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芦屋市の景観保全と地価動向

主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)の平成23年第1四半期(1/1~4/1)が発表されました。

なお、今回の調査では、東日本大震災により直接的な影響を受け、市場に空白期間が生じた4地区(仙台市3地区及び浦安市1地区)は対象から除かれています。

前回調査では、上昇地区が住宅系11地区、商業系5地区と、地価下落基調からの転換傾向が見られましたが、今回の調査では住宅系2地区にとどまり、震災の影響が響いた結果となりました。

今回上昇となったのは、いずれも兵庫県内の高級住宅街「岡本」と「JR芦屋駅周辺」の2か所です。

最初これを見た時、外資系企業を中心に震災から逃れる形で関西に本社機能を移す会社が役員の住宅用に買いを入れた、いわゆる「震災特需」かと思ったのですが、よく見ると、震災前の前回(平成22年第4四半期)も上昇を示しているので、「特需」ばかりではなさそうです。

前回調査の鑑定評価員のコメントを見ると、「阪神間において神戸市東灘区岡本・芦屋地区は需要に比較して供給が少なく、JR芦屋駅前に地区においては取引はより少ない。不動産市場の二極化がさらに顕著になり、人気エリアにおいては不動産市場は回復傾向にあり、取引価格は上昇傾向にある。」とあり、どうやら高級住宅街としての希少性が評価されていると言えるでしょう。

実は、10年前に芦屋市に隣接する西宮市深谷町(芦屋市とは岩園トンネルを挟んですぐお隣り)に、当時勤めていた銀行の社員寮があり、2年程住んでいたことがあるのですが、芦屋市の住環境の素晴らしさは、ちょっと東京にはみられないものでした。

北に六甲山地、南に大阪湾を臨んだ豊かな自然と、南に緩やかに傾斜する地形が特徴的で、管理の行き届いた庭の木々が街区の自然環境を育み、時代時代のデザインを取り込んだ家々は成熟した文化を感じさせ、芦屋を代表する風光明媚な街並みが広がっています。

特に昭和初期に豪邸用地として造成された六麓荘町は、電線は地中化や、マンション・商店等を作らせない等、独自の協定をつくって景観を守ってきました。

しかし、近年はバブル経済崩壊や世帯主の世代交代に伴い、資金調達や高額な相続税支払いのために土地や建物を手放すケースが続出して空き地が増加。協定に反して老人ホームの建設計画が持ち上がる等、住民の間で「紳士協定では守りきれない」との危機感を強めます。

強制力のある条例での保護を求める声が上がり、2006年、敷地面積400㎡以上、高さ10m以下の一戸建て新築住宅以外の建設を禁止する景観保護条例案を成立させます。

400㎡・・・というとマンション敷地または一戸建てが4,5棟建つ広さです。

同じ様に、JR芦屋駅前の住宅街である大原町では、周囲の景観と調和しないという理由で5階建て高さ15mのマンション計画を、景観条例に基づき不認定とし、その後建物の高さを12m以下に制限する等の地区計画が決定されました。

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一般的には、規制が強まると地価は下がると思われがちですが、この逆風下に全国で唯一の地価上昇を示しているのですから、規制による街並みの保全が、資産価値向上にも寄与していることを雄弁に物語っています。

先日、芦屋に行く機会があり、私の住んでいた西宮市西部(阪急甲陽線苦楽園口駅から岩園トンネル辺り)を歩いたのですが、昔豪邸だった場所がマンションになったり、分割されて戸建て分譲されたりしている姿を少なからず目にしました。若い人が増えたのに対応してか、それまで少なかったコンビニやドラッグストア等も増え、トンネルを挟んで西側にある芦屋とはだいぶ雰囲気が変わっているのに驚きました。

規制を強化して街並みを守る決断をした芦屋市と、変わりゆく西宮市。2つの街が今後どのように推移していくのか、注目していきたいと思います。

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不動産鑑定士 四方田 修

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