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継続地代と固定資産税

数年前に実際にあった土地の賃貸をしている地主さんからの相談で、借地上の建物(共同住宅)が焼失してしまい、その結果、固定資産税が上がってしまい困っているとのこと。

固定資産税の算定には住宅用地の特例があって、その税負担を軽減する目的から、課税標準の特例措置が設けられていて、住宅用地の特例措置を適用した額(本則課税標準額)は、住宅用地の区分、固定資産税及び都市計画税に応じて、固定資産税評価額の6分の1や3分の1等で計算されます。

しかし、賦課期日(毎年1月1日付)に住宅(建物)がなければ、当然ですが特例措置は受けられません。土地を利用しているのは借地人ですが、固定資産税を支払うのは地主(賃貸人)です。固定資産税等の増加を理由に、「地代を増額出来ないか?」という相談です。

借地借家法第11条第1項は、「地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」と定めており、「土地に対する租税その他の公課の増減」は地代増(減)額請求権を行使する要件を満たします。

ここで注意しなければならないのは、地代の計算方法です。

求める賃料は不動産の賃貸借等の継続に係る賃料ですので、継続賃料を求めることになりますが、継続賃料を求める手法のひとつである差額配分法を適用すると、ざっくり次のような計算になります。


現行地代:年額120万円(保証金、権利金などの一時金なし)
新規賃料:年額170万円※
公租公課:年額30万円→90万円
差額配分率:2分の1(折半法)
※ 対象不動産の経済価値に即応した賃料で、焼失前の使用方法である共同住宅の敷地を前提とした賃料です。

差額配分法による試算価格
120万円+(170万円-120万円)×1/2=145万円

現行地代120万円に対し、25万円高い145万円と計算されましたが、これでは、公租公課の増加分(60万円)をまかなえません。

そこで、差額配分法を適用するにあたり、そのまま公式通りに当てはまるのではなく、公租公課を切り離して計算する必要があります。

現行賃料(純賃料):年額90万円=120万円-30万円
新規賃料(純賃料):年額140万円=170万円-30万円

差額配分法による試算価格
90万円+(140万円-90万円)×1/2+90万円=205万円

賃料は純賃料必要諸経費等に分かれます。
必要諸経費は賃貸事業に必要な経費で、維持管理費や公租公課からなり、純賃料は、実質賃料から必要諸経費を控除したもので賃貸人の儲けを表します。
差額配分法を適用するにあたって、純賃料を使って、長年の賃貸借の中で生じた賃料差額(50万円)を求めてこれを配分し(25万円)、公租公課については折半しないで90万円全額を加算します。

このように計算すれば、必要諸経費である公租公課の増加分を100%反映させることが出来ます。
これは、鑑定の教科書に載っている方法ではありませんので、鑑定評価書を作成する際、鑑定理論上の根拠を示すとともに、裁判官や調停委員にわかりやすいように図表を駆使して説明する等、いろいろと工夫した結果、依頼人の主張は大筋認められました。

少し前の話になりますが、浅草寺の仲見世通りにあるお土産物などを売る店舗が家賃値上げを請求されて、ちょっとした話題になっていましたが、このケースでも同じような考え方で対応する必要があります。

こちらは「地代」ではなく「家賃」ですので、必要諸経費には建物の修繕費や火災保険料などが加算されていますので、多少複雑になりますが、家賃値上げの直接の引き金となったのは、建物の所有者が固定資産税や都市計画税を払う必要がない東京都から、浅草寺になって課税されることになったからです。

結果、昨年4月に合意がなされ、1区画(約10㎡)1万5千円の家賃が10万円になり、今後2年後に15万円、5年後に20万円、8年後に25万円になるとのこと。
詳しい内容はわかりませんが、おそらく公租公課の増加分は即時値上げして、賃料差額については段階的に上げていくと言うことなのでしょう。
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不動産鑑定士 四方田 修

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