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標準的借地権割合とは?

借地権の評価で、「借地権割合」という言葉が出て来ます。

相続税評価を行う際に用いられる「財産評価基準書」の路線価図を見ると、数字の隣に「C」とか「D」と言った数字が付されていますが、これが借地権割合を示していて、「A」が90%、「B」が80%、「C」が70%・・・という具合に決められていて、税法上は、路線価を用いて求めた土地の価格に、この借地権割合を乗じた価格をもって、借地権価格とするとことが認められています。

不動産鑑定評価においても、借地権の取引慣行の成熟の程度が高い地域における借地権の価格を求める手法に、借地権割合法というのがあります。

不動産鑑定評価基準には、「借地権取引が慣行として成熟している場合における当該地域の借地権割合により求めた価格」と、仰々しく書かれていますが、早い話が税法と同じように、更地価格に借地権割合を乗じて借地権価格を求めます。

ここで、問題となるのが「借地権割合」です。

実務修習のテキストには、次の様に書かれています。

「借地権割合法の適用に当たっては、まず、対象不動産が存する地域の標準的な態様の借地権価格の更地価格に対する割合から標準的借地権割合を把握し、その割合をもとに対象不動産(借地権)の態様等を適切に反映した対象不動産に係る借地権割合を把握しなければならない。」

多くの方が、ここでいう「借地権割合」に、相続税路線価で定められた「借地権割合」をそのまま採用していると思われます。しかし、次の様にも書かれています。

「なお、このようにして得られた対象不動産に係る借地権割合は、各国税局の財産評価基準書における借地権割合とは必ずしも一致するものではないことに留意する必要がある。」

要するに、路線価の借地権割合をまるまる信用してはいけませんよ…ということです。

確かに、借地権の取引事例をもとに分析していくと、地域の標準的借地権割合は、路線価の借地権割合より、やや小さい値として把握されるのが一般的です。

これは、底地割合(更地価格に対する底地価格の割合)も同じ傾向で、「更地価格=借地権価格+底地価格」とはなりません。このことは、いったん借地権が設定されると、土地の最有効使用が阻害されること等により経済価値が低下するという理屈に合致するため、「更地価格>借地権価格+底地価格」の実証として説明されてきました。

でも、さらに分析を進めると、実は「借地権価格=相続税路線価×相続税借地権割合」という計算式で査定されたと思われる借地権価格がとても多いことに気が付きます。(もちろん、地域によりますが…)

相続税路線価は、通常公示地や基準地の価格の70~80%程度で査定されているので、この計算式で求めれば、不動産鑑定士の求めた更地価格に対する借地権割合が、相続税の借地権割合より小さく求められるのは当たり前です。

実際、借地権を売買した人の話を聞くと、相続税路線価をもとに計算したという話をよく聞きます。第三者に売買するなら話は別ですが、親族間や関係会社間で売買する場合などは、税務との整合性に気を使って、路線価による価格を採用することが多いようです。

このように決められた借地権の売買事例を基に、借地権割合を分析するのはいかがなものか?という疑問を以前から抱いているのですが、一方で、それも現実の社会経済情勢の下における合理的な市場として呑みこむべきなのかもしれません。まあ、ケースバイケースですね。

亡 高木文雄先生著の「法人・個人をめぐる借地権の税務」(借地権税務の名著。残念ながら平成10年版を最後に絶版となっており、現在入手困難です。)のまえがきにこのような話が書かれています。

“関西の不動産精通者によれば「土地と家屋の権利関係に関する東京の慣行が理不尽にも日本全国の慣行であると立法関係者に認識され」「司法省まで出かけてこの立法に強く反対したが聞入れてもらえず」 借地法、借家法が全国の慣行まで変更してしまった”

法制や通達が世間の取引慣行を誘導する力は大きいです。

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不動産鑑定士 四方田 修

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