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一時金の運用利回り

「保証金の運用利回りって、本当に●%で回せるの?」というような質問を受けることが多いです。

訴訟関係の仕事が多いので、訴訟の相手方が提出する鑑定評価書を見る機会が多いのですが、今ですと2%位の運用利回りを採用している評価書が多いと思います。

これを書いている4月24日時点の金利水準は、都市銀行の大口定期預金で1年ものが0.03%、10年預けても0.25%です。保証金を預かった大家さんが、それを銀行に預けてもこの程度の利息しか付かないのに、なぜ2%?と疑問に思われるのも無理もありません。

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不動産鑑定評価基準には、「運用利回りは、賃貸借等の契約に当たって授受される一時金の性格、賃貸借等の契約内容並びに対象不動産の種類及び性格等の相違に応じて、当該不動産の期待利回り、不動産の取引利回り、長期預金の金利、国債及び公社債利回り、金融機関の貸出金利等を比較考量して決定するものとする。」と書かれています。

一口に金利・利回りと言ってもいろいろな種類があり、それぞれ水準が異なります。

保証金の場合、賃貸借契約を結んだ際に授受が行われ、契約が終了した際に返却します。賃借人が有利に扱われている我が国の借地借家法の下では、原則として賃借人はいつでも解約することが出来るので、賃貸人はいつでも保証金を返却できるように流動性の高い銀行預金等で運用するのが一般的かもしれません。しかし、複数の賃貸物件を持つ賃貸人の場合、賃貸借契約が一度にすべて解約されると言うこともないでしょうから、長期安定的で利回りも高い国債等で運用することもあるでしょう。また、実際に運用する賃貸人の事情だけでなく、預けている賃借人の立場からすれば、少しでも高い利回りで運用して欲しいと考えるでしょうから、そういった事情も考慮する必要があるでしょう。

また、一時金の中には、建設協力金といった名目で金融的性格を有するものもあります。これは、いわゆる長期の低利または無利子の融資ですので、運用益の査定において採用すべき金利水準は、貸付利息となるはずです。

このように、一時金の運用と言っても、一時金の性格や当事者の属性などによって一概にどれが正しいとは言えませんので、その都度実情に合わせて判定していくことになります。

私のところでは、継続賃料を評価する機会が多いのですが、利回り法の適用する場合において、各賃料を定めた時点の金利水準が大きく異なる場合があります。例えば、平成2年頃は、バブル経済の最盛期で、公定歩合の引き上げ等、高金利政策の影響もあって、預金金利が7%を超えていました。このような場合に、価格時点(現在)と同じ利回りを採用することは合理的ではありませんので、それぞれの時期に見合った異なる利回りを採用する必要があります。実際、今のような低金利時代が定着するまでは、5~6%程度の運用利回りで計算していた例が多かったのではないでしょうか?

ちなみに、毎年、国土交通省から通知(発表?)される「定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成●●年分の利率について」で発表している利率は前年の長期国債の平均利率(小数第2位を切り捨て)を採用しており、平成23年分は1.1%でした。この辺りの数字を使っておけば、説明はしやすいかもしれません。

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不動産鑑定士 四方田 修

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