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「指数」は最後の手段(スライド法再考)

以前、国際資産評価士協会(JaSIA: http://www.jasia-asa.org/asa_disignation/)のASA(American Society of Appraisers)国際資産評価士養成講座を受講した際、講師の先生(米国ASAの重鎮)が繰り返し仰っていた言葉が、
“Index is a last resort.” 「指数は最後の手段」
です。

不動産鑑定評価の世界では、「指数」を使う機会が多いです。
特に、取引事例比較法の時点修正を行う際には、近隣の公示地価格等を時系列的に指数化して、増減価率を求めていると思います。
中でも、指数を使うことを前提とした評価手法が、継続賃料を求める手法のひとつである「スライド法」です。
不動産鑑定評価基準には、次のように定義されています。
スライド法は、直近合意時点における純賃料に変動率を乗じて得た額に価格時点における必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法である。
注:平成26年5月1日付改正基準より、「直近合意時点」という文言が使われるようになりました。
変動率は、直近合意時点から価格時点までの間における経済情勢などの変化に即応する変動分を表すものであり、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、土地及び建物価格の変動、物価変動、所得水準の変動などを示す各種指数や整備された不動産インデックス等を総合的に勘案して求めるものとする、とされています。
但し、現在までのところ、賃料に関する指数はあまり整備されておらず、正直、あまり賃料と相関関係のなさそうな数値を使ってしぶしぶやっているのが実態ではないでしょうか?
継続賃料の評価については、直近合意時点から価格時点までの期間の事情変更を基に、契約内容、契約締結の経緯などの諸般の事情を総合的に勘案すべきとする最高裁判例が相次いで出され、これに対応した改訂が求められていました。
しかし、実際に改正されたのは、直近合意時点の明確化と継続賃料固有の価格形成要因の例示程度にとどまりました。
さて、冒頭にご紹介した言葉に戻りますが、“last resort”は、「最後の手段」「苦し紛れに採用された手段」とか「切羽詰まって」と訳され、「出来れば使うべきではない」という意味合いが含まれています。
とは言うものの、実際には、ASA会員の行う評価でINDEXは非常によく使われているそうです。
米国では、不動産の価格を求める際に有用な指数が多数公表されており、これらを使うことで大量の評価対象(不動産だけでなく動産や無形固定資産を含む)を短期間に処理することが出来、且つ鑑定人の恣意性が入り込む余地が少なく、客観性が高いという利点があります。
にもかかわらず、なぜ「最後の手段」なのか?
それは、簡便さ故に、評価対象に対する分析が疎かになって、実態を反映しない評価をしてしまう危険性を秘めているからです。
例えば、スライド法の変動率を求める際によく使用される指数に、家賃指数がありますが、一言で家賃といっても、地域や用途、建物・専有部分の品等などによって水準が異なります。これらの指数は、多くが全国の指数であり、オフィス等については、東京の各エリア毎のものが公表されていますが、評価対象不動産の個別性まで考慮したものではありません。
例えば、「最近大手企業が移転してきた地域で、関係会社の移転需要から周辺の需給がタイトになっている」等の事情がある地域では、こうした事情を反映していない一般的な指数をそのまま適用しても、実際の市場動向に見合った評価は出来ないでしょう。
不動産鑑定士が、決して安くはない報酬を戴いて仕事をする以上、指数を使ってオートマチックに数字をはじき出すというのも、ちょっと頼りないです。
一方で、指数を使うことにより、簡易且つ迅速に評価するニーズがあることも確かです。
評価額が市場実勢と違わない様に注意しながら、上手く取捨選択していく必要があるでしょう。

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不動産鑑定士 四方田 修

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