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賃貸借契約締結の経緯(交渉経緯を記録に残しましょう!)

継続賃料の評価手法については、平成15年のサブリース賃料に関する最高裁判決以降、大きく変わりつつあります。

サブリースやオーダーメイドリース、賃料自動増額特約といった形態の建物賃貸借契約において、賃借人が平成バブルの崩壊による景気後退で事前に取り決めた賃料を支払えなくなり、賃料減額請求が頻発しました。右肩上がりの経済では想定できなかったことで、それまでの賃料の評価手法を単純に適用しただけでは、当事者間の衡平を図ることが難しくなりました。

そこで、最高裁は、借地借家法第32条第1項(賃料増(減)額請求権)が強行法規であるとした上で、さらに相当賃料額を判断するに当たり、賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情その他諸般の事情を考慮すべきであるとの考え方を示しました。

具体的には、契約において賃料額決定されるに至った経緯や賃料自動増額特約が付されるに至った事情(賃料相場との乖離の有無や程度等)、転貸事業における収支予測にかかわる事情、銀行借入金の返済の予定に係わる事情等をも十分に考慮すべきと判決で結論付けていることから、相当賃料の判定には、賃貸借契約書の文面だけでなく、その背景にある諸事情まで調査して査定する必要があります。

しかし、最近の契約ならまだしも、5年も10年も前の契約では、契約に当たった担当者が移動になっていたり、そもそも当初の契約当事者が賃貸人や賃借人の地位を譲渡していたりしていて、契約当初の事情がわからなくなっていることも多いと思います。

裁判所も、「賃料額決定の要素とした事情」の認定には苦労しているようで、最近の判決では、契約の前提としての交渉に際して検討された収益試算表(しかも、固定資産税や火災保険料について正確な数値を記載しているものではなかった)を採り上げ、賃借人の収益を相当程度確保するものではなくてはならないと結論付けています。

こんな時、交渉の経緯を詳細に記載して書面が残っていれば、立証が簡単ですね。

大きな契約を締結する際には、口頭だけの話し合いで終わることはないでしょうから、メモやレジュメのようなものも残るはずです。これらを添付して交渉記録を残しておけば、訴訟の際に大いに役立つはずです。

昨今、継続賃料の鑑定評価においては、契約の経緯や事情について詳しく分析し、賃料に反映していくことが必要になってきています。しかし、契約締結時の事情が記録に残っていなければ、鑑定評価に反映したくても出来ません。

今後、大きな経済情勢の変動が起きれば、訴訟にならないとも限りません。是非、交渉経緯を記録に残すよう、お勧め申し上げます。

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不動産鑑定士 四方田 修

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