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2013年5月

アベノミクスで地価は上がるか?

先日発表された内閣府の速報によると、2013年1-3月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、前期比で0.9%増(年率3.5%増)で、2四半期連続のプラスとなり、景気の回復基調が数値に表れて来ました。

日本銀行は、2%の物価(安定)上昇を目標に大胆な金融緩和を行った結果、大幅な円安(というか、正常な為替に戻ったと言うべきか?)、円安に伴う輸出企業の株価上昇という好循環が生まれ、景況感が改善しつつあります。ここに来て株価は調整局面に入っていますが、しばらくは上昇局面が続くと見られています。

そこで、よく話題に上るのが、「アベノミクスで地価は上がるか?」という命題です。

YESか?NOか?と言われれば、おそらくYESだと思います。但し、地域によって、または個別の物件によっては、必ずしもYESではありません。

YESの理由は簡単です。「地価」とは、土地の経済価値を貨幣額で表したものですので、インフレが進めば、地価は上昇するはずです。インフレとは、物価上昇という見方も出来る一方、貨幣価値の減少という捉え方も出来ます。日銀が2%のインフレ目標を掲げているのですから、対極的に見て2%の貨幣価値の減少=地価の上昇となるはずです。とはいえ、モノの値段が等しく2%上昇するわけではありませんので、不動産が他の財と同じように上昇するかどうか・・・ということには注意を払う必要があります。

金融緩和による経済政策は、主に日本銀行が市中銀行に資金を行き渡らせることにより行われます。市中銀行は自分でお金を持っていても仕方がありませんので、貸出を増やします。貸出を増やすと言っても簡単ではありません。私も以前銀行に勤めておりましたので、一件の融資をするのに、審査や内部処理で相当の作業が必要となります。出来れば一件当たりの融資額が大きい方が、営業成績も上がりやすいので、勢い大型案件を目指したくなるものです。我が国で大きな買い物といえば今も昔も不動産です。昭和の終わりから平成の初めにかけての「平成バブル」の時代には、銀行の資金が一気に不動産に向かいました。不動産融資規制によりバブルがはじけて、これらの多くが不良債権になって、銀行経営に大きな傷跡を残しましたが、それでも、不動産証券化ビジネスが台頭すると、またしても不動産融資は増加しました(いわゆるファンドバブル)。今回のアベノミクスでも、多くの資金が不動産に向けられると予想されます。このことは、地価の上昇要因となります。

但し、このような資金が向かう不動産は、証券化対象不動産のような大都市にある一定の規模の収益不動産が中心で、全国一律、どのような不動産にでも平等に起こるとは思えません。それでも、同じ地域で高額の取引があると、周辺の地価に影響を与えるものです。既に各種調査で、地価の回復傾向が顕れて来ているようです。

しかし、これは不動産の経済価値が上がったと言うよりは、貨幣価値が下がったと言うべきもので、非常に不安定なものと言えるでしょう。

長期的に不動産の需要に影響を与える人口構成を概観すると、我が国は少子高齢化社会の進行で、今後50年の間に人口が八千万人まで減少すると見られています。人口の減少は主に住宅地の需要を減少させる要因となりますので、日本全体で見ると地価の下落要因となります。また、年齢別の人口構成で見ると、第二次世界大戦による人口の減少と、終戦直後のベビーブームにより、いびつな人口構成となっています。

Photo

統計局・人口推計より

上の人口ピラミッドを見ると、60代前半のいわゆる団塊世代(第一次ベビーブーム)とその子供の団塊ジュニア世代(第二次ベビーブーム)が突出しています。持家の購入意欲が高いのは、30代後半と言われていますが、団塊ジュニア世代が40台を迎えると、その後は減少の一途です。住宅地に関して言えば、将来的にわたり今が一番需要が多い時期であると言えるでしょう。したがって、これらの需要が一巡すると、地価は下落すると考えるのが自然です。そういう意味では、将来の地価上昇を見込んで不動産を買うのは得策ではなさそうです。

では、不動産の将来は暗いものなのでしょうか?私は必ずしもそうは思いません。

人口減少に伴い、インフラの維持管理の観点から、都市の再編・再構築が予想されます。利便性・快適性の高い街へと人口の集積が起こるはずです。

既に鉄道会社等は、安定顧客となる沿線住民の確保のために、沿線の都市整備や利便性の向上に力を入れています。今年三月に、関東私鉄の宿敵である東急東横線と西武池袋線が直通運転を開始しましたが、昭和の時代には考えられなかった快挙です。各鉄道会社の危機感が強く感じられます。

また、自治体を見ても、平成バブル崩壊による地価下落で、公共用地が取得しやすくなり、この間に道路や公園などの都市インフラを充実させた自治体と、何もしなかった自治体で、住環境に大きな差が出来ています。

これらは、貨幣価値の減少ではなく、まさに不動産の価値の増加に寄与します。

戦後、都市部への急激な人口の流入により、政府は人の住める場所を確保するために公団による共同住宅の建設や税制面(賃貸住宅に対する優遇)により、住宅建設に力を入れて来ました。これにより都市の外延化が進行しましたが、今後はこれとは逆の流れになります。広大化した都市圏を縮小均衡させて都市部に集積させていく政策が必要となってきます。ここに地域間の競争が発生します。この競争に勝利する街は地価を維持し、敗れた街は荒廃していくことになるでしょう。

アベノミクスにより、先行きに明るさが見えた現在、消費税の増税を前に、家を買おうと考える方は多いと思います。一生に一度の買い物ですので、どこに買うべきか、慎重に検討していくことが重要になるでしょう。

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不動産鑑定士 四方田 修

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