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2012年3月

垂直の庭園都市

去る3月8日、森ビル元社長の森稔氏がお亡くなりになりました。

ちょうどその日、日経のシンポジウムで、森ビルの副社長執行役員の山本和彦氏によるスマートシティの事例紹介を聴いていました。
その中で、Vertical Garden City(垂直の庭園都市)という言葉が何度か出て来て、森ビルの都市開発における基本理念に触れたような気分がしました。

“Vertical Garden City”とは、住宅やオフィスを超高層化することによってオープンスペースや建物の屋上を積極的に緑化して快適な都市空間をつくり出し、緑被率を高めてヒートアイランド現象の緩和や省エネによる地球温暖化防止に役立てようと言うものです。

実例として、アークヒルズの事例が挙げらていましたが、1990年に23.3%(1.15ha)だった緑地化率は、2011年45.6%(2.26ha)にまで増加したそうです。まさに、竣工後も成長を続ける都市です。この結果、外皮負荷の削減効果により、表面温度の低下に寄与しているとのことでした。
http://www.mori.co.jp/company/press/release/2009/10/20091001153000001728.html (この記事は2009年時点)

さらに、エネルギーの自律分散型セキュリティ電源についても言及されていました。

森稔氏の著書で震災前の2009年に発刊された「ヒルズ 挑戦する都市」には、“六本木ヒルズでは耐震性はもちろんですが、地震でライフラインがストップしても、仕事や生活を継続できる設備や物資を備えている。つまり、今までの「逃げ出す街」から、災害時に「逃げ込める街」を目指したのです。”と書かれていています。
東日本大震災と原発事故による電力使用制限は、皮肉にも森ビルの都市開発の理念の正しさを立証する機会になりました。震災後の東京電力による節電要請の中、ガスタービンコージェネレーションによる自家発電による安定供給が注目されます。六本木ヒルズのとある会社に勤める友人の話によると、実際にはヒルズでも節電に努め、余った電力を東京電力に融通していたと言いますから、実に律儀な会社だと思います。

また、六本木ヒルズの再開発に当たっては、当初開発区域の設定で大きな決断があったそうです。
敷地南側住宅地(1ha弱)は、崖下の窪地で、曲がりくねった急勾配の狭い道路(玄硯坂)は雪が降ると通行止めとなり、消防車も入れないため防災上極めて危険な場所でした。既に南側住宅地を除いた区域で再開発準備組合が組織され、参加率も80%を超えていました。一方で、ここには、約80人近い権利者がいるため、この区域を再開発に加えると開発計画に大きな影響を与えることになります。経済合理性から判断すれば、区域の拡大は賢明な策とは言えません。しかし、仮にこれらの区域が再開発から取り残されれば、危険な状態がいつまでも残されてしまいます。そこで、開発区域の拡大を決断します。

これも都市開発に対する基本理念のしっかりした森ビルらしいエピソードですね。

森氏の携わった都市開発の多くは、地権者との対立や、バブル崩壊等、数々の難局を乗り越え、十年以上の月日をかけて竣工したものです。六本木ヒルズについても、Livedoor事件の頃には、悪い噂も絶えませんでしたが、基本設計のしっかりした都市は、多少のことでは傷つかず、むしろ震災のような難しい局面でこそ、その真価が発揮されるのでしょうね。

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不動産鑑定士 四方田 修

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コンビニ戦国絵巻

近所のコンビエンスストアの看板が続けざまに掛け替えられています。
昨年、サンクスの入っている建物がマンションへの建替えにより休業期間に入ったのがことの発端でした。
次にam/pmが閉店。看板が下げられたと同時に、ファミリーマートが開店するとの貼り紙。
そして、今年に入って、今度は少し離れた永代通り沿いのサンクスが知らない間に閉店しており、近々、ローソンが開店するとのことでした。

マンション建替えの話は別として、あとのふたつは、コンビニエンスストア業界の再編に大きく関わっています。

まずは、am/pm。2010年にファミリーマートがam/pmを吸収合併し、短期間のうちにファミリーマートへの転換を進めました。
am/pmといえば、2009年にローソンが買収について基本合意したものの、米エーエム・ピーエム・インターナショナルとの間で商標権をめぐって意見が合わず、白紙に戻った経緯があります。この時の成行き如何ではローソンになるはずでした。しかし、am/pm閉店からファミリーマート開店まであっという間で、コンビニチェーンのマネジメント能力の高さを思い知らされました。

一方のサンクス。こちらはもう少しローカルな話で、千葉県を中心にコンビニエンスストア「サンクス」約120店を運営するCVSベイエリアが、サークルKの収益力に不安がある等として脱退を求め、サークルKサンクス側は「中途解約権はない」と東京地裁に提訴。結果、CVSベイエリアが15億円を支払う代わりに、他チェーンへの転換を認める内容で和解に至り、2月末の契約満了とともに脱退。新たに業界2位のローソンと契約することになりました。

コンビニ経営は、POSシステムによる効率的な在庫仕入管理やドミナント戦略と呼ばれる物流に適した出店戦略等、徹底した経営の効率化が特徴です。その意味では、特定地域において同じブランドに集約していくことは当然の成り行きで、今後も、より収益力のあるフランチャイズチェーンに集約されていくことが予想されます。

am/pm合併に伴い、ファミリーマートの約30%の株式を保有する伊藤忠商事は、サークルKサンクス株を約47%保有しているユニーと資本提携(約3%の株式を取得)しており、今後、ファミリーマートとサークルKサンクスの協力関係を進める方針を示しています。一部では、将来的にセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの三社に集約されていくとの予測も出されています。

近所のマンションが竣工する頃、果たしてどのようになっているのか、注目したいと思います。

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不動産鑑定士 四方田 修

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オフィスビルの省エネ・節電を考える(無理なく出来ること)

シンポジウムに行って参りました。(2012/3/12)

日経環境シンポジウム

オフィスの省エネ・節電を考える

-節電の先のスマートエネルギーシティへ-

主催は、東京都環境局と日本経済新聞社で、とてもタイムリーな話題とあって、いいのホールの座席はほとんど埋まり大盛況でした。

東京都環境局の作成したレジュメによると、東京電力管内の今夏の電力供給(政府見込み)は5,706万kWで、昨夏最大のピーク4,922万kWに対して、14.7%の余裕率ですが、他の講師の方によると、実際には5千万kWしか供給力がない(実際、津軽海峡のケーブル断線で北海道電力からの供給能力が半減している)との話もあり、今年もより一層、節電の意識を高めていく必要があります。

ちなみに、一昨年のピークは5,999万kW(東京の最高気温35.7℃)でしたので、昨夏(東京の最高気温36.1℃)は、1千万kW以上の節電を行ったことになります。停電に対する危機感と震災復興に対する一体感(特に産業界の協力)で乗り切りましたが、今年はもっと効率的に、「無理のない」節電に取り組んでいく必要があります。

シンポジウムでは、各社の省エネ技術(特にITを活用したデマンド・マネージメント)の紹介の他、比較的無理せず簡単に出来る省エネについて触れられていたので、ここで紹介したいと思います。

オフィスで節電可能な電気需要と言えば、「空調」と「照明」です(意外にもエレベータは技術革新により、稼働停止・削減しても省エネ効果は低いそうです)。

空調でいうと、室内温度28℃を徹底しているビルが増えました。暑さの感じ方には個人差があるので、中には苦労された方もいらっしゃると思います。暑さが不快と感じるかどうかは、温度だけではなく、湿度も関係してきます。一般的に、不快指数が75を超えると半数以上の人が不快と感じるので、75以下を目指して空調を行います。

①室温28℃・湿度40%

②室温26℃・湿度60%

①と②は、いずれも不快指数74で同じですが、湿度の低下には大きなエネルギーが必要なので、室温26℃②の方が省エネルギーなんだそうです。温室度を管理できる空調の場合は、28℃に拘らず、湿度管理によって快適性を損なわずに省エネ推進が出来ると言う事例です。

次に照明については、タスクアンビエント照明が紹介されていました。

タスク・アンビエント照明とは、「アンビエント」(周囲環境)照明として控え目の照度で室内全体を照明し、「タスク」(作業)照明として局部的に作業面を明るく照明する方式のことをいいます。

最近の事務仕事はバックライト液晶画面のパソコンで行うことが多いため、書類を参照するための電気スタンド等を用意すれば、全体的な照度を下げても、それほど快適性が損なわれないとする考え方です。

東京都の行ったアンケート結果によると、一昨夏はJIS照明基準上限の750lxを採用しているビルが5割程度だったのですが、昨夏は500lx程度以下に下げるビルが全体の7割に達しました。

震災直後は、街が急激に暗くなったので、何かと違和感がありましたが、慣れの問題もありますので、これなら無理なく実施できそうです。今夏も6割の事業所で、500lx以下の照度を実施する予定だそうです。

この他にも様々な取り組みが紹介されましたが、デマンドの「見える化」を図り、現状の分析と可能な対策を検討していくことが何より重要です。

東京都ホームページに具体的な節電対策事例が紹介されているので、是非ご参照下さい。

http://www.eccj.or.jp/tokyo-advice/01/sample.php

昨夏は、オーナーに対して節電対策を提案したテナントの割合は4割で、今夏は8割が提案するとの意向だそうです。節電の実施により光熱費負担が減るという側面もありますが、今や節電も「テナントに対するサービスの一環」という感覚が必要なのかもしれません。

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建物の地震被害とその対応策

技術と法律の両面から語る不動産オーナー・ディベロッパー・ビル管理者のための

『建物の地震被害とその対応策』

-東日本大震災の教訓を受けて-

松田綜合法律事務所主催、東京建物不動産販売株式会社後援のセミナーに参加しました。

最初に、弁護士の佐藤康之先生から、『建物所有差の法的責任について』と題して、地震による建物の損壊によって、他人に損害を与えたときの所有者責任について、条文や判例、今後の動向について説明がありました。

阪神淡路大震災、東日本大震災を経て、建物の耐震改修の要請が高まっていることもあり、今後は建物所有者の責任がより厳しく問われるようになることが予想されます。

続いて、鱒沢工学研究所の鱒沢曜先生により、『建物の地震被害と耐震対策について』

構造体と非構造体、新耐震と旧耐震、それぞれの建物について、東日本大震災による建物の損傷事例を写真で紹介し、具体的な耐震補強方法について解説がありました。

大規模な地震が起きる度に、耐震基準は厳しくなっていますが、昭和56年6月施行の新耐震基準以降は、吊天井やはめ殺しの窓ガラス等の非構造体への規制が強化されているのが特徴的だそうです。

これは、建物の構造部分が無事であるにもかかわらず、非構造体の損傷により大きな被害が出ていることに対応しているものです。先の震災では九段会館で天井崩落による被害が出てしまいましたが、対象となる500㎡にわずかに満たなかったため、規制が及ばなかったそうです。

セミナーでは特に取り上げられませんでしたが、地震保険の保険金支払いの対象は建物構造部分ですので、こうした非構造体部分が対象にならないということにも注目して、今後の設備計画を立てていく必要があるでしょう。

リスク管理とは難しいもので、実際に被害が生じれば、その損失が甚大になることがわかっていても、その対策を講じるための費用の支出には、消極的になりがちです。しかし、具体的な対応策が技術的に可能になっている現在、その対策を怠って事故を起こせば、建物管理者は責任を免れることはできません。

文部科学省の研究チームは7日、研究成果を公表し、首都直下地震の予測について、震源のプレート(岩板)境界が従来想定より約10キロ浅いことが判明し、東京湾北部でマグニチュード7級の地震が発生すれば、東京湾岸の広範囲で、従来想定の震度6強より大きい震度7の揺れが予想されるとして、国の中央防災会議が発表している、「最悪ケースで死者1万1千人、経済被害112兆円」とされた従来の被害想定を見直す方針であると報道されました。

明日にも来るかもしれない大震災に備え、少しでも多くの対策が取られていくことを願います。

Akatsukilogo   

不動産鑑定士 四方田 修

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