準様式第3-1)」であることが殆どで、新築から30年、40年経過した段階で建て替えや、設備のリノベーションなどを行うことは想定されていません。

実際、昭和30~40年代の住宅需要を賄うべく大量に建設されたマンションが建て替えの時期を迎えていますが、やはり経済的な問題(居住者の高齢化がこれに拍車をかける)等から、殆ど建て替えが進んでいません。

未曾有の大震災で大きな犠牲を出したばかりですが、今後耐震基準の見直しがあるかもしれません。そういう意味では、このガイドラインの次には、将来のマンションの再生をも取り込んだ積立金のあり方について考えていく必要があると思います。

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不動産鑑定士 四方田 修

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東日本大震災に対する震災支援税制発表

4/13の政府税調で、東日本大震災の被災者に対する震災支援税制が打ち出されています。

不動産関係では、相続税・贈与税について、平成23年3月10日以前の相続又は贈与により取得した財産に係る相続税又は贈与税で平成23年3月11日以後に申告期限が到来するものについて、東日本大震災の発生後を基準とした価額とすることができることになるようです。

http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2011/23zen1kai.html

平成23年度 第1回 税制調査会(4月13日)資料『東日本大震災への税制上の対応について(詳細版)』の5ページより抜粋。

3.資産課税

(1)相続税・贈与税
①  平成23年3月10日以前の相続又は贈与により取得した財産に係る相続税又は贈与税で平成23年3月11日以後に申告期限が到来するものについて、その課税価格の計算上、指定地域内の土地等及び一定の非上場株式等(同日において相続人等が所有していたものに限ります。)の価額は東日本大震災の発生後を基準とした価額とすることができることとします。
この場合、指定日の前日までに申告期限が到来するものについては、その申告期限を指定日まで延長します。
(注1)「指定地域」とは、東日本大震災により相当な損害を受けた地域として財務大臣が指定する地域をいいます。
(注2)「指定日」とは、東日本大震災の状況等を勘案して財務大臣が定める日をいいます。

震災後の不動産価格はまず例外なく低迷することになるでしょう。即ち税額が低く抑えられることになります。しかし、当面は不動産の売買は低迷するので、震災の影響を織り込んだ市場価格が形成されるのはずいぶんと先のことになると予想されます。

したがって、これが実際に適用になると、「東日本大震災の発生後を基準とした価額」について一定の基準を設けることが必要になるでしょう。相続税路線価は1月1日時点の価格になりますので、これに一定の割合で時点修正を行う形になるのでしょうか?

基準といっても被災した地域や個別の土地・建物によって異なりますので、被害の程度が地域の標準的な水準より大きい場合は、個別に鑑定を行って被害の程度を織り込んだ方がいい場合もあることでしょう。

このような鑑定評価依頼が来た時に、しっかりとした評価が出来るように、震災の影響により変化する価格形成要因のチェックポイントをしっかり見極め、価格に反映できるように準備を進める必要がありますね。(いずれ不動産鑑定協会から何らかの指標が発表されることを望みます。)

【関連記事】

東日本大震災が不動産投資市場に与える影響(自然災害)

被災地の評価

賃貸等不動産の価格調査における東日本大震災の影響に関する評価上の取扱い

鑑定評価における「重要な後発事象」の扱い

【平成23年地価公示】地価下落、都心部は歯止め

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新歌舞伎座は銀座の防災拠点に(これからのビルに求められるもの)

松竹は5日、建て替え中の歌舞伎座の外観などの詳細を発表しました。

http://www.shochiku.co.jp/company/release/pdf/110405.pdf

大正13年に建築され、戦災で焼けたものの昭和25年に建物の基礎などをそのまま利用して改修された第4期歌舞伎座は、建物の老朽化やバリアフリー対応等の問題を抱えており、惜しまれつつ昨年4月に閉場しました。(さよなら公演の折には足繁く通ったものです。)

2013年春に開場予定の新しい歌舞伎座は、地上29階・地下4階のオフィス棟と劇場が併設される複合ビルとなり、劇場部分は、瓦屋根や唐破風、欄干などは昨年4月に閉場した第4期歌舞伎座の意匠を継承します。

Kabukiza

注目すべきは、銀座地区の防災拠点として、ビル全体で3,000人を収容可能な設計となっており、災害時には帰宅困難者の一時避難場所として開放、食料の備蓄等も行っていくとしている点です。

これは、単に東日本大震災の時流に乗ったものではなく、一昨年の夏に建替え計画を発表した時に、すでに盛り込まれていました。この他にも、緑化の推進、CO2排出量削減への積極的な対応などを打ち出していました。
http://www.kabuki-za.co.jp/annai/pdf/tatekae210826kaiji.pdf

CO2排出量削減でいうと、東京都は2008年に環境確保条例を改正し、「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」(以下、「東京都制度」)を導入しました。2010年度から事業所が排出する温室効果ガスの総量に規制を設けています。

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/climate/large_scale/attachement/%E7%B7%8F%E9%87%8F%E5%89%8A%E6%B8%9B%E7%BE%A9%E5%8B%99%E3%81%A8%E6%8E%92%E5%87%BA%E9%87%8F%E5%8F%96%E5%BC%95%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81.pdf

新歌舞伎座もオフィス部分を含めてCO2排出量を少なくする設計にしているものと思われます。CO2排出量の少ない建物は、電気の使用量も少ないはずで、計画停電で節電が求められる中にあってビルに求められる機能といえます。

これまで、不動産鑑定においては、不動産の経済性、特に最近では収益性に着目して評価がなされる傾向が強かったのですが、これからは、耐震性能やCO2排出量等で相応の性能を求められるようになると思います。市場もそれを求めるでしょうし、政府も規制を強化することが予想されます。

また、震災当時に帰宅難民を経験した人は、地域の防災対策の有無も気になったことでしょう。

これから不動産鑑定を行うに当たって、これらの要素をしっかり調査し、場合によっては価格にも反映させることが期待されるようになってくるような気がします。

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賃貸等不動産の価格調査における東日本大震災の影響に関する評価上の取扱い

つい先ほど届いた、社団法人不動産鑑定協会のメールマガジンに掲載されていましたものです。

『賃貸等不動産の価格調査における東日本大震災の影響に関する評価上の取扱いについて(PDFファイル)』

結論から先に言うと、平成23年度3月決算において、賃貸等不動産にかかる時価開示において、その評価の基礎となる不動産鑑定評価について、震災の影響を加味しないという想定条件による鑑定評価を容認する、ということです。

「賃貸等不動産の価格調査」とは、IFRS(国際会計基準)へのコンバージョンの一環として、時価評価対象不動産を「棚卸資産」以外に拡大する制度改革で、新たに投資用不動産や遊休不動産等が時価評価の対象となりました。

主に上場企業や商法上の大会社等、監査対象となる企業は、この3月末決算において、賃貸等不動産について、原則、時価を注記しなければなりません。

もちろん、対象となる企業は開示に向けて準備を進めていたことと思われますが、そこにこの大震災です。

具体的に影響を受けるものとしては、例えば投資用に保有している賃貸マンションや、製造業が工場建設目的で保有している遊休地等が考えられます。

震災が発生したのが3月11日ですから、3月末が決算ですと、当然震災の影響を加味した評価がなされる必要があります。

しかし、未だに被災者の数も把握できず、原発事故の行く末もわからない状況下で、決算発表までの短い間に、実際に震災の影響を織り込んだ評価をに行うことは容易ではありません。

そこで、社団法人日本不動産鑑定協会は、当面の間、「東日本大震災による影響を考慮外とする評価」を容認する標題の文書を発表したものです。

この場合、不動産鑑定評価書の「想定上の条件」欄に、「東日本大震災による影響を考慮外とする評価」である旨記載されます。そして、当該不動産鑑定評価書に基づき、賃貸等不動産について震災を考慮外として財務諸表への注記を行う場合には、当該財務諸表にも同様に注記されることになるのでしょう。

理想としては、それでも何とか震災の影響を勘案して評価を行うべきであると思いますが、企業によっては被災範囲が広範にわたっている場合もあり、また、今回の決算で初めて時価開示を行う企業も多く、この場合ゼロから評価を行う必要があり、作業負担が重いことを考慮しているものと思われます。(せめて、今までに一度でも評価していれば、作業量はだいぶ軽くなるのですが…)

ある意味、妥協案ともいえますが、実態との折り合いをつけたとも考えられます。

一方で、企業が発表する財務諸表を基に投資判断を行う投資家サイドから見れば、本来考慮されるべき震災の影響を加味しない鑑定評価がなされ、そのまま開示されるようなことになれば、それによって投資判断を誤る可能性があります。

ですので、例えば先の阪神淡路大震災や新潟沖地震等での評価先例や実際の地価への影響等を参考に、出来る限り価格に反映すように最大限の努力を行うべきですし、仮に価格に反映できなくても、調査結果については出来るだけ多くの情報を記載すべきでしょう。

国全体の経済に影響を与えているだけに、震災の影響を受けない評価の場合、実際の評価額は震災を受けている場合の評価と比較して低い金額で把握されるはずです。

悪い言い方ですが、今回の措置で「助かった」と感じている企業経営者の方も少なくはないでしょう。しかし、グローバルな視点で見れば、震災の影響を加味しない決算発表がなされることにより、財務諸表の信頼性そのものが低くみられることで、投資が抑制される可能性も否めません。今後発表されることになる三月決算は、そういう意味では、企業の試金石になるのかもしれません。

(追記1)

「証券化対象不動産の継続評価における東日本大震災の影響に関する評価上の取扱いについて」が発表されました。同じく、 「震災の影響を加味しない鑑定評価」について、指針を示しています。

http://www.fudousan-kanteishi.or.jp/japanese/info_j/2011/20110422-keizoku.pdf

(追記2)

「賃貸等不動産の価格調査における東日本大震災の影響に関する評価上の取扱いについて」と「証券化対象不動産の継続評価における東日本大震災の影響に関する評価上の取扱いについて」の適用については、概ね平成23年6月末日までを目途とするとされています。

【関連記事】

被災地の評価

東日本大震災が不動産投資市場に与える影響(自然災害)

「全壊建物及びその敷地」という類型(罹災都市借地借家臨時処理法)

鑑定評価における「重要な後発事象」の扱い

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不動産鑑定士 四方田 修

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東京都液状化地図

先日、我孫子市の液状化の話をこのBLOGで紹介したら、驚くほどの反響があり、もう少し、いろいろと液状化についてネットを検索していたら、こんなHPを見つけました。

『東京の液状化予測図』 東京都土木技術支援・人材育成センター

http://doboku.metro.tokyo.jp/start/03-jyouhou/ekijyouka/index.htm

この液状化予測図は、昭和62年に作成した「東京低地の液状化予測図」と、平成8年度の研究成果である「多摩地域の液状化予測」を一本化するとともに、東京都港湾局のご協力により「東京港埋立地盤の液状化予測」(平成3年度)を合本したものだそうです。

複数の機関で作成した資料を一本化、合本するというのは、縦割り意識が強いと思われがちな公的機関にあっては画期的です。

我があかつき鑑定のある門前仲町は黄色(液状化の発生が少ない地域)でした。かなり古い埋立地ですからね。

また、話は変わりますが、不動産鑑定評価の役所調査で「環境保全課」等に行きますと、土壌のボーリング調査の結果「地質柱状図」が閲覧できたりします。

東京都はwebでも閲覧できます。

東京の地盤(GIS版)

東京都 建物における液状化対策ポータルサイト (H26.5.8追記)

市街地ですと結構ポイントも多くて、どのような土壌かがわかるのですが、時折、「ごみ」というのが出てきます。これは埋め立てられた土地である証で、その時期によって液状化の可能性が推定できる場合もあると思います。

今後、不動産鑑定書を作成する際に、地歴調査に加え、こういった調査を行って、出来る限り鑑定評価書に反映させていきたいと思います。

【関連記事】

内陸部の我孫子市で液状化現象

東日本大震災が不動産投資市場に与える影響(自然災害)

被災地の評価

陥没

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