« コンビニ戦国絵巻 | トップページ | 社会の変化に対応したよりよい鑑定評価に向けて »

垂直の庭園都市

去る3月8日、森ビル元社長の森稔氏がお亡くなりになりました。

ちょうどその日、日経のシンポジウムで、森ビルの副社長執行役員の山本和彦氏によるスマートシティの事例紹介を聴いていました。
その中で、Vertical Garden City(垂直の庭園都市)という言葉が何度か出て来て、森ビルの都市開発における基本理念に触れたような気分がしました。

“Vertical Garden City”とは、住宅やオフィスを超高層化することによってオープンスペースや建物の屋上を積極的に緑化して快適な都市空間をつくり出し、緑被率を高めてヒートアイランド現象の緩和や省エネによる地球温暖化防止に役立てようと言うものです。

実例として、アークヒルズの事例が挙げらていましたが、1990年に23.3%(1.15ha)だった緑地化率は、2011年45.6%(2.26ha)にまで増加したそうです。まさに、竣工後も成長を続ける都市です。この結果、外皮負荷の削減効果により、表面温度の低下に寄与しているとのことでした。
http://www.mori.co.jp/company/press/release/2009/10/20091001153000001728.html (この記事は2009年時点)

さらに、エネルギーの自律分散型セキュリティ電源についても言及されていました。

森稔氏の著書で震災前の2009年に発刊された「ヒルズ 挑戦する都市」には、“六本木ヒルズでは耐震性はもちろんですが、地震でライフラインがストップしても、仕事や生活を継続できる設備や物資を備えている。つまり、今までの「逃げ出す街」から、災害時に「逃げ込める街」を目指したのです。”と書かれていています。
東日本大震災と原発事故による電力使用制限は、皮肉にも森ビルの都市開発の理念の正しさを立証する機会になりました。震災後の東京電力による節電要請の中、ガスタービンコージェネレーションによる自家発電による安定供給が注目されます。六本木ヒルズのとある会社に勤める友人の話によると、実際にはヒルズでも節電に努め、余った電力を東京電力に融通していたと言いますから、実に律儀な会社だと思います。

また、六本木ヒルズの再開発に当たっては、当初開発区域の設定で大きな決断があったそうです。
敷地南側住宅地(1ha弱)は、崖下の窪地で、曲がりくねった急勾配の狭い道路(玄硯坂)は雪が降ると通行止めとなり、消防車も入れないため防災上極めて危険な場所でした。既に南側住宅地を除いた区域で再開発準備組合が組織され、参加率も80%を超えていました。一方で、ここには、約80人近い権利者がいるため、この区域を再開発に加えると開発計画に大きな影響を与えることになります。経済合理性から判断すれば、区域の拡大は賢明な策とは言えません。しかし、仮にこれらの区域が再開発から取り残されれば、危険な状態がいつまでも残されてしまいます。そこで、開発区域の拡大を決断します。

これも都市開発に対する基本理念のしっかりした森ビルらしいエピソードですね。

森氏の携わった都市開発の多くは、地権者との対立や、バブル崩壊等、数々の難局を乗り越え、十年以上の月日をかけて竣工したものです。六本木ヒルズについても、Livedoor事件の頃には、悪い噂も絶えませんでしたが、基本設計のしっかりした都市は、多少のことでは傷つかず、むしろ震災のような難しい局面でこそ、その真価が発揮されるのでしょうね。

Akatsukilogo   

不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

ランキングにご協力下さい。
クリック
↓↓↓↓↓↓

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

|

« コンビニ戦国絵巻 | トップページ | 社会の変化に対応したよりよい鑑定評価に向けて »

地域経済」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/564607/54234734

この記事へのトラックバック一覧です: 垂直の庭園都市:

« コンビニ戦国絵巻 | トップページ | 社会の変化に対応したよりよい鑑定評価に向けて »