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2012年4月

一時金の運用利回り

「保証金の運用利回りって、本当に●%で回せるの?」というような質問を受けることが多いです。

訴訟関係の仕事が多いので、訴訟の相手方が提出する鑑定評価書を見る機会が多いのですが、今ですと2%位の運用利回りを採用している評価書が多いと思います。

これを書いている4月24日時点の金利水準は、都市銀行の大口定期預金で1年ものが0.03%、10年預けても0.25%です。保証金を預かった大家さんが、それを銀行に預けてもこの程度の利息しか付かないのに、なぜ2%?と疑問に思われるのも無理もありません。

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不動産鑑定評価基準には、「運用利回りは、賃貸借等の契約に当たって授受される一時金の性格、賃貸借等の契約内容並びに対象不動産の種類及び性格等の相違に応じて、当該不動産の期待利回り、不動産の取引利回り、長期預金の金利、国債及び公社債利回り、金融機関の貸出金利等を比較考量して決定するものとする。」と書かれています。

一口に金利・利回りと言ってもいろいろな種類があり、それぞれ水準が異なります。

保証金の場合、賃貸借契約を結んだ際に授受が行われ、契約が終了した際に返却します。賃借人が有利に扱われている我が国の借地借家法の下では、原則として賃借人はいつでも解約することが出来るので、賃貸人はいつでも保証金を返却できるように流動性の高い銀行預金等で運用するのが一般的かもしれません。しかし、複数の賃貸物件を持つ賃貸人の場合、賃貸借契約が一度にすべて解約されると言うこともないでしょうから、長期安定的で利回りも高い国債等で運用することもあるでしょう。また、実際に運用する賃貸人の事情だけでなく、預けている賃借人の立場からすれば、少しでも高い利回りで運用して欲しいと考えるでしょうから、そういった事情も考慮する必要があるでしょう。

また、一時金の中には、建設協力金といった名目で金融的性格を有するものもあります。これは、いわゆる長期の低利または無利子の融資ですので、運用益の査定において採用すべき金利水準は、貸付利息となるはずです。

このように、一時金の運用と言っても、一時金の性格や当事者の属性などによって一概にどれが正しいとは言えませんので、その都度実情に合わせて判定していくことになります。

私のところでは、継続賃料を評価する機会が多いのですが、利回り法の適用する場合において、各賃料を定めた時点の金利水準が大きく異なる場合があります。例えば、平成2年頃は、バブル経済の最盛期で、公定歩合の引き上げ等、高金利政策の影響もあって、預金金利が7%を超えていました。このような場合に、価格時点(現在)と同じ利回りを採用することは合理的ではありませんので、それぞれの時期に見合った異なる利回りを採用する必要があります。実際、今のような低金利時代が定着するまでは、5~6%程度の運用利回りで計算していた例が多かったのではないでしょうか?

ちなみに、毎年、国土交通省から通知(発表?)される「定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成●●年分の利率について」で発表している利率は前年の長期国債の平均利率(小数第2位を切り捨て)を採用しており、平成23年分は1.1%でした。この辺りの数字を使っておけば、説明はしやすいかもしれません。

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不動産鑑定士 四方田 修

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社会の変化に対応したよりよい鑑定評価に向けて

4月に入って、不動産鑑定業界も新しい年度を迎えました。

大きな変化としては、4月1日から、社団法人不動産鑑定協会が、公益社団法人 不動産鑑定士協会連合会へと改組されました。この他、各県の不動産鑑定士協会の中にも、新法人への移行の動きが見られました。

https://www.fudousan-kanteishi.or.jp/japanese/info_j/2012/20120402_kouekininka.pdf

今後は、より公益性に重点を置いた活動を行っていくことになります。

また、同協会連合会が作成する、「不動産鑑定業者の業務実施体制に関する業務指針」及び「不動産鑑定士の役割分担及び不動産鑑定業者の業務提携に関する業務指針」が改正され、鑑定業者の内部管理体制の強化が図られます。私達不動産鑑定士・不動産鑑定業者が従うべき以下の指針の改正も行われました。

また、以前このBLOGでもご紹介しました「依頼者プレッシャー通報制度」が始まります。http://akatsuki-rea.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-2033.html

これらの改正指針は、今月以降、適切な周知期間を経て施工される予定です。(7月1日施行)

こうした施策は、国土審議会土地政策分科会不動産鑑定評価部会において繰り返し検討され、平成22年3月には、報告書「社会の変化に対応したよりより鑑定評価に向けて」という形で発表され、今回の改正に至っています。

同部会は3月にも開催され、不動産鑑定評価基準の改正を視野に、制度の在り方を検討しました。

検討会ではまず、鑑定評価をめぐる現状を整理。グローバル化への対応のほか、今後業務の拡大が期待できる分野への注力が施策として示されています。

特に、後者については、中古住宅流通促進政策を受け、中古住宅の評価需要が高まる可能性を指摘しており、宅建業者等の他業種との連携や、鑑定士活用の有用性を一般に周知する重要性が示されました。

委員の間では、鑑定士の建物評価能力の向上が必要であるという見解で概ね一致。中古住宅の評価については、「精緻化を目指すよりむしろ、簡易な評価手法が消費者需要に即しているのではないか」といった意見が出されました。

確かに建物の評価については、私ももう少し精緻にやって行く必要性を感じています。

4月以降、鑑定士である委員を中心に検討グループを構成し、現行の不動産鑑定評価基準に関する課題を抽出。6月をメドに同基準見直しの方向性を取りまとめ、2012年中に報告書をまとめる方針だそうです。

業界内では、作業負担が重くなるなどの不満の声も聞かれますが、かんぽの宿問題等で、失いつつある信頼を取り戻すためにも、遵守していく必要があるでしょう。しっかりとキャッチアップしていかなくてはいけませんね。

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