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セルフ式も頭打ち~ガソリンスタンドと土壌汚染

先週土曜日の日経新聞朝刊に、セルフ式ガソリンスタンドが、2011年第一四半期にはじめて純減したとの記事が出てました。

給油所と言えば、「レギュラー満タン」「窓は拭いてよろしいですか?」等とやり取りしながらのフルサービスが当たり前でしたが、1998年4月にセルフ式ガソリンスタンドが解禁されて以来、気軽さと価格の安さが支持されてその数を増やしてきました。しかし、セルフ式スタンドは価格でしか差別化を測れないため、都市部では価格競争が激化し、収益力の低下が深刻化していました。そこへ、原油価格の急騰、若者の自動車離れ等、経営環境の悪化が襲いかかります。

銀行時代、給油所を担当していたことがありますが、ガソリンの売上比率が高い業者は概して収益性が悪く、常連客が多く、点検やオイル交換、カー用品販売等の収入の多いスタンドの方が利益率が高い傾向にあります。

記事では、「価格しか遡及できないセルフ式の淘汰が始まっている。(JX日鉱日石エネルギー)」、「セルフ化率は3割が上限。(コスモ石油)」等のコメントが紹介されていましたが、廃業に追い込まれるスタンドも多く出てくることでしょう。

そこで問題となるのが、給油所跡地です。

不動産鑑定の立場から見ると、給油所跡地には大きな問題が二つあって、ひとつは地下に埋設された貯蔵タンク、そして土壌汚染の問題です。

給油所の施設を取り壊して新しい建物を建てる場合、基礎工事の邪魔になるため、地下埋設貯蔵タンクをそのままには出来ません。撤去には多額の費用がかかります(これは、銀行店舗の「金庫」にも同じことが言えます。)。

そのため、郊外の給油所等は閉鎖された後も、施設はそのままにして、中古車販売店やコンビニエンスストア等に模様替えして使っている例をよく目にします。しかし、これでは、最有効使用の実現は困難です。

仮に撤去したとしても、土壌汚染の問題が残ります。

タンクが老朽化して破損し、中の油脂類が地中に漏れ出している場合、油臭や降雨時の水たまりに油膜が浮く等の問題が生じる可能性があります。

・・・と、ちょっと迫力のない書き方をしてしまいましたが、実は、「油汚染」については、人への健康影響が少ないとして、土壌汚染対策法の対象ではないのです。

土壌汚染対策法で規制されているのは、ガソリン成分の内、1%程度しか含まれていない「ベンゼン」と、今は成分に含まれていない「鉛」です。

鉛については、1980年頃までは「有鉛ガソリン」が販売されていましたので、古い給油所の場合、注意が必要ですが、問題になるケースはそうは多くないものと思われます。

問題なのは「油汚染」ですが、2006年に「油汚染に関するガイドライン」(http://www.env.go.jp/water/dojo/oil/01.pdf)が制定されています。

本ガイドラインでは、油臭や油膜といった生活環境保全上の支障の除去を対象としており、油含有土壌の存在自体ではなく、それによって生じている油臭や油膜を対象とすることにしている点が特徴です。すなわち、近くに地下水がなければ、対象にはなりませんし、地下水があっても井戸水等として利用されておらず、油臭や油膜が問題となっていないならば、油汚染問題としてとらえる必要はないというものです。

但し、不動産鑑定の観点で観ると、油含有土壌に起因する地表や井戸水等の油臭や油膜については、それらが感覚的に把握できたときには、成分の分析を待つまでもなく不快感や違和感があることなどの生活環境保全上の支障を認識できるので、土壌汚染対策法やガイドラインに触れていなくても、価格を下げる可能性があるといえます。

一旦、汚染が明るみに出ると、その土地に対するスティグマ(心理的嫌悪感)により、土壌改良などの対策が行われた後でも、価格に影響を与えることがあります。(このスティグマについては、東日本大震災後の不動産の評価に大きな影響を与えるため、既に様々な考え方が発表されています。これについてはまた後日・・・。)

具体的な評価については、ケースバイケースですが、掘削除去や土壌改良の費用を控除し、その間の期間損失(逸失利益)、スティグマ等を総合的に勘案して評価する必要があります。土壌改良には安価なものもありますが、その分期間が長く使用収益出来ない等のケースも見られるので、案件ごとによく分析する必要がありそうです。

Akatsukilogo   

不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

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