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2012年8月

過去時点の評価における評価基準日以降の取引事例の扱いについて

不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格の判定の基準日を確定する必要があり、この日を「価格時点」といいます。

価格時点は、鑑定評価を行った年月日を基準として現在の場合(現在時点)、過去の場合(過去時点)、及び将来の場合(将来時点)に分けられます。

過去時点について評価する場合、価格時点(評価基準日)以後、現在までに市場で起こったことを鑑定士が既に知っていますが、当然、過去時点において市場で取引しようとしている人達は、将来(現代にいる我々から見れば過去ですが・・・)何が起きるか知る由もありません。

そこで、価格時点以降の取引事例については、採用すべきでないという意見があります。

過去時点の鑑定評価を依頼されることは稀ですが、例えば、継続賃料の鑑定評価を行う際、利回り法の適用において、現行賃料を定めた時点(最終合意時点)の基礎価格を求める必要があり、手法の適用の一環として過去時点の評価を行うことになります。

古い情報は、新しい情報に上書きされることによって消えていくため、過去時点における事例の収集が困難であることも多いですし、そもそもただでさえ対象不動産と類似の不動産の事例を見つけるのが困難な所に、対象地のすぐそばの事例等があったりすると、価格時点を過ぎたものであっても、ついつい飛びついてしまいたくなります。

国土交通省の公表している「不動産鑑定評価基準」には、価格時点以降の取引事例の使用を禁止する規定はありません。しかし、実務の世界では、タブーの様で、以前、このような事例を裁判所に提出する鑑定で使ったら、待ってましたとばかりに訴訟相手(某大手鑑定事務所の意見書です)に追求されてしまいました。(まあ、それほど重要な論点ではなかったので特に反論しませんでしたが・・・)

と、いうわけで、なんとなく使わない方がいいとは思うのですが、規範性が認められれば使ってもいいような気もするし、頭の中でもやもやしていました。

そんな中、最近受講したASA(米国鑑定士協会)の国際資産評価人(機械設備)養成講座の中で、このことに触れていました。で参考までに紹介します。

米国の鑑定評価基準であるUniform Standards of Professional Appraisal Practice(USPAP)のSMT-3のまとめとして、

In the absence of evidence in the  market that data subsequent to the effective date were consistent with and confirmed market expectations as of the effective date, the effective date should be used as the cut-off date.

とあります。

要するに、基準日以降のデータが、基準日時点の市場の予想通りで且つそのことが確認された証拠が市場にある場合は、採用することも可能ですが、そうでない場合は基準日で打ち切るべきだということです。

価格時点において、市場が安定していて、価格時点以後の事例について時点修正をする必要がない(または僅かである)場合等は、価格時点以降の取引事例を採用しても問題はなさそうです。

一方で、価格時点以降に予期せぬ市場の変動(リーマンショックや東日本大震災等)があった場合は、価格時点以降の取引事例の採用は避けた方がよさそうです。

いずれにしても、このような事例を採用する場合は、それなりの説明責任を負うことになりますので、覚悟が必要ですね。

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Akatsukilogo   

不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

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