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【借地非訟手続】介入権価格の求め方(譲渡予定価格は考慮されるか?)

借地非訟手続きで、借地権の譲渡を申し立てられた地主は、介入権を行使して、建物及び土地賃借権(借地権)を買取ることが出来ます。

◆ 過去記事

【借地非訟手続】借地権の譲渡と介入権

では、その借地権付建物の価格は、どのようにして決まるのでしょうか?

実務的には、弁護士、不動産鑑定士及び有識者によって構成される鑑定委員が意見書を作成し、これに基づいて裁判所が相当の対価(以後、「介入権価格」と呼びます)を決定します。

鑑定委員には必ず不動産鑑定士が含まれていますので、意見価格は、通常、不動産鑑定評価基準に基づいた「正常価格」として求められます。

よく、借地人が譲渡予定先から差しれられた買入申込書等に記載された「譲渡予定価格」を提示して、その価格で決定するように主張することがありますが、介入権価格はあくまでも正常価格と考えられており、譲渡予定価格は借地権者の売買交渉の拙劣その他事情により、必ずしも合理的な市場で形成される価格で売買されているとは限らないので、鑑定委員は、これらにしばられることなく、意見価格を求めます。

鑑定委員の意見書が提出されると、特に問題がない限りその意見価格で決定されます。この決定を後で覆すのは相当困難ですので、もし当該不動産について各当事者に有利な情報があれば、事前に鑑定委員の目に触れるようにしておくのが望ましいでしょう。
例えば、借地人が譲渡予定価格の根拠として、不動産鑑定士の作成した不動産鑑定評価書を添付すると、訴訟資料等の形で鑑定委員も提示を受けることになるので、一資料として考慮されるかもしれません。評価額に影響を与えるような特殊な事情がある不動産等の場合は一考に値するでしょう。

同様に、競公売に伴う賃借権譲受許可申立事件においても、競売手続での売却基準価格や買受価格は考慮されません。競売や公売の場合は、既に落札しているのですから、多少は考慮されてもいいのではないかと思われるでしょうが、実際、落札価格より低い金額で介入権価格が決定されることもあります。この場合、せっかく落札した不動産を手にすることが出来ないばかりか、落札額を回収することも出来ないことになり、まったくもって「骨折り損のくたびれ儲け」です。借地権付建物を競売で入札するときは注意した方がいいでしょう。

借地権付建物の価格を求めるにあたっては、この他にもいくつか注意すべき点があります。

(1) 名義書換料相当額の控除

介入権は、賃借権譲渡許可申立てまたは競公売に伴う土地賃借権許可申立ての裁判を前提にしているので、譲渡が許可された場合に支払うべき財産上の給付(いわゆる名義書換料:借地権価格の10%が標準)相当額が控除されます。

(2) 建付減価が考慮される

借地権付建物が、その地域の環境に適合していないときや、容積率未消化等の理由により最有効使用の状態にないときは、借地上の建物が土地の減価要因となることがあり、介入権価格は、このような建付減価を考慮して求められます。

建付減価は、通常建物の取壊し費用相当額が上限となります。ひとつの目安として知っておいていいと思います。

(3) 借家権価格の控除

建物に賃借人がいる場合は、借家権価格相当額を控除するのが一般的です。
但し、合理的な賃貸経営により十分収益を上げていて、賃貸借による価値の減少がないものと判断される場合には、借家権の控除を行わないこともあります。この辺りは、議論のあるところですので慎重な判断が必要です。周辺相場と比較して著しく低い賃借料に甘んじている等、借地権付建物の価値が低下しているようなときは、控除すると考えて良いでしょう。

その他、不法占有者がいて明渡しをする見込みがないとき等、明渡し請求をするために必要な費用が考慮される場合があります。

このように、介入権価格を求めるにあたっては、注意すべき点が多いので、事前に介入権価格を予想することは、とても難しいと言えます。

しかし、一旦介入権の申立てを行い、裁判所がこれを認容するときは、借地権付建物の売買契約が成立したときと同様の法律的効果が生じます。仮に介入権価格が思ったより高い金額で決定されたとしても、対価を支払う義務を負い、これを怠れば強制執行により義務の履行を求められる可能性もあります。
「もし、高かったら取り下げればいいや」等という甘い気持ちで申し立てると、後で大変なことになりかねません。

借地非訟事件で介入権を行使するにあたり、相当の対価についてよくわからないときは、借地非訟事件に詳しい不動産鑑定士に事前に相談してみると良いでしょう。



不動産鑑定・コンサルティングの

Akatsukilogo   
不動産鑑定士 四方田 修

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