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鑑定評価業務の特性と依頼者プレッシャー

不動産鑑定士は、弁護士、公認会計士とともに「文系の三大国家資格」と呼ばれることがありますが、他にも難易度の高い国家資格が数多く存在するにも関わらず、比較的マイナーな不動産鑑定士が名を連ねているのは、その業務において主観的な判断を多く伴うからだと個人的には理解しています。それ故に、この3つの国家資格は、(難易度に差はあれども)論文を中心とした試験形式が課されているのだと思います。

主観的な判断を多く伴うが故に、これらの業務においては、業務の結果を左右させるようなプレッシャーがかかりやすいのですが、鑑定評価業務は、他の専門業務と異なる特徴を有しているため、より依頼者プレッシャーがかかりやすい傾向にあります。

社団法人日本不動産鑑定協会(現 公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会)の資料「鑑定評価監視委員会規定に基づく依頼者プレッシャー通報制度(平成24年2月)」によると、弁護士業務、監査業務(公認会計士)と、不動産の鑑定評価業務との間には次のような相違点を認め、鑑定評価業務においてはより依頼者プレッシャーを受けやすいと分析しています。

【弁護士業務】
弁護士制度は、通常の民事事件における活動の場面では、依頼者からの依頼を受けてその依頼者側にたって社会正義の実現が確保されるように交渉や訴訟対応に誠実に当たる義務があり、かつ、相手方の権利を不当に害しない限りは依頼者の利益を確保する範囲で活動することをもって足りるといった制度設計となっている。

【監査業務】
独立した立場で第三者(適正)意見を求められる監査業務は、不動産鑑定士の立場と類似するが、監査法人による適正意見が表明されない場合や依頼者が監査法人を変更する場合、依頼者側のレピュテーションリスクや事務手続きの負担は相当大きくなるため、依頼者による監査契約の解除や他の監査法人の選任が行われることは少ない。一方、鑑定評価業務は公表されることのない単発的な依頼となるため、依頼の取り消しや鑑定業者の変更について依頼者が躊躇する理由は少なく、依頼者プレッシャーが発生しやすい。

監査業務も昨今強い依頼者プレッシャーを受けて、不当な監査を行って摘発されるケースが見られましたが、不動産鑑定評価業務は、それ以上に依頼者プレッシャー受けやすいと考えられます。

そこで、これらを排除するために、依頼者プレッシャー通報制度が必要というわけです。
無論、これで依頼者プレッシャーによる不当鑑定がなくなると言うわけではないのでしょうけど、不動産鑑定評価業務の信頼回復への一歩として、短期間で制度をまとめあげて施行した協会関係者の方の熱意に感謝したいと思います。

ところで、私は今、American Society of Appraisers(米国鑑定協会:ASA)の機械・設備評価の講座を受講しているのですが、ASAの倫理規定によると、次の行為は反倫理的として禁止されています。

・成功報酬式手数料
・パーセンテージ方式手数料(報酬を評価額の何%として契約すること)

弁護士が成功報酬方式で受任することは日米ともに一般的に行われていますが、ASAでは倫理的ではないとしています。日本では、これらの報酬制度は禁止されていませんが、実際に導入していると言う話はあまり聞きません。これも、業務の特色を表していると思います。

依頼者プレッシャー通報制度は、7月1日より適用されます。依頼者の皆様におかれましては、何卒ご理解、ご協力の程、よろしくお願い申し上げる次第です。

公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会のリーフレット

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依頼者プレッシャー通報制度

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不動産鑑定士 四方田 修

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