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依頼者プレッシャー通報制度

昨日(2月13日)、社団法人日本不動産鑑定協会主催の倫理研修に参加しました。

昨年(平成23年)8月26日に、いわゆる「かんぽの宿」の時価評価に関して、不動産鑑定評価に関する法律に基づき、不動産鑑定士17名、不動産鑑定業者2社が処分され、国土交通省から「鑑定評価等業務の適正な実施の確保について」という通知が発出されました。

これを受けて、同協会では初めてとなる倫理研修を義務的研修として実施したものです。

この日の研修では、近年の不当鑑定事案等が紹介され、「鑑定評価書への記載に関する事項から、鑑定業者の内部管理体制に関する事項まで全6項目につての周知徹底すること」及び「協会の各種実務指針の点検及び改正、並びにいわゆる依頼者プレッシャー対策を講じること」についての報告がありました。

ここでは、実際に私達に不動産鑑定評価を依頼していただく皆様にも関連がある「依頼者プレッシャー通報制度」についてご紹介します。

今回の不祥事は、不動産鑑定士の職業専門家としての心構えに問題があったのも事実ですが、一方で依頼者プレッシャーの存在が問題視されていました。

そこで、依頼者から不当な働きかけを受けた場合に、通報することを義務付け、鑑定評価監視委員会での審議の上、依頼者や監督官庁などにその旨を通報(公表)する仕組みを制度化したものです。

依頼者プレッシャーとは「依頼者が行う、一定の鑑定評価額等の強要・誘導や妥当性を各評価条件の設定の強要等」を言います。

ここでいう「誘導」とは、鑑定評価依頼後において、鑑定評価等の依頼の取り消し、報酬の増減額、今後の取引停止等をほのめかす言動などにより依頼者が意図する最終結果に近づかせるための行為をいい、一定の強要性が必要となります。

したがって、鑑定評価等に着手しない段階で、単なる希望価格の伝達や目線合わせ等と称した鑑定評価額等の結果を拘束しない価格間のやり取りは、依頼者プレッシャーに該当しません。

「1億円で書いて欲しい」まではOKですが、鑑定評価等の着手後に「1億円行かなかったら、依頼取り消す」とか、「(鑑定料)半分しか払わない」等と脅すと、依頼者プレッシャーに該当します。

複数の不動産鑑定業者に対し、売主の売却希望価格を伝えた上で概算評価額の算定を依頼し、概算評価額が売主の売却希望価格以上またはそれに近似する額が提示されるまで不動産業者を追加して概算評価額の算定を依頼する等の不適切な不動産鑑定業者選定のプロセス(いわゆるフィッシング行為)については、原則依頼者プレッシャーに該当しませんが、依頼を謝絶された鑑定業者から通報される可能性があります。

【参考】公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会のリーフレット

あかつき鑑定では、訴訟案件が多いのですが、訴訟案件の場合は、プレッシャーをかけて法外な鑑定評価額にしたところで、問題解決に何の役にも立ちませんので、今のところあまり強いプレッシャーを受けたことはありません。

依頼者プレッシャーは主に証券化不動産や会計上の資産評価等で多く発生しているのではないでしょうか?

訴訟案件の場合は、不動産の個別性や契約の特殊事情等が評価額に影響を与えるケースが多いのですが、依頼人の考えている金額を仰っていただくことを通じて、お互いコミュニケーションが図れて、鑑定評価書に記載すべき事実が明らかになったりします。

例えば、「相手方は、○○○円と言っているが、そんなに高いはずはない!」という会話から、「実は、契約の時こんな取り決めをして・・・」等といった情報が、一緒に伝わってきたりします。・・・ですので、強要しない程度に希望を言っていただくのは大歓迎です。

以前こんなことがありました。サブリース契約の賃借人(転貸人)で、「マンション一棟の家賃を査定して欲しい。」というこで、賃貸人(家主)に賃料減額を説得するのに、「出来るだけ安く!」との希望でした。結果は、依頼人に沿うものではなかったのですが、調査の過程で、各住戸の賃料の設定に問題があり、これを見直せば収益を高めることが可能であることが判明しました。

このように、不動産鑑定士はただ鑑定評価額と署名・捺印だけの存在ではなく、不動産に係る知識を生かして、いろいろお役に立てるよう努力しております。

プレッシャーをかけて鑑定評価額を強要するのではなく、一緒に問題解決の道筋を立てていけるような関係が望まれます。そのためにも、職業専門家として日々の研鑽が大切ですね。

これからも、クライアントの皆様といい関係を築いていけるよう、努力していきたいと思います。

依頼者プレッシャー通報制度は、平成24年7月1日から適用されます。

Akatsukilogo   

不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

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