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2011年6月

借家権や継続賃料を求める際の「上限」と「下限」

不動産鑑定評価の対象となる類型のうち、借家権(※立退料)と継続賃料の二つについては、他の類型と異なる特徴が認められます。それは、いずれも市場での取引を前提としていないという点です。

※注:借家権の内、「賃貸人から建物の明渡しの要求を受け、借家人が不随意の立退きに伴い事実上喪失することになる経済的利益等、賃貸人との関係において個別的な形をとって具体的に現れるもの」(不動産鑑定評価基準各論第1章第3節Ⅲ)をここでは便宜上「借家権(立退料)」と呼びます。

不動産鑑定評価の方式には、原価方式、比較方式、及び収益方式の三方式がありますが、これらによって求められた価格は理論的に一致するという価格の三面性(三面等価)を利用して、鑑定評価額を求めていこうというのが基本的な考え方です。

したがって、これら三方式それぞれの考え方を中心とした鑑定評価の三手法が規定されています。(例:原価法、取引事例比較法、収益還元法の三手法)

しかし、借家権(立退料)と継続賃料については、市場での取引を前提としていないため、鑑定評価の手法相互の間に三面等価の関係を認めることはできません。

ですので、求められた試算価格(試算賃料)が理論的に一致することは予定されていません。(但し、ひとつの手法の中にそれぞれ三方式の考え方が輻輳して取り入れられていることに留意する必要があります。)

では、どうやって試算価格を調整し、鑑定評価額を決定するのか?

価格の決定に当たっては、各種の事情を総合的に勘案することになりますが、それ以前に明らかな事実として、そこには「上限」と「下限」が存在するはずです。

借家権(立退料)の場合であれば、試算価格の内、「自用の建物及びその敷地の価格から貸家及びその敷地の価格を控除し、所要の調整を行って得た価格」は、賃貸人(家主)が立退きを行うことによって得られる利益(=立退料の支払い原資)と考えることが出来ますので、これが「上限」になります(これ以上払ったら立退きを要求する意味がなくなってしまう)。

そして、「当該建物及びその敷地と同程度の代替建物等の賃借の際に必要とされる新規の実際支払賃料と現在の実際支払賃料との差額に相当する額に賃料の前払的性格を有する一時金の額を加えた額」は、これに鑑定評価の対象外である休業補償や引っ越し代を加えれば、賃借人(店子)にとって、立退きに応じても経済的に損をしないで済む最低額といえますので、「下限」と言うことが出来ると思います。

この「上限」と「下限」の間で、契約締結時または賃料の改定時から価格時点までの間における「事情」を総合的に勘案して決めることになります。(不動産鑑定評価基準には、借家権で7つ、継続賃料で8つの総合的勘案事項が挙げられています。)

こういうフレームワークを作っておけば、鑑定書を見た裁判官と当事者(代理人弁護士)も理解しやすいですし、仮に鑑定評価額について双方が不満を持ったとしても、範囲は決まっているのですから話し合いもしやすいと思います。

継続賃料の場合はちょっと違って、「上限」と「下限」は試算価格相互ではなく、「新規賃料(対象不動産の経済価値の即応した適正な賃料)」と「現行賃料(実際賃料)」の間で決まります。

これは、考えてみれば当たり前のことなのですが、意外とこの原則を無視した鑑定評価書を見かけます。

今の継続賃料の求め方は、不動産価格や賃料が右肩上がりだった時代に作られたもので、バブル崩壊後のこの20年の「上がったり下がったり」という状態を想定していません。

このような経済状態の下で、諸事情を考慮せずに公式に当てはめるかのように鑑定評価方式を適用すると、「新規賃料」と「現行賃料」の枠をはみ出した賃料が求められてしまうことがあるので注意が必要です。

この「上限」と「下限」の考え方に最も合致した手法は、差額配分法です。差額配分法は新規賃料と現行賃料との差額(賃料差額)を縮小することが当事者間の合理的意思を反映した手法で、継続賃料を求める四手法の中で、最も合理的な考え方だと思います。バブル期以降、差額配分法を否定する判決も見られましたが、それは折半法や3分の1法といった配分方法についての批判であって、賃料差額の縮小という考え方を批判したものではありません。

この他、事業用不動産等で収益賃料が求められる場合は、これが負担可能賃料(=上限)と見ることもできると思います。収益賃料は新規賃料を求める手法ですが、継続賃料を求める際にも有力な指標となりうるでしょう。

このように、借家権(立退料)と継続賃料の鑑定評価においては、鑑定評価の手法の適用の段階で、鑑定評価額の収まるべき一定の範囲があると言えます。

ここで述べた上限と下限が逆転してしまったり(この場合は契約を解除するのが双方にとって幸せかも?)、これらを考慮すべきでない特別な事情が存在する場合は、この限りではありませんが、通常の場合、鑑定評価額とは別に上限と下限を明らかにしておくことで、鑑定評価額の決定に当たりひとつの検証材料となるとともに、訴訟に場における当事者間の問題解決に大いに役立つことでしょう。

【関連記事】

借家権と立退料

家賃の鑑定評価における「共益費」の扱い

【地代】土地の基礎価格は、「更地価格」か、「底地価格」か?

継続地代の調査分析(研修会に参加して)

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東日本大震災の被災地における不動産の価格等調査のための運用指針

先日、社団法人日本不動産鑑定協会のホームページにて、東日本大震災が与える鑑定評価等業務への影響に関して、二つの指針が発表されました。

東日本大震災の被災地における不動産の価格等調査のための運用指針(No.1)(以下「価格等調査運用指針」と呼ぶ)

「東日本大震災の被災地における平成23年都道府県地価調査のための運用指針」(会員外用)(以下「地価調査運用指針」と呼ぶ)

地価調査指針によると、震災が与える鑑定評価等業務への影響に関して鑑定協会が対応すべき事項を時間的な順序で、次のように整理しています。

①都道府県地価調査に対応する運用指針の作成・・・「地価調査運用指針」

②一般の鑑定評価等に対応する運用指針・・・「価格等調査運用指針」

③地価調査及び地価公示以外の公的評価への対応

④地価公示に対応する運用指針の作成 等

なお、③については、固定資産税と相続税に係る価格調査を想定しているようです。ちなみに平成23年分相続税路線価については、震災前(平成23年1月1日付)の価格として発表される予定です。

ここから先は、私なりに二つの指針を整理して見ていきたいと思います。(あくまでも私的見解により整理したものですので、詳しくは各指針を参考にしてください。)

指針の中で重要なものとして、次の3つに整理できます。

1.鑑定評価の実施可否判断

2.価格形成要因の分析(最有効使用の判定)

3.鑑定評価手法の適用(震災減価率の適用、震災修正還元利回りの適用)

1.鑑定評価の実施可否判断についてですが、価格等調査運用指針においては、「現地調査を行うことが出来ない不動産」、あるいは「現地調査を行わない不動産」については、不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価を行うことはできないとし、「現地調査を行うことが出来ない不動産」については、「避難区域」、「計画的避難区域」、「緊急時避難準備区域」、水没等により立ち入りが出来ない地域を挙げています。

これらの地域は、「地価調査指針」の中では、「調査不能」に分類され、この他、「評価不能」「価格判定不能」に分類されるものも含めて、平成23年度地価調査の対象から除外されています。(立入禁止区域等の地価調査は行われません。)

2.価格形成要因の分析(最有効使用の判定)については、それぞれの指針において、震災によって生じた価格形成要因についての例示や、国や地方公共団体等が策定する復興計画等についての想定上の条件の付加について書かれています。

価格判定の基礎となる最有効使用の判定については、価格時点において直ちに利用することが困難である場合には、建物等が建築可能となる時点以降に建物等の建築に着手し、利用に供することが最有効使用となります。この場合、震災前の最有効使用と異なる最有効使用となることも想定され、主に開発法による試算価格が重視されることになるでしょう。

3.鑑定評価手法の適用については、取引事例法における事例の選択(震災前と震災後)と震災減価修正について、具体的に示しています。

価格等調査運用指針は、震災が発生したことに起因する価格形成要因の変化による価格の変動を、比準価格に反映させる手順として、「震災地域格差修正」を定義づけており、具体的に「地価調査運用指針」と『不動産調査(2011年7月号No.381』東日本大震災に関する土地評価(震災が地域要因に及ぼす影響)〔一般財団法人日本不動産研究所作成〕の活用を示唆しています。

価格時点において直ちに利用することが困難である場合の収益価格は、物理的、法的、経済的に建物等の建築が可能となるまでの期間である建物待機期間経過後の最有効使用の建物を想定して土地残余法を適用することになりますが、この場合の最有効使用の建物の建築期間等を考慮して求めた収益価格に建築待機期間と当該待機期間に対応した割引率に基づく複利現価率を乗じて求めることになりますが、当該結果と同様の結果が導かれる還元利回り(震災修正還元利回り)を査定し、これにより収益価格を求めることもできるとしています。

本来、このような評価に対する方針は、我々ここの不動産鑑定士が、市場動向を踏まえ、市場価値を求めるために資料を自ら収集して、判定しなければならないところですが、それは小さな組織では困難が予想されます。そこで、このような指針を示すことによってそれを補い、鑑定評価書等の品質の均質化に寄与することになります。

震災後短期間に指針をまとめた担当者の皆様に敬意を表するとともに、これを活用する個々の鑑定士も、よりよい評価のために研究を重ねる努力をしていく必要があると肝に銘じて取り組んでいかなくてはいけませんね。

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大阪百貨店戦争の勝者は?

週刊ダイアモンドのWEB版「DIAMOND online」の記事です。

大阪百貨店戦争に苦戦するJR大阪三越伊勢丹の誤算

http://diamond.jp/articles/-/12866

5月に開業した大阪ステーションシティ。ノースゲートシティには、三越伊勢丹グループが入居し、阪急阪神の牙城を崩す黒船襲来と話題になりました。

しかし、記事によると、三越伊勢丹のオープン初月の売上高は45億円で、初年度売上高の目標550億円から見ると、オープン特需の割には意外と売上が伸びていないようです。

一方、同じくノースゲートシティに開業した専門店街ルクアLUCUAは41億円と、初年度売上高目標250億円に対し、進捗率16.4%と好調で、その後の売上高は、既に三越伊勢丹を凌いでいると言われています。

三越伊勢丹が梅田のガリバー阪急阪神の圧力によって取引先からの商品供給で不利があったのに対し、ルクアでは、25~34歳の女性をターゲットに、テナント誘致では、「合同説明会は行わず、こちらから営業に出向いて一本釣りした」(ルクアの運営会社、JR西日本SC開発の中山健俊社長)ことで、人気のブランドを1階から高層階まで揃えたのが、この差につながっているようです。

ここにきて、百貨店の時代の終焉と、専門店の躍進のニュースが多く報じられています。

以前、BLOG百貨店から家電量販店(新宿三越アルコット閉店) で取り上げたように、売り場効率(店舗売上高÷売り場面積)で専門店が百貨店を上回るようになってきており、家賃負担能力の低下した百貨店が駅前から撤退し、跡に専門店が入るようなケースも多くみられています。(数寄屋橋の有楽町西武跡地にルミネが入居してのは記憶に新しいところです。)

ファッションビル等の専門店は、売上高に比例する歩合賃料を導入していることが多いため、テナントの選定は経営の最重要課題。流行や売れ筋情報を徹底調査して売り場作りに注力し、逆に売上下位に低迷するテナントは入れ替える等の競争原理を導入する等、厳しい環境で育ってきています。一方、百貨店は未だにメーカー任せの売り場作りや返品制度の上に安住し、完全に後れを取ってしまったようにも見えます。

Map

駅を挟んで反対側の大丸梅田店は、4月に全面改装をした際、東急ハンズやポケモンセンターオーサカなどの中核テナントを新たに誘致して若者らの集客に成功し、来店客数も同2.5倍の464万人、売上高は前年同月比73.6%増と好調でした。百貨店もこのように専門店化していくのでしょうか?

伊勢丹は百貨店の中では売り場づくりの上手さに定評があるので、これから軌道修正を図っていくと思いますが、阪急百貨店の増床が完成する頃、梅田の勢力図がどのように変わっているか、注意深く見守っていきたいと思います。

【関連記事】

鉄道と地域要因の変化(JR大阪三越伊勢丹と阪神大震災)

百貨店から家電量販店(新宿三越アルコット閉店)

数寄屋橋阪急(モザイク銀座阪急)の立退料は60億円

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ホテルREITの変動賃料制と運営委託方式

ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人(JHR)が、第6期(平成23年8月期)業績予想を修正する発表をしました。

JHRは、震災に伴うホテル収益への影響が予測困難なことから、4月1日に第6期業績予想を未定に修正した。その後3ヶ月経過し、変動賃料導入ホテルの収益見通しが立ったことから、業績予想を再度発表したものです。

震災により変動賃料を導入するホテル5棟のGOP(営業利益)が、平成22年10月21日に発表した当初予想より20%減少。特に千葉県浦安市に位置するオリエンタルホテル東京ベイは、ディズニーランド休園の影響から売上げ39%下落を想定。これにより10月21日に発表した業績予想より63%減益、1口当たり分配金は5,310円となる見通し。

ホテル事業は人的サービスを主体とする労働集約的側面と建物や設備等への依存度が高いという資本集約的側面を併せ持つため、一般に固定費負担が重く、損益分岐点が高いという特徴があります。

一方で、ホテルの宿泊売上その他の収益は、一般的に、経済環境の変動への感応度が高く、経済環境に恵まれた場合、大幅な向上が期待出来ることから、売上高が損益分岐点を超えた場合の収益向上効果が大きくなる傾向があります。

そこで、ホテルに投資するREIT等投資ファンドは、変動賃料を有する賃貸借契約や運営委託方式を戦略的に組み合わせることにより、固定賃料を通じて安定した収益を確保しつつ、変動賃料若しくは運営委託方式によりホテルの収益向上の成果を享受できるようにします。

運営委託方式とは、所有する不動産に関して、そのホテルの運営をホテル運営受託者に委託して、その事業結果を不動産運用収入として投資法人に取り込むものです。

具体的には、ホテル不動産の所有者である投資法人が、ホテル運営受託者との間で運営委託契約を締結し、ホテル事業の運営に必要な業務を、ホテル運営受託者に委託します。投資法人では、ホテル運営受託者のホテル事業(運営)から生じるホテル売上高を投資法人のホテル売上高として認識すると同時に、ホテル運営受託者に対して運営委託料を払います。このホテル売上から運営委託料を差し引いた金額を「運営委託による不動産運用収入」として認識することになり、この収入部分が、賃貸借方式における不動産運用収入たる賃料に相当するものになります。なお、この運営委託料はホテル運営受託者で発生する人件費、材料費、水道光熱費、広告費などのホテル運営にかかわるすべての費用とホテル運営受託者利益の合計となります。

したがって、このような会計方式をとるは投資法人は、ホテルの業績にダイレクトに影響を受けます。

JHRは、運営委託方式は採用していないようですが、ステップアップ方式と言われる変動賃料制度を導入しており、その割合は、2010年8月決算期に発表した今年度下期の売上高予想5,639百万円の内、3,221百万円(57.1%)に及びます(有価証券報告書参照)。

その中には、土地液状化現象で大きな被害を受けた東京ディズニーリゾート(浦安市)に隣接するオリエンタルホテル東京ベイ(売上高予想666百万円)等も含まれていました。

もちろん、業績が順調に推移していれば、より高い収益を挙げて投資家に多くの配当をもたらしたかもしれません。今回は自然災害の前に思惑が外れてしまったというところでしょう。

業績の低迷は配当だけではなく、収益還元法主体で評価されている不動産の鑑定評価額にも影響が及び、運用資産額が減少するということで、REITにとっては二重の苦しみとなります。貸借対照表の内容が悪くなると、金融機関の貸出姿勢にも影響が及ぶこともあるので、レバレッジの高いファンドにとってはなんとも辛いところです。(JHRさんは自己資本比率が50%超えていて流動資産も多いようですので、この点安心でしょうか…?でも、投資判断はあくまでもご自身で責任を持って!)

業績連動制の賃料も多くみられるようになってきました。事業用不動産に係る所有と経営の分離が一般的となり、リスクを負担の仕方によって多様な賃貸借の形態が考えられますが、現行の借地借家法の運用が障害になっているような気がします。今後の課題ですね。

【関連記事】

【ホテルの評価】東京のホテル 稼働率最低

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継続地代の調査分析(研修会に参加して)

昨日、社団法人不動産鑑定士協会(以下「士協会」)の研修に行ってきました。

士協会は今年3月、「平成22年度継続地代の調査分析-新規地代なども含む-」という冊子を作成して会員に配布、今回の研修はその報告といった内容でした。

地代についての調査としては、これまで税理士資格を有する不動産鑑定士の任意団体である日税不動産鑑定士会が3年毎に発刊する『継続地代の実態調べ』が、バイブル的な存在としてありましたが、これは、その「士協会版」と言える内容です。

分析内容としては、『継続地代の実態調べ』同様に、公租公課倍率(=年額地代/固都税)や活用利子率(=年額地代/更地価格)の他に、底地の取引事例に係る底地利回り(=年額地代/底地価格)や契約締結の始期、地積、建物延べ床面積との相関関係も割り出そうという意欲的なものです。

研修では、土地の基礎価格は、「更地価格」か、「底地価格」か? の論点についても触れられ、底地利回りのデータが出回ることにより、今後意識改革も進んで行くものと思われます。

残念ながら公租公課については、『継続地代の実態調べ』は、日税不動産鑑定士会所属税理士の顧問先からデータを集めているので、固定資産税額を実額で把握できるのに対し、士会作成資料では、固定資産税路線価からの推定額である点など、若干精度が落ちる部分もありますが、評価の参考資料として十分活用できると思います。

定期借地権付マンションやJ-REIT、建物所有を目的としない土地賃貸借等についても分析していて、いろいろと活躍する場面がありそうです。

多くのデータを整理して成果物を作成した研修委員会並びに事務局の皆様に感謝しつつ、有効に活用していきたいと思います。

なお、この冊子は士協会会員以外の方でも、入手可能(確か2,500円だったと思います)とのことですので、ご希望の方は東京都不動産鑑定士協会事務局までお問い合わせください。

【関連記事】

【地代】土地の基礎価格は、「更地価格」か、「底地価格」か?

底地の価格

期待利回り

国有地を定期借地方式で再開発

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罹災都市借地借家臨時処理法に係る借地権の権利金

先日、BLOGに、罹災都市借地借家臨時処理法(罹災法)について書きましたところ、多くの方に読んでいただいたようで、ありがとうございます。

【関連記事】

「全壊建物及びその敷地」という類型(罹災都市借地借家臨時処理法) 

アクセス履歴を拝見しますと、「罹災都市借地借家臨時処理法 借地条件」という検索条件の方が多く、特に権利金の算定について関心が高いように見えましたので、少し調べてみました。

借地条件については、当事者間の協議によって決めることになりますが、協議が調わないときは、申立てにより、裁判所が定めることになります。(罹災法15条)

具体的な判例(神戸地判平8.2.5判タ902号252頁)がありますので紹介しますと、

“阪神淡路大震災で滅失した建物の賃借人が土地所有者に対して罹災法2条1項の賃借権の設定を申し出た場合の賃借条件で、権利金の額が問題になったケース。路線価の借地権割合は60%であるが、罹災法では借地期間が10年なので、借地権割合は50%が相当であるとし、これから借家権割合相当額(借地権価格の40%)の2分の1を控除して権利金の額と決定した。”

『借地権割合と底地割合 権利割合の本質と実務への応用(社団法人日本不動産鑑定協会法務鑑定委員会編)』判例タイムズ社

論点としては、

① 期間が10年であるので、借地権割合は路線価割合より小さい。

② 建物が滅失していても、借家権の控除を一部(2分の1)認める。

の2点が挙げられますが、借家人保護の力が働いているように見えます。

例えば、①については、期間10年といえども、借地期間満了時に正当事由が認められないと契約は更新されますので、更新料の特約がなく、建物の耐用年数が長い場合には、ほとんど普通借地権と同じと考えてもいいような気がします。

また、借家権についても、借家契約の家賃が相場より低額で「賃料差額」が生じている等の特別の場合を除けば、権利そのものに経済価値が発生しているケースは少ないと言えるでしょう。

とはいえ、この辺は実際の契約内容との兼ね合いですので、必ずしもこうであるとは言えません。前記の判例を基礎として、そのほか特別の事情があれば、それを考慮して主張していくことになりそうですね。

ちなみに、借家人が借地権の譲渡を申し出た際、これを拒否しようとする場合には、借地権の場合と同様、正当事由が必要となります。正当事由の補強として「立退料」の支払いを申し出ることで解決を図るケースもあると思いますが、この場合の立退料の算定基準も、前述の権利金の算定に係る考え方が参考になるのではないでしょうか。

【関連記事】

東日本大震災が不動産投資市場に与える影響(自然災害)

「全壊建物及びその敷地」という類型(罹災都市借地借家臨時処理法)

底地の価格

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【地代】土地の基礎価格は、「更地価格」か、「底地価格」か?

地代が争点となる訴訟で、よく問題となるのが、

土地の基礎価格は、「更地価格」か、「底地価格」か?

という命題です。

新規賃料を求める際の「積算法」や、継続賃料を求める際の「利回り法」において、「基礎価格」は、重要な意味を持ちます。

これらの手法において、地代は次の式で求められます。

基礎価格 × 利回り(※) + 必要諸経費等 = 地代(試算賃料)

※ 新規賃料の場合は、「期待利回り」、継続賃料の場合は「継続賃料利回り」。なお、基礎価格×利回りを「純賃料」と言います。

この式を見てわかる通り、基礎価格が大きいと、賃料は高く、基礎価格が小さいと賃料は低くなります。

基礎価格が「更地価格」か、「底地価格」か?の議論が白熱するのは、

「更地価格」 > 「底地価格」

という関係から、地主は大きい「更地価格」を主張し、借地人は小さい「底地価格」を主張するからです。

この議論には、ひとつ大きな視点が抜け落ちています。

それは、基礎価格を「更地価格」とした場合と、「底地価格」にした場合とでは、適用されるべき利回りがそれぞれ異なるという点です。

「元本と果実の相関関係」は、「元本」「果実」の定義によってその性質を異にするため、それぞれに対応した利回りを用いることが重要です。「元本」である基礎価格に「更地価格」を採用した場合と、「底地価格」を採用した場合では、適用する利回りは通常異なるはずであり、結果としてそれぞれの利回りを適用した計算結果は同じになるはずです。

一口に利回りと言っても、いろいろな種類のものがあります。

家賃の場合を例にとって見てみましょう。

一般財団法人日本不動産研究所が発表している『不動産投資家調査』において、「東京都丸の内、大手町地区におけるA クラスビル」は、期待利回り4.5%、取引利回り4.2%という形で2種類の利回りが発表されています。

この場合の「期待利回り」は、「投資価値の判断(計算)に使われる還元利回りを指す。通常、初年度の純収益(NOI)を期待利回りで割ったものが投資価値になる。」、一方、「取引利回り」は、「市場での還元利回り。単年度の純収益(NOI)を市場価格で割ったものを指す。」と、それぞれ定義されており、算定の基礎となる「元本」と「果実」が異なります。

なお、ここで登場する「期待利回り」は減価償却前の利回りであり、賃料を求める際の期待利回り(減価償却後の利回り)と異なる点に注意!

このように利回りにもいろいろな種類のものがありますので、それぞれ使い分ける必要があるのです。

では、地代を求める場合、一般的にはどのような利回りが用いられているでしょうか?

継続地代を査定する際にしばしば参考とされる『継続賃料実態調べ(日税不動産鑑定士会)』の「平均的活用利子率」は、

土地価格(#) × 平均的活用利子率 = 地代

# 更地価格 = 公示地価ベース = 相続税路線価/80%

(公示価格に対する路線価の割合が概ね80%とされていることを踏まえている)

と定義されています。即ち、基礎価格は「更地価格」です。

なお、実際には、路線価を80%で割り戻した価格と正常価格が一致しない場合が多く、しかも、果実である地代も必要諸経費等(≒公租公課)を控除していない数字であるため、適用に当たっては注意が必要です。

この他にも、鑑定評価を行う際に参考とするインデックス(各種調査結果等)は、「更地価格」を元本とするものが殆どで、「底地価格」に対する利回りの指標は、あまり見たことがありません。これは、そもそも底地の取引自体が少なく相場が形成されにくいことと、借地は個別性が強く、契約の内容等により底地価格は大きく異なるからだと考えられます。

ですので、「基礎価格」を「更地価格」とした方が、採用する利回りの説明が容易で、鑑定書としての説得力は高まると思います。

しかし、理論的には、どうでしょうか?

借地権を新たに創設する場合、借地権価格に相応する権利金が授受されるのが通常(実際に授受がなくても税務上、授受があったものとみなされる)ですし、既に借地権が設定されている底地を売買する場合、借地権価格を控除した価格で取引されるのが一般的です。

すなわち、「元本と果実の相関関係」をより厳格に捉えるならば、地主にとって果実(≒地代)の源泉となる元本(≒投資額)は「底地価格」であるはずです。

とはいえ、底地価格に対応する利回り(底地利回り)を指標とした取引が慣行的に行われている地域であれば話は別ですが、一般的には底地利回りの算定根拠を示すことは困難ですので、実務的には「更地価格」を基礎価格とする不動産鑑定評価書を作ることが多くなる思います。

なお、賃貸借に当たり最有効使用が見込めない場合(例:借地条件が非堅固建物、用途・階数が制限されている等)には、基礎価格は「契約減価」を考慮した価格を採用する必要がありますので、注意が必要です。

【追記】
近年、不動産投資信託(REIT)による底地の取得が多く見られるようになってきました。大規模な物流施設(倉庫)商業施設(GMS・量販店)の底地が中心で、J-REITに組み込まれている物件については、有価証券報告書等により、その投資利回りを調査できるようになりました。このようにして公表されるデータは、「純収益÷取引価格(=底地価格)」で算定される利回りであることから、「底地価格」を基礎価格とする期待利回りの参考となるものです。したがって、今後、大規模な物流施設商業施設については、基礎価格が「底地価格」に対する期待利回りとして把握されることが標準となっていくものと思われます。

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社団法人福島県不動産鑑定士協会の広報活動

社団法人福島県不動産鑑定士協会が、「公式ブログ」と「twitter」を使って、情報発信をしています。

(社)福島県不動産鑑定士協会の公式ブログ

twitterのアカウント:@fkantei 

放射線測定器の使用方法を福島大学に教わりに行ったり、と内容も実践的ですね。

福島県は、3月11日の東日本大震災で大きな被害を受け、その後も福島第一原子力発電所の事故により、多くの住民が避難を強いられています。

そんな中、不動産の専門家として、積極的に情報発信していく姿勢は、「士業の鑑」と言えましょう。

「ブログ」や「twitter」は、非常に簡単に世界に向けて情報発信できるツールですが、その簡便性故に、誤った情報を発信してしまうリスクも秘めています。

ですので、これまで公的機関や企業も導入に消極的だったような感じも見受けられましたが、この震災による混乱の中、より実践的で有用な情報を得るのに非常に有効なツールであることが認識されるようになりました。

なかなかマスメディアの報道に載らない現地にいる専門家ならではの情報発信に、今後も期待していきたいと思います。

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不動産鑑定士 四方田 修

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東京今昔物語- 企業と東京 -

不動産の鑑定評価をする時、まず最初にその不動産の存する「地域」についての分析を行います。

各々の不動産は、他の不動産と隔絶されてそれらと無関係に、独立して存在するということはなく、他の不動産とともにある地域を構成します。

「日本橋」、「銀座」、「丸の内」等の地名を挙げると、パッと眼に浮かぶ風景というものが皆さんにもあると思います。

これらの特色ある街の風景は、その街のある特定企業の存在と結び付けられて記憶されていることが少なくありません。

社団法人東京都不動産鑑定士協会が会員向けに発行している会報「かんてい・TOKYO」に『東京今昔物語- 企業と東京 -』にという連載があります。

東京の「まちづくり」に深く関わってきた優良企業の歴史を、起業あるいは今日の礎を築かれた地域の変遷を辿るもので、それぞれの地域の成り立ちを知る上でも大変貴重な資料となる内容です。

このうち2004年7月から10回分をまとめて冊子にした連載したものをまとめて冊子したものが発刊されています。

【テーマ一覧】

1 65号(2004/7) 「日本橋の街と三越の歩み」
2 66号(2005/1) 「銀座と資生堂の歩み」
3 67号(2005/9) 「丸の内の街と三菱地所の歩み」
4 68号(2006/1) 「日比谷の街と帝国ホテルの歩み」
5 69号(2006/8) 「恵比寿の街とサッポロビールの歩み」
6 70号(2007/1) 「田園調布と東京急行電鉄株式会社の歩み」
7 71号(2007/9) 「新宿の街と中村屋の歩み」
8 72号(2008/1) 「超高層ビル建築と三井不動産の歩み」
9 73号(2008/7) 「明治神宮外苑の街と明治記念館の歩み」
10 74号(2009/1) 「神田神保町の街と三省堂書店の歩み」

この冊子は、会員だけでなく広く一般向けに作成されており、不動産無料相談会講演会・その他の行事 等の会場でも配布していますので、もしご希望の方がいらっしゃいましたら、下記HPをご参考よりどうぞ。

http://www.tokyo-kanteishi.or.jp/katsudou/publishing.html#info

ところで、社団法人東京都不動産鑑定士協会は、この度、新公益法人へ移行することが認められ、平成23年9月1日付で『公益社団法人東京都不動産鑑定士協会』へと生まれ変わることになりました(詳しくはこちらを参照ください)。

これからは、より一層公益性の高い活動をしていくことになりそうです。

「かんてい・TOKYO(No78平成23年新年号)」には、我が「あかつき鑑定」の紹介記事が掲載されています。お読みいただけると光栄です!

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震災と土壌汚染

原発の事故による放射能汚染が話題にのぼっています。NHK教育テレビのETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」は、大きな反響を呼び、この放送と前後して東京電力は震災直後からメルトダウンが始まっていたことを認める発表をしたのは記憶に新しいところです。

我が江東区でも「ホットスポット」の存在が実しやかに囁かれていましたが、民間レベルでの土壌調査の結果、汚泥の処理施設周辺で高い数値が測定された(所謂「二次災害」)ことで、遂に区も独自に測定を開始することになりました。
すぐに健康被害が出るレベルではないものの、小さなお子さんのいる家庭にとっては深刻な問題ですので、速やかに適切な対応が図られることを望みます。

各方面で話題にのぼる放射能汚染の他にも、震災による土壌汚染の懸念材料があります。

発がん性物質の「アスベスト(石綿)」です。

アスベストは耐熱性、電気絶縁性、保温性に優れることから、建築材料として広範に用いられてきました。しかし、人が空中に飛散したアスベストを繰り返し吸入すると、じん肺等の深刻な健康被害をもたらします。そこで、アスベストによる健康被害の因果関係が明らかになると、1975年に吹き付けアスベストの使用が禁止され、2004年までには、石綿を1%以上含む製品の出荷が原則禁止されました。

規制後の建築物については、アスベストが使用されている可能性は低いと言えますが、それ以前の建物については、かなり高い確率で使用されていると言っていいでしょう。

そもそも、アスベストは世界中の空気の中に存在しますが、空気中のアスベストは微量であれば特に問題はありません。しかし、作業や工事など高濃度のアスベストが飛び散ることによって、長期にわたって特定の作業者や住民が大量のアスベストを吸い込むことが問題となります。

不動産鑑定評価においては、特に飛散性が高く、人体に健康被害を及ぼす可能性が高いとされる「吹付けアスベスト」について調査を行います。(その他の「非飛散性建材に含まれるアスベスト」については、劣化・損傷が著しい場合を除いては、価格形成に影響がないとされています。)

吹付けアスベストが使用されている場合、飛散のおそれがあれば除去・封じ込めの措置を行う必要があるため、そのための費用が計上(価格から控除)されます。また、取壊しを前提とする場合には、通常の取り壊し費用に加えて、飛散を防ぐためのアスベスト対策費用を計上する必要があります。

ここで、震災に話が戻りますが、今回の東日本大震災においては、広範な範囲で津波などによる建物倒壊の被害が発生しました。この倒壊した建物の中には、少なからずアスベストが含まれているはずで、これらが劣化・損傷し、空中に粉塵となって舞い上がったと思われます。膨大な量の瓦礫の中には、他にもPCBや農薬、中には化学工場から流出した毒劇物もあったと報道されました。

3.28朝日新聞「毒劇物の容器散乱、家屋内にも 宮城沿岸の工場から流出」http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103270229.html

こうした問題は阪神大震災の際にも問題視されており、環境省はいち早くモニタリング調査を実施し、今後も定期的に調査結果を発表していく予定となっています。

東日本大震災の被災地における環境モニタリング調査について(環境省)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13746

今後、被災地の評価を承る機会があるかもしれませんが、特に建物の倒壊が酷かった地域においては、地中(特に深刻なのは地下水)に、アスベストをはじめとする有害物質が残留(地下水へ浸透)している可能性が否定できないため、地域の被害状況に応じてボーリング調査等を行い、土壌汚染について適切に把握する必要があると思われます。

【参考】地域毎の被災状況の確認に、こちらが役に立ちそうです。

昭文社「復興支援地図」
http://www.mapple.co.jp/news/news_release110525.html

【関連記事】

被災地の評価

「全壊建物及びその敷地」という類型(罹災都市借地借家臨時処理法)

東日本大震災が不動産投資市場に与える影響(自然災害)

陥没

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銀座6丁目再開発~これからの銀座を占う

6/7付の日本経済新聞朝刊によると、森ビルとJ・フロントリテイリング(JFR)は、松坂屋銀座店周辺を再開発し、2016年にも銀座地区最大の商業施設を出店する方針を固めました。

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再開発の対象となる敷地面積は約1.4haで、2013年までに松坂屋銀座店を閉店し、中央通り側の9,000㎡にオフィス、多目的ホールなども有する複合ビルビル(地上12階、地下6階、総延床面積約14万㎡)を建築、その内、店舗面積は4万~4万5千㎡(現在の銀座店の高さは31mで売り場面積は約2万5千㎡)で、先日増床改装した三越銀座店約3.6万㎡を上回り、銀座地区最大の商業施設となります。

新しいビルは、屋上緑化や電気自動車用充電設備付き駐車場の設置等の環境対策や、防災備蓄倉庫、帰宅困難者一時収容施設の設置などの防災対策も提案。地下鉄銀座駅からあづま通り部分に地下道を新設し、新たな歩行者動線を導入する計画案も盛り込まれています。総事業費は800億~900億円と報道されています。

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この計画は2002年、森ビルと松坂屋の共同出資による企画調査会社「株式会社銀座都市計画」を設立して再開発計画に着手、ホテル等が入る高さ約190mの超高層ビルの計画を発表しましたが、同地区の景観を守りたい地元との協議が難航し、計画は大幅な見直しを迫られました

銀座の建物は戦後復興の1960年代までに建設されたものが多く、当時の建築基準法により高さ31mに制限され、統一された景観を形成してきました。この優れた景観を守るため、1998年に地区計画「銀座ルール」を制定し、建物の最高高さを道路幅に応じて13~56mに制限しました。

2002年に都市再生特別措置法の「緊急整備地域」に指定され、容積率が大幅に緩和されると、銀座においても再開発による建物の高層化の機運が高まることとなり、この松坂屋周辺の再開発や、歌舞伎座の高層化計画が明らかになります。2005年には都市計画法の特定街区制度を活用して銀座八丁目に121mの銀座三井ビルディングが建設されました。

こうした動きを受け、銀座ルールの見直しが進められます。2006年には、昭和通りより西の銀座中心部では一切の例外を禁止して建物の高さを56mに抑え、今まで規定のなかった屋上広告についても最大で10mまでとする新しい銀座ルールが施行されました。

一方で、昭和通りより東では、区長が「文化等の維持・継承に寄与する大規模開発」と判断した場合に限って56mを超える建物の建設が許可されることになり、歌舞伎座の再開発は認められます。

(関連記事:新歌舞伎座は銀座の防災拠点に(これからのビルに求められるもの)

この新しい銀座ルールにより、ホテルを含めた超高層ビルの建築計画は、建築規制に合わせたものへと再検討されます。高さを56m(広告塔を入れて66m)に抑えた結果、各フロアーの面積が広くなることで、店舗やオフィスとしての価値が高まることとなり、商業施設とオフィスを中心とした建物へと用途が見直されることになりました。(この辺りは最有効使用の判定において非常に参考になりますね。)

しかし、現在銀座・有楽町地区は、増床された三越や、有楽町西武跡地へのルミネ進出等、競争は熾烈です。

新店舗には、JFRの百貨店の他、国内外の有力百貨店を誘致し、大型観光バスの停留所も作る計画とのことですが、これは外国人観光客を意識した計画でしょう。

松坂屋銀座店といえば、昨年11月に、の6階部分(1,326㎡)に家電量販店LAOXが進出して話題になりました。有楽町駅前のビックカメラと比べて非常に小さな売り場面積にもかかわらず進出を決意したのは、「銀座ブランド」により外国人観光客を積極的に取り込むことで競合が可能との判断によるものです。これも景観の保全によるブランド維持の結果と言っては言い過ぎでしょうか?

東日本震災の影響により外国人観光客が大幅に減少していますが、いずれ賑わいは戻ってくるはずです。

規制緩和の流れに逆行して、大規模開発より街並みの保全を選んだ銀座の今後の動向を見守りたいと思います。

【関連記事】

新歌舞伎座は銀座の防災拠点に(これからのビルに求められるもの)

数寄屋橋阪急(モザイク銀座阪急)の立退料は60億円

百貨店から家電量販店(新宿三越アルコット閉店)

創造都市

芦屋市の景観保全と地価動向

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リニア中央新幹線で静岡県が活性化!?

2027年開業を目指すリニア中央新幹線。東京-名古屋間を40分で結ぶ計画です。

6月中にも中間駅案を関係自治体に提示するということで、地元自治体にとっては開業への期待が高まっていることでしょう。でも、実際どうなんでしょう?例えば、県庁所在地である甲府に駅が出来るとなれば、山梨県にとって非常に大きな経済効果が生まれると思いますが、山奥の何もないところにポツンと駅が出来たとして、果たして地元にとってのメリットはいかほどのものでしょうか?

これまでにも、地元の熱い期待に応えて新幹線の駅が新設された例はありますが、やはり市街地を外れたところにある駅は、何か物哀しげな雰囲気が漂います。「岐阜羽島」「新富士」等の『街はずれ』の駅で乗り降りしたことがありますが、駅前はレンタカー屋とホテル、数軒の飲食店があるだけで、とても街の発展に寄与しているようには見えませんでした。

何よりこれらの駅に行くのはなかなか大変です。東海道新幹線のダイヤは、現在9-2-2と呼ばれていて、1時間の間に「のぞみ」9本、「ひかり」2本、「こだま」2本のダイヤが組まれており、東京駅をひっきりなしに出発するうち、こだま号の割合は15%で、30分に1本の計算ですから、在来線の来ないこれらの駅は、地方のローカル線並みの不便さになります。

しかも、このこだま号は、あちこちの駅で「のぞみ」や「ひかり」が通過していくのを待たされます。時にはひとつの駅で2本もまとめて通過待ちさせられる屈辱を味わうことになります(笑)。

Shinkansen
上の時刻表を見ていただくとわかりますが、18:26に東京駅を出発したこだま号が名古屋に着くのは、21:16。この間に臨時列車等を含めると実に13本の「のぞみ」「ひかり」に抜かれ、4分遅れて出発する「のぞみ」に1時間以上も早く名古屋駅に先着されます。

名古屋駅の手前に「三河安城」という駅がありますが、こだま号で行くより、一旦のぞみ号(18:40発)で名古屋まで行って引き返した方が断然早く着きます(20:39着)。

それもこれも、新幹線が東京-名古屋-大阪の大都市間輸送に比重を置いていることが影響しているのですが、リニア中央新幹線が出来ると、今の新幹線はその役割を果たす必要がなくなります。「のぞみ」の本数が減り(または無くなり)、「ひかり」「こだま」中心のダイヤに戻るというわけです。

こうなると「静岡」「浜松」等の「のぞみ」通過駅への利便性の向上が期待されます。
5~10分間隔で新幹線が来るとなれば、ビジネスでの使い勝手も良くなり、会社の機能を分散させる計画も出てくることでしょう。

リニア中央新幹線の開業は16年後ですので、まだまだ先の話になりますが、今後の静岡県の動向が楽しみです。

H25.9.20追記

リニア中央新幹線のルート・駅の詳細が発表されました。東京の玄関駅となる品川駅と、名古屋駅は、かなり深い地下駅となるので、乗り換えが大変そうですね(京葉線の東京駅のイメージ)。リニアは東京~名古屋間40分ですが、乗り換えが、それぞれ10分づつ余計にかかるとしたらどうでしょう。新幹線の東京~静岡間は約1時間ですし、東京駅や新横浜駅にも停まりますし、静岡停車の本数も増えて、リニアより多くなるでしょうから、静岡の利便性が改めてクローズアップされるのではないでしょうか?

【関連記事】

リニア中央新幹線の駅の位置と環境影響評価準備書

鉄道と地域要因の変化(JR大阪三越伊勢丹と阪神大震災)

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