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借地権付建物の新築分譲(譲渡承諾料・条件変更承諾料等)を考える

戦後しばらくの間は、まだまだ盛んに借地契約が結ばれていましたが、高度経済成長と国土改造計画等を通じて地価が高騰すると、地価の上昇に比べて地代が増加しないことや、いったん契約すると地主側から解除することが困難なこと等から、新規に借地契約を締結する地主さんも少なくなりました。

平成12年には定期借地権制度が施行されますが、あまり普及していないようです。

では、もう借地権はなくなる一方なのかと言うとそうでもなくて、古い借地権付建物を買い取って、建物を建て替えて、分譲する業者があります。

借地権と言うと、所有権に比べて権利が弱く、担保性が低いことから金融機関からの融資が期待できないといったデメリットがある一方、土地を買うより初期投資が少なくて済むというメリットもあり、市場は小さいながらも一定の需要があるようです。

借地権付建物の新規分譲は、次の様な流れとなります。

①借地人が売却申し出(主に相続によるケースが多いと思われます。)

②建売業者が借地人と交渉し、条件設定(地代改定、譲渡承諾料、増改築承諾料、条件変更承諾料等)。

③借地権の売買契約(借地人⇔建売業者)、借地契約(地主⇔建売業者)をそれぞれ締結。

④建物取壊し・新築・分譲販売

⑤借地権付建物の売買契約(建売業者⇔購入者)、借地契約(地主⇔購入者)をそれぞれ締結。

借地権の譲渡には、②で挙げたように、様々な手数料が発生します。これらの金額は、基本的には当事者間の交渉で決まりますが、これらは地主側の意向とは関係なく、借地人が非訟手続き(裁判所が通常の訴訟手続によらず、簡易な手続で処理をし公権的な判断をする事件類型)により、進めることも出来ます。

東京地方裁判所では、これらの手数料について、一定の基準を設けており、ごねても金額が変わることは稀なので、この基準に従っている限り、交渉はスムーズにいくことが多いようです。これらの手続き及び基準については、「詳解借地非訟手続の実務(編集 東京地裁借地非訟研究会)」に詳しく書かれています。但し、既に絶版で、私もかなり苦労して古本を入手しました。国会図書館には蔵書があります。

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ここで注意しなくてはならないのは、現借地人から新規分譲の購入者に渡るまでの間に、一旦建売業者が借地権を所有することになるため、譲渡承諾手数料は2回発生するということです。借地権価格の10%と言われている譲渡承諾手数料を2回払っては、採算が悪くなりますので、ここは交渉で減額(1回分)というのが一般的のようです。

既存建物の多くは、木造であり、これが鉄骨造等に建替えられると、非堅固建物→堅固建物の借地条件の変更ということになり、条件変更承諾料が必要となります。契約条件によって差がありますが、一般的には更地価格の10%を基準にしているようです。木造建築物の借地権を評価する際に、借地権割合を路線価の借地権割合より10%程度少なく評価するのは、この取り扱いが根拠になっているともいえるでしょう。

建売業者は、借地権付建物の買取価格に、これらの手数料、取得から販売までの地代、建築費、利益等を上乗せして販売します。

実は、実務修習で借地権付建物の評価をする際、このような案件で取り組んだのですが、具体的にどのような手続きが行われるのか確認しながらやると、とても勉強になったのです。

借地権の取引事例を見ていると、このような経緯で取引されたと思われる事例を見つけます。その際、取引の流れを理解しておかないと、相場の読みを誤るので、是非、一度勉強されるとよろしいかと思います。

Akatsukilogo   

不動産鑑定士 四方田 修

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