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鉄道と地域要因の変化(JR大阪三越伊勢丹と阪神大震災)

5月4日にJR大阪三越伊勢丹が開業しました。JR大阪駅から直結した新駅ビルには、一日平均20万人が来場するそうです。

大阪梅田と言えば、これまでは阪急でした。「阪急うめだ本店」の歴史を遡れば1920年に東京の日本橋白木屋(今のcoredo日本橋ですね。)を「出張売店」として招致して開店した世界初の駅ターミナル・デパートで、1929年に鉄道会社直営となり、日本初の電鉄系百貨店です。

そんな老舗の阪急百貨店も、今回の三越伊勢丹の開業を指をくわえて見ていたわけではありません。全面建て替え計画を発表、地上41階、地下2階(高さ187メートル)、延床面積が25万2千㎡の新ビルを建設し、阪急うめだ本店は同ビルの低層階部分(地上13階~地下2階)の営業面積8万4千㎡の日本最大級の百貨店に生まれ変わり、JR三越伊勢丹連合を迎え撃つ予定でした。

しかし、2012年春完成予定であった計画は、地下の構造物の撤去に予想以上に期間を要し、地盤整備工事が構想通りに進捗していないとして、2012年度中の完成予定に延期することとなってしまいました。スピードが勝負のこの業界。建て替え工事が長引くと、お客さんが三越伊勢丹=JR大阪駅の方に定着してしまう可能性もあります。

関西は、私鉄の競合が激しい地域です。阪神間は、海岸線からわずか数キロの範囲に阪神、JR(国鉄)、阪急が並行して走る大激戦区。そんな中、鉄道輸送と流通(百貨店)の相乗効果で沿線開発を行う阪急(山側)、阪神(海側)に対し、真ん中に挟まれた国鉄は、各駅間の距離も長くちょっと競争の蚊帳の外にいる感じでした。

しかし、1995年に阪神大震災が発生すると状況が一変。高架率の高かった阪急、阪神は、高架下利用者との交渉、沿道倒壊家屋などから復旧に時間を要している間に、いち早く運転を再開したJRは輸送客数を増やしていきました。

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民営化による競争意識の高まりもあって、新型車両投入や新駅開設等のサービスも向上しました。(逆にスピード競争の行き過ぎが、JR宝塚線の事故を起こしたのも記憶に新しいところです。) この結果、輸送人員の移動は一時的なものにとどまらず、多くの利用客がJRに乗り換えました。

そして、今回の新駅ビルの開店で、JRの相対的な地位がさらに高まることが予想されます。バブル期をピークに輸送人員の落込みに悩む私鉄各社にとって、JRの台頭は頭の痛いところでしょう。

関東でも、これまで流通とは無縁と思われていたJRや東京メトロが、駅中の開発に注力するようになって、百貨店を脅かしています。こういったサービス競争は沿線イメージの向上につながり、ひいては沿線の不動産価格に影響を与えることになるかもしれません。

また、今回の東日本大震災では、3月11日は鉄道各線運休が相次ぎ、多くの帰宅難民を生み出しました。その後、運休は長期に及ぶことはありませんでしたが、当日中に運転再開した路線と、早々と当日中の復旧はないとして駅から乗客を締め出した路線とでは、イメージが違ったと思います。安全と利便性という二律背反の課題ですが、今回は早く復旧した鉄道会社が点数を稼いだ形になったようです。

阪急は、先日神戸阪急の閉店を発表しました。競争が激化する梅田に経営資源を集中させるのが目的と言われていますが、この果てしなく続く戦いの行方に注目していきたいと思います。

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不動産鑑定士 四方田 修

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