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事情補正

取引事例比較法を適用するとき、事情補正を行う場合があります。

取引事例を収集して、時点修正、地域要因と個別的要因の補正を行った状態で、各事例の比準結果を並べてみると、価格がばらついていることがよくあります。

不動産の取引は自由で、人それぞれ事情があったり、すべての人が不動産について詳しいわけではありませんので、必ずしも同じような価格に収斂するとは限りません。

そこで、取引事例が特殊な事情を含み、これが当該事例に係る取引価格に影響を及ぼしていると認められるときは、適切な補正を行うこととしています。

不動産鑑定評価基準の留意事項には、 Ⅴ 「総論第7章 鑑定評価の方式」について 1(3)②事情補正について で、事情補正を行う際の特殊な事例を例示していますが、「売急ぎ」「買進み」「親族間・関係会社間取引」「限定価格」の4種類のいずれかで表示されていると思います。

取引事例の情報提供者から「特殊な事情」について、具体的に提示されている場合は、その情報に基づいて判断しますが、多くの場合は不動産鑑定士が自ら判断します。

判断の根拠は、現地実査と登記簿の調査で得られるケースがほとんどです。

現地実査は、基本的にすべての事例について行っていますが、特に取引事例の価格にバラツキが見られる場合には、登記簿の調査も行って、特殊な事情がないかをチェックします。
現地調査では、営業上の場所的限定等特殊な使用方法がされていないか、隣地の買増しをしていないか等をチェックします。
取引時点に建っていた建物が取り壊されてなくなっている場合は、建物価格はゼロで、取壊し費用相当額を控除して取引された可能性が高いです。事情補正ではありませんが、これも適宜「建付減価」等の補正をします。
また、不動産業者や地元の情報などにより、思わぬ特殊事情が判明する場合もあります。

登記簿の調査では、次のようなものをチェックします。

① 競売や金融事情
 競売は「甲区」欄に、また、金融事情は、「乙区」欄に担保がべったりついていないか?差押さえをされていないかをチェックします。

② 相続
 取引事例の対象となっている当該取引以前に、所有権移転登記の原因が「相続」である取引がある場合、相続税支払いのために売り急いだ可能性があります。買い主が不動産業者(特にデベロッパー)の場合は、相場よりかなり安く売買されいていると推察されます。(銀行員時代によくお目にかかった光景です。)

③ 親族間・関係会社間の売買
 親族間取引については、同じ名字の人同士で売買していたりして何となくわかります。関係会社間取引については、法人同士の取引について、それぞれの会社の登記簿を確認すると、代表取締役が同じ人だったりするので判明します。主に節税目的であることが多いので、相続税路線価近辺(公示価格の8割程度:この価格での取引については税務署もあまりうるさく言わない)で取引しているものが多く見受けられます。

④ 限定価格
 隣地の購入など、他の土地と組み合わせることによって価値の増分が見込めるため、高い価格で取引される傾向があります。その最たる例が「地上げ」です。
 登記簿については対象地だけではなく、その隣接地についても調査します。ペーパーカンパニー等、別の名義(でも、だいたい名前を見るとなんとなくわかります。(笑))で買い集めているケースもありますので、実査や業者ヒアリング等が重要になります。

他にも「特殊な事情」は存在すると思いますが、客観的な調査で判明するのは、この程度だと思います。

ここで注意したいのは、これらの情報はあくまでも内部資料であるという点です。

有価証券報告書で適時開示しているREITの事例等、一部のものを除けば、ほとんどの事例は個人情報保護法などに基づく守秘義務を課されている情報です。そもそも、取引事例については、取引当事者の属性や詳細な位置についても表示しないものですので、「特殊な事情」についても具体的に表示するのは控えるべきで、「売急ぎ」「買進み」等と大まかに表示するのが一般的です。

だからといって、これらの調査をいい加減にやるわけにはいきません。たとえ記載しないにしても、ちゃんと調査していないと何となくわかります。

例えば、高度商業地で誰もが欲しがるような土地で「売急ぎ」をつけていたり、均質的な住宅が建ち並ぶ戸建分譲地で「買進み」をつけるような補正は、通常考えにくいです。

各取引事例による比準結果を揃えるために事情補正を多用している鑑定評価書を目にすることもありますが、そのような鑑定評価書は注意が必要です。


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不動産鑑定・コンサルティングの

Akatsukilogo   
不動産鑑定士 四方田 修

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