« 【平成23年路線価】「専門店」と「新幹線」 | トップページ | セルフ式も頭打ち~ガソリンスタンドと土壌汚染 »

更地は最有効使用か?(建付増加を考える)

不動産の価格は、最有効使用を前提として把握される価格を標準として形成されますが、敷地上の建物が最有効使用に適応しないものである場合には、その使用方法は当該建物に制約を受け、効用が最大限に発揮されず、その敷地に最有効使用の建物が建てられている場合に比べて、価値が低下していると考えられます。

その点、更地は建物等の構築物や権利が付着していないため、最有効使用の可能性があるということで、最も高い価格で取引されるものと言われていました。

Bdg007

しかし、不動産証券化ビジネスが定着し、不動産の経済価値を収益価格中心で把握するようになって、少し風向きが変わってきました。

例えば、既に賃貸に供されて満室稼働している貸家及びその敷地(=最有効使用の状態)の方が、更地の場合に必要となる、建物の建築に要する未収入期間を考慮する必要がない分、市場では更地より選好されるということがあります。
また、建物竣工後稼動段階においてテナント構成や管理の工夫などによって賃料が上昇し、建物が経済的に増加していると判断される場合があります。これについては、特定の運営主体のノウハウに起因するものであって、不動産鑑定評価では「標準的な市場参加者」を想定しているので、考慮すべきではないという考え方が有力ですが、実際の市場ではこのような不動産は、最有効使用を前提とした積算価格より、実際賃料に基づく収益価格の方が高く求められ、実際に高く取引されています。

リーマンショック直後、金融機関が不動産融資を抑制したことから、更地を購入しても建物を建てる資金を調達できないということで、更地が敬遠されるということも実際に起きています。

こうして考えると、「更地=最有効使用」も考え直さないといけないかもしれません。
現状通り、「更地=最有効使用」とするならば、既に最有効使用の状態の複合不動産については、「建付増加」を考慮する必要があると思います。

これらは、収益にシビアな不動産証券化を中心とした不動産市場での話ですが、これからは、対象不動産の市場特性をよく分析して、適切に判断していくことが求められていくことでしょう。

「建付増加」と言えば、「既存不適格建築物」や建築基準法第59条の2の「総合設計制度」により、地域の標準的な容積率を上回って建てられている建物等の敷地が挙げられます。

いずれの場合も最有効使用を上回って効用が発揮されるのは、当該建物の効用が十分に発揮されている期間に限るので、経済的残存耐用年数を考慮して、有期還元法(インウッド式)やDCF法で求められる収益価格を重視することになると思いますが、経済的残存耐用年数が短期間であったり、土地の復帰価格が低い(取壊し費用や立退料がかさむ)等により、必ずしも建付増加が発生するとは限らないので、注意が必要です。
また、不動産証券化市場において主要な市場参加者である外資系投資家の中には、既存不適格建築物をマイナス要素として捉える傾向がある等、効用の増分すべてが価格に反映されるとは限らないので、、慎重に判断する必要があります。

Akatsukilogo   

不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

ランキングにご協力下さい。
クリック
↓↓↓↓↓↓

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

|

« 【平成23年路線価】「専門店」と「新幹線」 | トップページ | セルフ式も頭打ち~ガソリンスタンドと土壌汚染 »

不動産鑑定」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/564607/52195287

この記事へのトラックバック一覧です: 更地は最有効使用か?(建付増加を考える):

« 【平成23年路線価】「専門店」と「新幹線」 | トップページ | セルフ式も頭打ち~ガソリンスタンドと土壌汚染 »