« 継続地代と固定資産税 | トップページ | 不動産鑑定評価書の署名と押印 »

【継続賃料(利回り法)】継続賃料利回りの査定

継続賃料を求める手法には、差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法の4種類があります。

この内、利回り法は、元本である「価格」と果実である「賃料」の相関関係を示す「利回り」を時系列に捉える手法です。

わかりやすい例を挙げて説明します。

1億円の不動産を月50万円(年間600万円)で賃貸したとします。

ここでは、わかりやすくするために必要諸経費を無視して、価格と賃料の相関関係は次の式で表されます。 600万円÷1億円=6%

賃貸人は、6%の利回り(粗利回り)を得られると考えて、不動産を賃貸しました。

その後、不動産の価格が急上昇して、1億2千万円になりました。

この時点で、利回りを計算すると、

600万円÷1億2千万円=5%

利回りは5%に低下しました。賃貸人からすると、当初予定していた収益性が確保されていないので、賃料を引き上げることによって、利回りを維持したいと考えます。そこで、当初予定していた利回り(6%)を、現在の元本(1億2千万円)に乗じて、改定賃料を求めようとします。

1億2千万円×6%=720万円(=月額60万円)

これが、利回り法の基本的な考え方です。この時の基準となる利回り(6%)を継続賃料利回りと言います。

不動産鑑定評価基準には、「継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、期待利回り、契約締結時及びその後の各賃料改定時の利回り基礎価格の変動の程度近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における対象不動産と類似の不動産の賃貸借等の事例又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借等の事例における利回りを総合的に比較考量して求めるものとする。」と定められています。

継続賃料利回りは、実績純賃料利回り(基準ので求められる利回り)を基準にします。先に挙げた事例の6%がこれにあたりますが、実際の計算では純賃料(実質賃料から必要諸経費を控除した賃料)を用います。

しかし、この実績純賃料利回りをそのまま採用して良いというわけではありません。

賃料は、不動産の価格と異なり、遅延性(粘着性)という特徴を持っています。

通常、不動産の価格が20%上昇したからと言って、賃料もすぐに20%上昇すると言うことはありません。その上昇のスピードは遅く、且つ上昇の程度も少ないと言う特徴を持ちます。

これは、借地借家法制における賃借人保護の要請や継続的な法律関係の安定性から来るもので、対象不動産の用途や賃借人の属性によって、その程度に差があり、用途が居住用で賃借人が個人の場合で特に強く働き、逆に商業系で特にオフィスのように代替不動産の多い物件等は、比較的不動産価格に追随して賃料が改定される傾向があります。

先ほど挙げたのは、不動産価格が20%上昇(1億円→1億2千万円)している事例ですが、これが、仮に直近合意時点がわずか1年前だとすると、20%の賃料引き上げは賃借人に酷です。そこで、基準はこの実績純賃料利回りに調整を行うよう定めています。

期待利回り
賃貸人が期待する利回りです。契約当初に具体的に何%と明示していれば、その利回りですし、不動産の用途、類型、地域性によって相場観が示されているものもあります。

これが例示の先頭に記されていることから、利回り法が、賃貸人の採算性を重視した手法であると捉えることが出来ます。

契約締結時及びその後の各賃料改定時の利回り
不動産証券化市場の発展に伴い、海外の資金が流入してきて不動産の利回りは、低下傾向を続けています。以前は6%が当たり前でも、現在では周辺の利回りが4~5%が一般的…というのであれば、契約締結時の利回りをそのまま適用するのは難しいでしょう。

具体的には、不動産の利回りの推移を分析して、例えば、不動産投資の利回り水準が30%低下しているなら、継続賃料利回りに0.7(=1-30%)を乗じるなど、計算根拠を示して調整します。

基礎価格の変動の程度
基礎価格が大きく変動している場合に、これをダイレクトに適用すると、賃料が急激に増減することになるので、考慮する必要があります。但し、基礎価格が急激に変動しても、賃料は同じようには変動しないので、利回り水準が変わっているはずです。で利回りの推移を十分に考慮すれば、ここではあまり調整を行う必要はないでしょう。

近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における対象不動産と類似の不動産の賃貸借等の事例又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借等の事例における利回り
平たく言うと、周辺の利回り相場も意識してください…ということでしょう。
このを重視すべきと考えていらっしゃる方が多いようです。しかし、近所でお世話になっているから安い賃料で貸した、または、ペットの飼育を許可する代わりに少し高めで貸した等、不動産の賃貸借は個別性が強く、契約当事者間の信頼関係などによって、賃貸の条件もそれぞれ異なるものです。
そこに、いきなりの利回りをダイレクトに導入しては、当事者間の特殊な事情を反映出来ません。「不動産賃貸借は個別性が強い」と言うことを念頭に慎重に調整を図るべきと考えます。

直近合意時点から価格時点までの間に、地価水準に大きな変動があった場合等に、これらの調整を行わずに実績純賃料利回りをそのまま採用して利回り法による賃料を試算すると、極端に乖離した数字で試算されることがあります。そのようなことがないよう、適切な調整を行うか、どうしようもない場合は、試算賃料を調整して鑑定評価額を決定する段階で、乖離した原因を分析した上で参考に留める等、適宜判断していく必要があるでしょう。


不動産鑑定・コンサルティングの
Akatsukilogo   
不動産鑑定士 四方田 修

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

地代・賃料・借地権・立退料等、不動産等の問題を解決するために、
依頼目的に応じて説得力のある不動産鑑定評価書を作成致します。

まずは、ご相談ください。

あかつき鑑定のホームページ:https://akatsuki-rea.jimdo.com/

http://akatsuki-rea.o.oo7.jp/

不動産鑑定業者登録東京都知事登録(2)第2339号
公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会会員
公益社団法人東京都不動産鑑定士協会会員


〒135-0048
東京都江東区門前仲町1-9-13ウィズビル405
TEL/FAX:03-3643-0105
E-Mail:rea-yomoda@ka.baynet.ne.jp

あかつき鑑定BLOGは、にほんブログ村「士業ブログ」に参加しています。

ランキングにご協力お願いします。
クリック
↓↓↓↓
にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

|

« 継続地代と固定資産税 | トップページ | 不動産鑑定評価書の署名と押印 »

借地借家(地代・家賃)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【継続賃料(利回り法)】継続賃料利回りの査定:

« 継続地代と固定資産税 | トップページ | 不動産鑑定評価書の署名と押印 »