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会社法上の現物出資の目的となる不動産の鑑定評価に関する実務指針

財団法人日本不動産鑑定士協会連合会は、 「会社法上の現物出資の目的となる不動産の鑑定評価に関する実務指針」を公表しました。

平成4年7月20日に策定した「商法上の現物出資・財産引受・事後設立の目的となる不動産に係る弁護士の証明並びに不動産鑑定評価上の留意点について」の追加補足版ですが、不動産鑑定評価を行うに当たっての実務的な取扱いを個別具体的に示しています。

主な内容としては、

・基本的事項とし て安易な条件設定をしないこと
・価格時点及び実地調査日は、現物出資の時期に近いこと
・目的不動産の適格性(これについては、かなり具体的に例を挙げて説明しています。)
・現地調査(主に内覧の必要性について)
・鑑定評価手法の適用(事業用不動産の場合の収益予測等)
・不動産鑑定業者の受託時の注意事項

等が挙げられますが、特に、「2.(3)複雑な権利関係と目的不動産の適格性」で、適格性について具体的に説明しているのが印象的でした。不動産鑑定士は不動産の評価だけが仕事で、価格に影響を与えない権利関係(主に差押えや乙区記載の抵当権等の権利)についてはあまり関心を示さない傾向があるので、こうやって明示することで、評価の際に注意するようになると思います。

現物出資の個別具体的な説明以外は、取り立てて目新しい項目はなく、この指針の適用される鑑定評価以外のケースでも遵守しなければならない内容がほとんどだと思います。

しかし、こういった指針が発表されるのも、不動産鑑定評価の「金融化」の表れですね。

そもそも、不動産鑑定評価制度は国土庁の管轄で、主に地価公示やバブル期の地価監視制度(国土法等)を中心に運用されてきました。しかし、金融自由化の進展により、不動産が金融取引に組み込まれ、一方で時価会計により資産評価の必要性が高まったことにより、評価の目的が金融庁の管轄に属するような内容が増えて来ました。<br><br>

こういういい方はやや不適切かもしれませんが、大雑把に言って、平成バブルまでの不動産鑑定評価は、「高く評価」することが正義でしたが、金融化した現在では、「安く(保守的に)評価」することが、利害関係者保護の観点からも求められているいるのだと思います。

私は、元々銀行出身で、担保評価や債権回収にも関わってきましたので、むしろ保守的な評価に対する親和性が高い気がしますが、業界全体を見渡すと、まだまだ法外に高く評価することに対する怖さを実感していない方が多いように思えます。

今回、このような形で実務指針が出されましたが、おそらくこれを発しただけでは効果は少ないでしょうね。銀行時代の経験からすると、年に一度くらい研修を行って、具体的に投資家に損害を与えた事例を生々しく説明する位のことをしないと、中々浸透していかないような気がします。

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不動産鑑定士 四方田 修

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