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継続賃料の評価と価格形成要因の分析

不動産鑑定評価に当たっては、価格形成要因を市場参加者の観点から明確に把握する必要があります。

一般的な鑑定評価書ではほぼ定型化されており、「一般的要因の分析」で国民総生産や物価、金利・株価等の分析を行い、「地域要因の分析」では、対象不動産の存する●●市の概況(●●市の人口やインフラの整備状況等)、近隣地域の状況等を記載してあることが多いと思います。

しかし、そもそも価格形成要因の分析の本来の趣旨は、その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を分析して、①不動産の効用、②相対的希少性、③不動産に対する有効需要、の三者に及ぼす影響を判定することにあります。

したがって、鑑定評価手法の適用に当たって、影響を及ぼしていると考えられる要因については、しっかりと分析をし、あまり影響を及ぼしていないと考えられる要因については、さほど詳しく分析しなくてもよいと考えます。よく、「●●市の概況」の欄で、対象不動産とはまったく関係のない場所のことを根掘り葉掘り書いているものや、高度商業地の評価であって当たり前の下水道の普及率等を力説しているもの等を見かけますが、これって必要ないような気がします。このように判で押した様な分析になってしまうのは、我々鑑定業界の仕事の仕方からすると致し方ないのもわかるのですが、第三者から見ると「?」と思うでしょうね。(たまにクライアントから、からかわれます。)

多く書く分にはまだよいのですが、分析が「不足」しているのは、問題と言えます。
最近特に気になっているのが、継続賃料の評価書で、最終合意時点の価格形成要因の分析をしていないものが多いということです。

たとえば、最終合意時点が7年前(平成17年)だとしましょう。価格時点(例えば平成24年)との間には、証券化バブルと呼ばれる地価の高騰がありました。都心では年率30%を超えて地価が上昇し、外資の参入により都心の事務所や高級賃貸住宅の賃料も高水準にありました。しかし、平成19年にサブプライムローン問題が発覚し、平成20年にリーマンショックが起こると、世界的に景気が急速に悪化、不動産市場の相場は急落します。
というように、上がって↑、下がって↓という経過を辿りました。

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継続賃料の評価に当たっては、この、上がって↑、下がって↓をしっかり認識しておく必要があります。特に、差額配分法の配分率や利回り法の継続賃料利回りの決定、試算賃料調整等の各段階において、これらの推移を考慮しないと、説得力のある説明は出来ないと思うのです。
極端な話、最終合意時点が平成バブル前の昭和50年代だったりすると、上がって↑、下がって↓の大きなうねりを2回も繰り返しているわけで、ちゃんと分析していれば、二点間の数値だけをもって算定される、スライド法を重視するのは、憚られるのではないでしょうか?

・・・と、口で言うのは簡単ですが、なかなかやってみると大変です。時間的制約から、どうしても数字を出すことに追われてしまいますし、価格形成要因の分析には多くの時間を割くことは難しいかもしれません。また、結構一生懸命書いたのに、「いや、別にあそこは読まないから…」等と、良く言われます(と、いうか殆どのケースでそう思われているでしょう…泪)。

でも、馬鹿にしたものではありません。訴訟等で相手方の提出した鑑定評価書との比較がなされた時に、まったく分析した形跡がない鑑定評価書より、しっかり分析している評価書の方がきっと心証が良いはずです。

なかなか報われない作業ですが、いつかこの地道な努力に陽が当たることを信じて・・・。

Akatsukilogo   

不動産鑑定士 四方田 修

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