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2012年5月

共有持分の競売(第三者による取得)とその対策

共有名義の持分が競売にかかっているのをしばしば目にします。

このような共有持分を第三者が取得しても、物件を単独で自由に使うことが出来ないので、普通の人は買おうとは思わないでしょう。でも、ちゃんと落札する人がいたりします。

このような物件に入札するのは、いわゆる不動産ブローカーが中心で、落札後は、他の共有者へ買い取りを要求したり、または他の共有者の持分を買い取って、100%完全所有権に復帰させる等の交渉を行っていきます。

もちろん、他の共有者もこの交渉に乗るくらいでしたら、そもそも競売で落札しているはずですので、交渉は難航するはずです。しかし、共有持分の落札者には、最後の切り札として、「共有物分割」の請求をすることが出来ます。

日本の民法は、単独所有(単有)を原則としているため、各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができます(民法256条1項本文)。

分割の方法としては、(1)現物を分割する方法(現物分割)、(2)共有者の一部が他の共有者へ対価を支払って全共有物を取得する方法(価格賠償)、(3)共有物を売却して売却代金を共有持分にしたがって取得する方法(代金分割)、が考えられますが、既に交渉が決裂しているのですから、協議は不調に終わる可能性が高いでしょう。

当事者間での協議が調わないときは、分割を裁判所に請求できることになっています(民法258条1項)。

裁判による分割の場合、現物分割が原則ですが、不動産の現物分割は困難な場合が多い(マンションを真っ二つに割ることなど出来ません…)ので、競売による代金分割(民法258条2項)ということになります。(近年の判決では価格賠償による決着も認められていますが、共有物の価格が適正に評価される等の条件を満たす必要があります。)

この手続きは、裁判で行われるものの、性格的には非訟手続きであって、形式的に進められていきます。したがって、第三者に共有持分を取得されてしまった場合、その不動産が競売にかけられる可能性が高いといえるでしょう。

競売にかけられれば、その不動産を自己競落しない限り、他人の手に渡ってしまうことになります。したがって、共有持分が競売等で第三者の手に渡りそうになった場合は、早い段階で当該不動産の価値を見積り、合理的な価格で買い受ける等の交渉を行うべきです。

運悪く競売にかけられてしまった場合にも、自ら落札する等の対策を取ることにより、防衛を図ることも出来ます。落札者が不動産ブローカーに限定されることを考えれば、共有持分の適正時価から、各種交渉や訴訟に係る費用、ブローカーの利益を差し引いた金額以上の価格で落札されることは考えにくいので、第三者による入札予定額をある程度予測することは可能です。

仮に第三者の手に渡ってしまっても、裁判上で価格賠償により第三者の取得した持分を買い取ったり、建物によっては区分所有権にすることで、現物分割が可能かもしれません。

いずれにしても、後になればなるほど、採り得る対策の選択肢が減って行きますので、早い段階でご相談することをお勧めいたします。

【関連記事】

共有持分の鑑定評価における他の共有者の信用判定

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継続賃料の評価と価格形成要因の分析

不動産鑑定評価に当たっては、価格形成要因を市場参加者の観点から明確に把握する必要があります。

一般的な鑑定評価書ではほぼ定型化されており、「一般的要因の分析」で国民総生産や物価、金利・株価等の分析を行い、「地域要因の分析」では、対象不動産の存する●●市の概況(●●市の人口やインフラの整備状況等)、近隣地域の状況等を記載してあることが多いと思います。

しかし、そもそも価格形成要因の分析の本来の趣旨は、その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を分析して、①不動産の効用、②相対的希少性、③不動産に対する有効需要、の三者に及ぼす影響を判定することにあります。

したがって、鑑定評価手法の適用に当たって、影響を及ぼしていると考えられる要因については、しっかりと分析をし、あまり影響を及ぼしていないと考えられる要因については、さほど詳しく分析しなくてもよいと考えます。よく、「●●市の概況」の欄で、対象不動産とはまったく関係のない場所のことを根掘り葉掘り書いているものや、高度商業地の評価であって当たり前の下水道の普及率等を力説しているもの等を見かけますが、これって必要ないような気がします。このように判で押した様な分析になってしまうのは、我々鑑定業界の仕事の仕方からすると致し方ないのもわかるのですが、第三者から見ると「?」と思うでしょうね。(たまにクライアントから、からかわれます。)

多く書く分にはまだよいのですが、分析が「不足」しているのは、問題と言えます。
最近特に気になっているのが、継続賃料の評価書で、最終合意時点の価格形成要因の分析をしていないものが多いということです。

たとえば、最終合意時点が7年前(平成17年)だとしましょう。価格時点(例えば平成24年)との間には、証券化バブルと呼ばれる地価の高騰がありました。都心では年率30%を超えて地価が上昇し、外資の参入により都心の事務所や高級賃貸住宅の賃料も高水準にありました。しかし、平成19年にサブプライムローン問題が発覚し、平成20年にリーマンショックが起こると、世界的に景気が急速に悪化、不動産市場の相場は急落します。
というように、上がって↑、下がって↓という経過を辿りました。

Photo

継続賃料の評価に当たっては、この、上がって↑、下がって↓をしっかり認識しておく必要があります。特に、差額配分法の配分率や利回り法の継続賃料利回りの決定、試算賃料調整等の各段階において、これらの推移を考慮しないと、説得力のある説明は出来ないと思うのです。
極端な話、最終合意時点が平成バブル前の昭和50年代だったりすると、上がって↑、下がって↓の大きなうねりを2回も繰り返しているわけで、ちゃんと分析していれば、二点間の数値だけをもって算定される、スライド法を重視するのは、憚られるのではないでしょうか?

・・・と、口で言うのは簡単ですが、なかなかやってみると大変です。時間的制約から、どうしても数字を出すことに追われてしまいますし、価格形成要因の分析には多くの時間を割くことは難しいかもしれません。また、結構一生懸命書いたのに、「いや、別にあそこは読まないから…」等と、良く言われます(と、いうか殆どのケースでそう思われているでしょう…泪)。

でも、馬鹿にしたものではありません。訴訟等で相手方の提出した鑑定評価書との比較がなされた時に、まったく分析した形跡がない鑑定評価書より、しっかり分析している評価書の方がきっと心証が良いはずです。

なかなか報われない作業ですが、いつかこの地道な努力に陽が当たることを信じて・・・。

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