借地借家(地代・家賃)

賃貸事業分析法

平成26年5月1日付の改正『不動産鑑定評価基準』は、不動産証券化市場における国際会計基準への適合等の要請に配慮した部分については、積極的に改訂されているのですが、賃料に関する部分については、事前の調査段階で問題視されていた部分も含めて、あまり具体的な改訂が盛り込まれませんでした。

そんな中、宅地の正常賃料を求める評価手法に賃貸事業分析法が加えられたのは、大きな改正と言えます。

基準の各論第2章第1節 I. 「2.宅地の正常賃料を求める場合」に追記される形で、

また、建物及びその敷地に係る賃貸事業に基づく純収益を適切に求めることができるときには、賃貸事業分析法(建物及びその敷地に係る賃貸事業に基づく純収益をもとに土地に帰属する部分を査定して宅地の試算賃料を求める方法)で得た宅地の試算賃料も比較考量して決定するものとする。

と定義されました。

「比較考量」ということで、あくまでも他の手法による賃料(積算賃料、比準賃料、配分法に準ずる方法に基づく賃料)の補助的な位置づけになっていますが、借地上に賃貸建物が建っている場合の賃料を求める手法としては、土地の賃借人の支払える上限額として合理的であるといえます。

最近REIT(不動産投資信託)が、都心のビルの底地のみを取得するケースが多く見られますが、この底地の地代を設定する際、周辺に参考となる賃貸事例が少ない(一般戸建住宅や小規模小売り店舗の地代の事例はあまり参考にならないことが多い)ことから、この手法の果たす役割は大きいと言えるでしょう。

また、新たに大規模商業施設やホテル等を建設する際の新規地代を求める場合にも、大いに参考とすべきだと思います。建物が収益不動産の場合には、収益分析法という手法が別にあるのですが、最近では賃貸を想定して負担可能賃料から純収益を想定する考え方が主流になりつつあります。(実際、収益還元法の総収益の項にも、このような考え方を基準の文言の追加がなされています。)

私も、まだ、鑑定士になる前の見習い時代に、この手法を適用したホテルの地代を求める鑑定評価書の作成に携わったことがあります。

ホテルを建設することを計画して、土地の賃貸借契約を締結したのですが、土地の賃借人が、建物を建設する前に民事再生を申請したケースで、賃借人の代理人弁護士が、当初合意した地代を減額するよう請求してきたのです。

賃貸人(地主)からの依頼で、継続賃料の鑑定評価書を作成することになったのですが、賃貸事業分析法を採用することで、不動産に帰属する純収益(≒賃料負担能力)を具体的に試算することで、賃料減額の必要のないことを示すことにしました。

当時は、「賃貸事業分析法」等という正式名称はありませんでしたので、「土地残余法に基づく方法」などと適当な名前を付けていました。

ホテルの地代を求める場合、ユニフォーム・システム(Uniform System of Accounts for The Lodging Industry:部門別管理会計)により、各部門の収益が明確化されており、不動産(建物及びその敷地)に帰属する純収益を客観的に求める手法も確立されていましたので、とても説得力のある評価が出来たと思います。

この手法が基準に追加されたことで、今後は大手を振って、適用できる(しなくてはならない?)ことになりました。まだまだ具体的な適用方法については、書籍などに公表されているものがありませんので、土地に帰属する純収益の算定方法など、いろいろと研究していく必要がありそうです。


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「直近合意時点」についての規定の明確化

少し古い話になりますが、国土審議会土地政策分科会不動産鑑定評価部会が、不動産鑑定評価基準等の改正骨子(案)を取りまとめました。

不動産鑑定評価基準の改正骨子(案)(国土交通省HP)

P23【論点H】「継続賃料の評価に係る規定の見直し」の中で、「直近合意時点」についての規定の明確化が示されています。

ここで、直近合意時点について、“継続賃料の評価は、「直近合意時点」から「価格時点」までの期間に生じた事情変更等をもとに行われているものであり、評価において重要な概念であるが、現行賃料の規準では明確にされていないため、「直近合意時点」に係る定義を「現行賃料について合意し適用した時点」として明確に規定する。”と記してます。

現行の不動産鑑定評価基準において、「直近合意時点」という言い方は、使われていません※が、利回り法及びスライド法の適用方法の中に「現行賃料を定めた時点」という言葉が使われています。

※平成26年5月1日付改正『不動産鑑定評価基準』において、正式に「直近合意時点」という言い方が採用されました。

しかし、この言葉の定義が難しいのです。

2年前に初めて賃貸借契約を締結して、今回初めて賃料の改定を検討しているということでしたら、2年前の賃貸借契約締結時点が「直近合意時点」ということになります。

では、当初契約時点が6年前で、その後2年毎に契約書を交わして更新している場合はどうでしょう?

この場合2年毎に契約書を交わして、そこに賃料が記載されて当事者双方が署名捺印しているのだから、直近合意時点は、2年前の契約更新時だという意見があります。

一方で、契約更新は形式的なもので、本当は賃料減額してもらいたかったけど、あまり大家さんともめたくないので我慢していただけで、本当に双方の合意があったのは、6年前の当初契約時まで遡るべきだ、との意見もあるでしょう。

実際の賃貸市場を見ると、6年前は平成19年で、証券化バブルの最盛期で賃料相場は高い水準にありました。その後、平成20年のリーマンショックで市場は急激に冷え込み、賃料相場は大幅に低下しました。このような経済事情の下では、どちらを「直近合意時点」とするかで、試算価格に大きな影響を与えかねません。

実際に数字を出して見てみましょう。

平成19年9月1日に最初の契約を行い、賃料は、1坪当たり25,000円だったとします。
その後、2年毎に契約を更新しますが、賃料の改定は行いませんでした。しかし、実際の相場(正常賃料)は、大きく変動したとします。

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スライド指数は、ここでは簡略のために正常賃料の変動率をそのまま採用しています。

ここで、「直近合意時点」が、平成19年9月1日の場合、スライド法による試算賃料は、

H19.9.1基準のスライド法:25,000円×0.640=16,000円

となりますが、「直近合意時点」を平成23年9月1日とした場合、

H23.9.1基準のスライド法:25,000円×0.941≒23,500円

となり、7,500円もの差が生じてしまいました。

確かに、平成21年の1回目の契約更新の際に、賃料減額の可能性があったのに、賃借人は賃料減額請求を怠ったのだから、保護に値しない・・・と言ってしまえばそれまでですが、不動産の賃貸借の取引慣行に鑑みれば、それは賃借人に酷というものです。

こういう場合、当事者間の事情の他、賃貸借契約の内容や締結の経緯等を十分に考慮しし、双方の合理的意思に合致するような形で、直近合意時点を判断すべきでしょう。

今回の改正骨子(案)のいう「現行賃料について合意し適用した時点」については、以上の様に鑑定評価手法の適用に当たり、大きな影響を及ぼすものであるため、十分に考慮して決定していく必要があります。仕事が楽だからという理由で、安易に直近の時点を選択することなく、長いスパンで分析していくことが重要です。

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収益賃料と最有効使用の原則(店舗賃料と売上高)

アベノミクスの効果でしょうか?リーマンショック以降冷え込んでいた繁華街にも、人の姿が少しずつ戻って来たような気がします。景況感の好転により、商業地の賃料も下降から上昇へと転じつつあるようです。

店舗賃料は、店舗の売上高に比例すると言われています。物販・飲食店舗の事業主は、店舗の収益性を重視して出店の可否について意思決定しますので、損益分岐点を上回るのであればそこに出店したいと考えます。そして、その場所で最も高い賃料を提示できる事業者が、その場所で商売するチャンスを得るのです。(最有効使用の原則)

一般的な飲食業等の場合、売上高に対する原価の割合は3割と言われています。そこから人件費や水光熱費等の販売管理費を控除すると、負担可能賃料(だいたい幾らくらいまで家賃を負担出来るか)が計算できます。こうした計算を基に、採算を図ることが出来ると判断すれば出店のゴー・サインが出ますので、店舗の賃料と売上高の間には深い相関関係が認められます。最近では、売上高に連動させた変動賃料も多く見られますね。

ここで気を付けたいのは、家賃を決定するのは「最有効使用の売上高」だと言うことです。

よく、賃料減額訴訟において、賃借人が「最近、売上高が下がってきているので賃料を下げて欲しい」と訴えて来るケースを目にしますが、売上高の低下が、一般的な景気の後退や地域の衰退によるものなのか、それとも当該事業固有の問題なのか、について検討する必要があります。
前者の場合は、どんな事業でも収益性をあげることが難しいので、賃料の減額を免れることは出来ませんが、後者の場合は、テナントを替えることで、賃貸人はより高い家賃を獲得する機会があるはずです。
特に繁華性の高い目抜き通りにおいては、誰もが出店のチャンスを狙っています。たとえ現在の賃借人が退去しても容易に新しい賃借人を見つけることが出来るでしょう。このような状況で、賃料減額を要求されるのは、賃貸人にとって酷です。

そこで、鑑定評価に当たっては、まず、対象不動産において、どのような事業者が最も収益を獲得し、高い家賃を払うことが出来るかを十分に検討することが必要です。

この最有効使用は時代とともに変わって行きます。かつては高い収益性を背景に、駅前一等地に大きな店舗を構えていた百貨店が、家電量販店にその場を譲っているのは、賃料負担能力が逆転したからです。

【参考】「百貨店から家電量販店(新宿三越アルコット閉店)」
http://akatsuki-rea.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-9118.html

全国展開しているチェーン店等は、大量仕入れによる原価削減、店舗の情報化や物流の最適化合理化により、高い収益性を示しており、また、店舗開発要員が全国の繁華街で出店可能性を探っていますので、商業集積地において最有効使用であることが多いです。収益賃料を査定するにおいては、これらのチェーンを運営している企業の財務データを活用することが有効です。

こうして求められた収益賃料に対して、現行賃料が下回っている場合、たとえ現賃借人の売上減少により家賃負担が厳しくなっていたとしても、直ちに賃料減額を受け入れる必要はないと言えるでしょう。もちろん、客観的な数字を示すことが重要です。ですので、店舗賃料の鑑定評価書を作成する際は、手間暇を惜しまずやっていくことが大切ですね。

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【借地非訟手続】借地権の譲渡と介入権

民法第612条は、「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」と規定しており、これに違反して第三者に賃借物の使用・収益をさせたときは、賃貸人は契約を解除することが出来ます。

しかし、建物所有を目的とする土地の賃貸借(借地契約)の場合には、借地権の譲渡や転貸が制限されると、事実上、自己の所有物である建物を処分することが不可能となり、建物所有者である借地人に酷であるため、借地借家法第19条は、地主が承諾しない場合でも、借地権の譲渡を受ける第三者(譲受人)が借地権を取得しても借地権設定者(地主)に不利となるおそれがない場合には、借地権者は裁判所に対し、地主の承諾に代わる許可の申立てをすることができます。

「借地権設定者に不利となるおそれ」とは、譲受人の資力(家賃を払えるかどうか?)や暴力団関係者や風紀上好ましくない営業をしようとする者である等の社会的信用面から判断されますが、地主がこれらを立証しない限り認められるのが一般的です。

この申し立ては、裁判所における非訟手続きで行われ、当事者間の利益の公平を図る必要がある時は、借地条件の変更(借地権の存続期間の延長や地代の改定)と、地主に財産上の給付がなされます。

この財産上の給付は、東京地裁では借地権価格の10%相当額を基準とし、裁判所の選任した鑑定人で構成する鑑定委員会の意見に基づき、当該事案の個別事情を考慮してこれを増減した額により決定しています。(おそらく他の裁判所も同じような扱いだと思います。)

財産上の給付額が定率化したことにより、一般の借地権の取引においても、名義書換料が「借地権価格の10%」というのは実務として定着しているようです。

では、地主はこの財産上の給付を受けて、借地権の譲渡を認める以外方法はないのでしょうか?

地主は、建物賃借権譲受許可の申立てをすることが出来ます(建物等優先譲受件または介入権)。裁判所は相当の対価を定めて、これを命ずることが出来ます。

この申立ては、裁判所が定める期間内に行う必要があり、この期間は、裁判所が地主の承諾に代わる許可を認め、地主に告知した日から少なくとも14日以後とされています。意外と短いですね。

この場合の対価ですが、借地人が第三者に売却する予定価格に関係なく、不動産鑑定評価基準における正常価格から、名義書換料相当額を控除した価格となります。

また、対象建物に借地権設定者に対抗し得る借家権者がいる場合は、借家権価格も控除した価格となります。

借地権付建物の評価は、結構複雑なのですが、実務上、取引事例比較法で求めた更地価格に、借地権割合を乗じて求めた価格(借地権割合法)によっている例が多いようです。しかし、借地権の価格は、契約の特殊性等から借地権割合による評価が不相当な場合も多いと思います。鑑定委員会の意見書に対しては、意見を書面で提出する機会がありますので、これらを合理的に説明できる場合は、金額の修正を勝ち取ることが出来るかもしれません。

あかつき鑑定では、鑑定委員会の意見書のチェックや、意見提出のコンサルティングも行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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空室等による損失相当額の計上

中古の投資マンションを1200万円で購入しました。
家賃は月12万円で、必要諸経費(維持管理費、公租公課等)が月2万円で、手取りが10万円とします。
ここで、賃借人が少し家賃を下げて欲しいと相談に来ました。
現状では、必要諸経費控除後の収入が年間120万円(10万円×12か月)で、10%の利回りですが、利回り8%確保できればなんとかローンの返済も出来るので…と考えて、賃料を2万円値下げして家賃を8万円に改定しました。

1年後、賃借人は契約を解除して引っ越して行きました。室内を清掃・消毒して、壁紙を張り替え、新しい賃借人を募集して入居するまで1カ月間空室になってしまいました。

よくある話ですが、当初の賃借人が退去して、新しい賃借人が入るまでの1カ月は家賃が入ってきませんので、その年の必要諸経費控除後の収入は8万円×11カ月=88万円で、利回りは7,3%となり、想定していた利回り8%が達成されないことになります。
もし、ぎりぎりのローンを組んでいたとしたら、これは大変なことになりそうですね。

このように、不動産賃貸経営に当たっては、一定割合の空室の発生を事前に想定して事業計画を立てないと、期待した利回りを達成できなくなります。
つまり、8%の利回りを安定的に確保するためにはもう少し高めの家賃設定を維持する必要があったのです。これが「空室等による損失相当額」を計上する理由です。

実際に、将来予想される空室等による損失をまったく検討しないで不動産投資することはありませんし、そのような事業計画では銀行もお金を貸しにくいと思います。

「空室等による損失相当額」は、価格を求める収益還元法だけでなく、賃料を求める手法の内、積算法や利回り法でも必要に応じて計上する必要があります。これらの手法は、元本(基礎価格)と果実(賃料-必要諸経費等)の相関関係により、賃料を求める手法ですので、収益還元法で計上するのに、賃料の評価で計上しないと言うのは、おかしな話ですね。(そもそも元本価格から果実を求めるこれらの手法の存在意義を否定する学説もありますが、これについては、別途書きたいと思います。)

「空室等による損失相当額」を計上しなくても、空室リスクを利回りに織り込んであれば、同じ評価結果が得られますが、ここは鑑定評価基準にしたがって、具体的に見積ることが出来る限り、「空室等による損失相当額」として計上することにしましょう。

空室等による損失相当額は、DCF法では、収入の部の控除項目になっていますが、賃料の場合には、控除項目を設けるわけにはいかないので、必要諸経費等(「空室等による損失相当額」や「貸倒準備費」は、厳密には「必要諸経費」ではないので「等」がついています。)に計上しています。

次に、空室等による損失相当額を具体的に計上してみましょう。冒頭のケースの場合、例えば賃借人の契約期間が平均して2年位で入れ替わるとすると、24か月のうち1カ月が空室ということで、1/24≒4.2%等と見積もられることが多いようです。不動産調査会社が発表している空室率等の数字も参考になるでしょう。

しかし、機械的にこれらの数字を計上していいわけではありません。見積りに当たっては、投資家としての賃貸人になった気分で、想像をめぐらし、地域分析や個別分析に基づき適正に算出する必要があります。

例えば、リーマンショック以降、都心部のオフィスや高級賃貸マンションは、空室を埋めるためにフリーレントを数カ月つけないと契約がまとまらないという事態が発生しています。このような場合、想定される空室期間だけでなく、フリーレントの分を多めに計上する必要がありそうです。

では、管理の状態がとても悪く、20戸ある部屋の半分が恒常的に空室になっている賃貸マンションのケースはどうでしょうか?空室等損失50%として必要諸経費等に加算して家賃高くしてしまったら、ただでさえ入居する人がいないのに、さらに空室が増えてしまいそうです。

逆に、オーダーメイド賃貸やサブリース契約等で1棟丸々一括で賃借してもらう場合には、賃借人が転居して空室になるという心配もないので、空室等による損失相当額を計上しないのが普通だと思います。仮に、賃借人の信用状態等から賃貸借契約の継続に懸念が生じている場合には、空室等による損失相当額として見積るのではなく、むしろ期待利回りに反映させるべきでしょう。

この他に、希少なヴィンテージマンションで、空室が出来たらすぐに入居したいと言う人が何人も待っているケースや、店舗賃貸で出店準備期間や造作撤収にかかる期間にも賃料が発生する場合等々…、あなたなら、「空室等による損失相当額」をいくら計上するでしょうか?

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賃貸借契約締結の経緯(交渉経緯を記録に残しましょう!)

継続賃料の評価手法については、平成15年のサブリース賃料に関する最高裁判決以降、大きく変わりつつあります。

サブリースやオーダーメイドリース、賃料自動増額特約といった形態の建物賃貸借契約において、賃借人が平成バブルの崩壊による景気後退で事前に取り決めた賃料を支払えなくなり、賃料減額請求が頻発しました。右肩上がりの経済では想定できなかったことで、それまでの賃料の評価手法を単純に適用しただけでは、当事者間の衡平を図ることが難しくなりました。

そこで、最高裁は、借地借家法第32条第1項(賃料増(減)額請求権)が強行法規であるとした上で、さらに相当賃料額を判断するに当たり、賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情その他諸般の事情を考慮すべきであるとの考え方を示しました。

具体的には、契約において賃料額決定されるに至った経緯や賃料自動増額特約が付されるに至った事情(賃料相場との乖離の有無や程度等)、転貸事業における収支予測にかかわる事情、銀行借入金の返済の予定に係わる事情等をも十分に考慮すべきと判決で結論付けていることから、相当賃料の判定には、賃貸借契約書の文面だけでなく、その背景にある諸事情まで調査して査定する必要があります。

しかし、最近の契約ならまだしも、5年も10年も前の契約では、契約に当たった担当者が移動になっていたり、そもそも当初の契約当事者が賃貸人や賃借人の地位を譲渡していたりしていて、契約当初の事情がわからなくなっていることも多いと思います。

裁判所も、「賃料額決定の要素とした事情」の認定には苦労しているようで、最近の判決では、契約の前提としての交渉に際して検討された収益試算表(しかも、固定資産税や火災保険料について正確な数値を記載しているものではなかった)を採り上げ、賃借人の収益を相当程度確保するものではなくてはならないと結論付けています。

こんな時、交渉の経緯を詳細に記載して書面が残っていれば、立証が簡単ですね。

大きな契約を締結する際には、口頭だけの話し合いで終わることはないでしょうから、メモやレジュメのようなものも残るはずです。これらを添付して交渉記録を残しておけば、訴訟の際に大いに役立つはずです。

昨今、継続賃料の鑑定評価においては、契約の経緯や事情について詳しく分析し、賃料に反映していくことが必要になってきています。しかし、契約締結時の事情が記録に残っていなければ、鑑定評価に反映したくても出来ません。

今後、大きな経済情勢の変動が起きれば、訴訟にならないとも限りません。是非、交渉経緯を記録に残すよう、お勧め申し上げます。

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継続賃料の評価と価格形成要因の分析

不動産鑑定評価に当たっては、価格形成要因を市場参加者の観点から明確に把握する必要があります。

一般的な鑑定評価書ではほぼ定型化されており、「一般的要因の分析」で国民総生産や物価、金利・株価等の分析を行い、「地域要因の分析」では、対象不動産の存する●●市の概況(●●市の人口やインフラの整備状況等)、近隣地域の状況等を記載してあることが多いと思います。

しかし、そもそも価格形成要因の分析の本来の趣旨は、その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を分析して、①不動産の効用、②相対的希少性、③不動産に対する有効需要、の三者に及ぼす影響を判定することにあります。

したがって、鑑定評価手法の適用に当たって、影響を及ぼしていると考えられる要因については、しっかりと分析をし、あまり影響を及ぼしていないと考えられる要因については、さほど詳しく分析しなくてもよいと考えます。よく、「●●市の概況」の欄で、対象不動産とはまったく関係のない場所のことを根掘り葉掘り書いているものや、高度商業地の評価であって当たり前の下水道の普及率等を力説しているもの等を見かけますが、これって必要ないような気がします。このように判で押した様な分析になってしまうのは、我々鑑定業界の仕事の仕方からすると致し方ないのもわかるのですが、第三者から見ると「?」と思うでしょうね。(たまにクライアントから、からかわれます。)

多く書く分にはまだよいのですが、分析が「不足」しているのは、問題と言えます。
最近特に気になっているのが、継続賃料の評価書で、最終合意時点の価格形成要因の分析をしていないものが多いということです。

たとえば、最終合意時点が7年前(平成17年)だとしましょう。価格時点(例えば平成24年)との間には、証券化バブルと呼ばれる地価の高騰がありました。都心では年率30%を超えて地価が上昇し、外資の参入により都心の事務所や高級賃貸住宅の賃料も高水準にありました。しかし、平成19年にサブプライムローン問題が発覚し、平成20年にリーマンショックが起こると、世界的に景気が急速に悪化、不動産市場の相場は急落します。
というように、上がって↑、下がって↓という経過を辿りました。

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継続賃料の評価に当たっては、この、上がって↑、下がって↓をしっかり認識しておく必要があります。特に、差額配分法の配分率や利回り法の継続賃料利回りの決定、試算賃料調整等の各段階において、これらの推移を考慮しないと、説得力のある説明は出来ないと思うのです。
極端な話、最終合意時点が平成バブル前の昭和50年代だったりすると、上がって↑、下がって↓の大きなうねりを2回も繰り返しているわけで、ちゃんと分析していれば、二点間の数値だけをもって算定される、スライド法を重視するのは、憚られるのではないでしょうか?

・・・と、口で言うのは簡単ですが、なかなかやってみると大変です。時間的制約から、どうしても数字を出すことに追われてしまいますし、価格形成要因の分析には多くの時間を割くことは難しいかもしれません。また、結構一生懸命書いたのに、「いや、別にあそこは読まないから…」等と、良く言われます(と、いうか殆どのケースでそう思われているでしょう…泪)。

でも、馬鹿にしたものではありません。訴訟等で相手方の提出した鑑定評価書との比較がなされた時に、まったく分析した形跡がない鑑定評価書より、しっかり分析している評価書の方がきっと心証が良いはずです。

なかなか報われない作業ですが、いつかこの地道な努力に陽が当たることを信じて・・・。

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利回り法の継続賃料利回り再考

「利回り法」は、基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法です。

これを式で表すと次の様になります。

利回り法による試算賃料=基礎価格×継続賃料利回り+必要諸経費等

基礎価格は、大まかに言って、地代であれば「土地」、家賃であれば「土地+建物」の価格を指しますので、土地の価格に比例してストレートに試算賃料に影響を与えます。バブルの頃等は、短期間のうちに地価が倍になるようなことが珍しくありませんでしたから、これにつれて賃料も倍に査定されたりしたため、訴訟の場ではこの手法に対して否定的な判決を下すことも少なくなかったようです。しかし、賃貸人の投資採算性を反映したこの手法は、当事者間の公平を図る上で軽視できないと私は考えます。

利回り法を生かしていく上で、重要な役割を担うのが「継続賃料利回り」です。

継続賃料利回りは、現行賃料を定めた時点における基礎価格に対する純賃料の割合(「実績純賃料利回り」という)を標準とします。

しかし、実際には地価の変動等により、価格時点における期待利回りと実績純賃料利回りには大きな開差が生じていることが多く、そのまま適用すると、現実離れした試算賃料が求められてしまうため、契約締結時及びその後の各賃料改定時の純賃料利回り、基礎価格の変動の程度、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域における評価対象不動産と類似の不動産の賃貸借等の事例又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借の事例における純賃料利回りを総合的に比較考量して求めるとされています。

・・・にもかかわらず、訴訟の場等に提出される実際の評価書を見ると、独自に編み出した、あまり理論的でない方法を用いているものが少なくありません。

良く見かけるのが、実績賃料利回りに賃料の変動率を乗じて、地価の変動率で除す方法です。

継続賃料利回り=実績純賃料利回り×(賃料の変動率/地価の変動率)

確かにわかりやすいのですが、このやり方で求めた試算価格って意味があるのでしょうか?

建物の価格や必要諸経費等を無視すると、「基礎価格≒地価」ですから、前述の利回り法の式に継続賃料利回りの式を代入すると、地価の変動率が消去(約分)されて、結局「賃料の変動率」だけが残ります。この「賃料の変動率」は、通常、スライド法で指標とされている数値がそのまま用いられるので、それぞれの試算価格も近似して求められます(以前、端数処理の差以外まったく一致しているものも見たことがあります。)。

このことから、「利回り法はスライド法の一種である」といわれることもあるそうです。

一方で、実績純賃料利回りと、価格時点における期待利回りや比準利回りとの利回りの開差が生じている場合に、差額配分法における配分率の査定と同様の方法(「折半法」等)により求めるというやりかたもあるようです。このやり方は、最近日本不動産研究所が出版した「賃料評価の実務」や「不動産評価の新しい潮流」でも紹介されています。

この考え方に従うと、正常賃料が積算賃料(「基礎価格×期待利回り+必要諸経費等」で新規賃料を求める手法)と均衡がとれている場合、差額配分法による試算賃料に近似して求められるはずです。

「おおっ、試算賃料の調整が楽チンで好都合!」なんて喜んでいる場合ではありません。これではわざわざ利回り法をやる意味がないと思いませんか?

利回り法が、賃貸人の投資採算性を反映した手法であるという特徴を最大限発揮し、独立した手法として存在感のあるものにするためには、価格時点や契約締結時や各賃料改定時における各種利回り水準の時系列的な推移に着目して補正を行うのが妥当と考えます。

不動産証券化市場の発達に伴い、不動産は国債等の金融商品や他の投資用不動産等と代替競争関係にあって、相互に影響を与えていることを考慮すれば、賃料利回りも、これらの投資利回りの推移に連動して考えるべきです。

例えば、現行賃料が定められたのが12年前だったとしましょう。

この頃は、まだ不動産投資市場が整備されておらず、不動産はリスクが高い資産とみなされていたため、利回りは高水準でした。日本不動産研究所の第1回不動産投資家調査(1999年4月1日時点)によると、丸の内・大手町地域に所在するグレードの高いオフィス・ビルに投資することを想定した場合、期待する「総合還元利回り」の平均は6.3%でした。これが、直近の調査(第25回、2011年10月1日時点)によると、4.5%となっていて、1.8ポイント(▲28.6%)も利回りが低下しています。それだけ高い投資をしても不動産を手に入れたい人がいるということですので、これを継続賃料利回りにもこの推移を反映させるのです。

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もちろん不動産の地域性や個別性(種類等)により、採用する利回りは異なるでしょうし、当事者間の事情による調整を加える必要もあると思いますが、賃貸人の投資採算性の確保という視点から、利害関係者や司法関係者に対しても、十分な説得力があるものと言えるでしょう。

むしろ不動産に対する投資環境がこんなに大きく変わっているのに、これらが継続賃料の査定に反映されてこなかったこと自体が大いに問題があるような気さえします。

賃料の鑑定評価手法については、数々の新たな提言がなされていますが、より理論的で、関係者が受け入れやすい方法を常に考えていく姿勢が求められていると思います。

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不動産鑑定士 四方田 修

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借地権付建物の新築分譲(譲渡承諾料・条件変更承諾料等)を考える

戦後しばらくの間は、まだまだ盛んに借地契約が結ばれていましたが、高度経済成長と国土改造計画等を通じて地価が高騰すると、地価の上昇に比べて地代が増加しないことや、いったん契約すると地主側から解除することが困難なこと等から、新規に借地契約を締結する地主さんも少なくなりました。

平成12年には定期借地権制度が施行されますが、あまり普及していないようです。

では、もう借地権はなくなる一方なのかと言うとそうでもなくて、古い借地権付建物を買い取って、建物を建て替えて、分譲する業者があります。

借地権と言うと、所有権に比べて権利が弱く、担保性が低いことから金融機関からの融資が期待できないといったデメリットがある一方、土地を買うより初期投資が少なくて済むというメリットもあり、市場は小さいながらも一定の需要があるようです。

借地権付建物の新規分譲は、次の様な流れとなります。

①借地人が売却申し出(主に相続によるケースが多いと思われます。)

②建売業者が借地人と交渉し、条件設定(地代改定、譲渡承諾料、増改築承諾料、条件変更承諾料等)。

③借地権の売買契約(借地人⇔建売業者)、借地契約(地主⇔建売業者)をそれぞれ締結。

④建物取壊し・新築・分譲販売

⑤借地権付建物の売買契約(建売業者⇔購入者)、借地契約(地主⇔購入者)をそれぞれ締結。

借地権の譲渡には、②で挙げたように、様々な手数料が発生します。これらの金額は、基本的には当事者間の交渉で決まりますが、これらは地主側の意向とは関係なく、借地人が非訟手続き(裁判所が通常の訴訟手続によらず、簡易な手続で処理をし公権的な判断をする事件類型)により、進めることも出来ます。

東京地方裁判所では、これらの手数料について、一定の基準を設けており、ごねても金額が変わることは稀なので、この基準に従っている限り、交渉はスムーズにいくことが多いようです。これらの手続き及び基準については、「詳解借地非訟手続の実務(編集 東京地裁借地非訟研究会)」に詳しく書かれています。但し、既に絶版で、私もかなり苦労して古本を入手しました。国会図書館には蔵書があります。

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ここで注意しなくてはならないのは、現借地人から新規分譲の購入者に渡るまでの間に、一旦建売業者が借地権を所有することになるため、譲渡承諾手数料は2回発生するということです。借地権価格の10%と言われている譲渡承諾手数料を2回払っては、採算が悪くなりますので、ここは交渉で減額(1回分)というのが一般的のようです。

既存建物の多くは、木造であり、これが鉄骨造等に建替えられると、非堅固建物→堅固建物の借地条件の変更ということになり、条件変更承諾料が必要となります。契約条件によって差がありますが、一般的には更地価格の10%を基準にしているようです。木造建築物の借地権を評価する際に、借地権割合を路線価の借地権割合より10%程度少なく評価するのは、この取り扱いが根拠になっているともいえるでしょう。

建売業者は、借地権付建物の買取価格に、これらの手数料、取得から販売までの地代、建築費、利益等を上乗せして販売します。

実は、実務修習で借地権付建物の評価をする際、このような案件で取り組んだのですが、具体的にどのような手続きが行われるのか確認しながらやると、とても勉強になったのです。

借地権の取引事例を見ていると、このような経緯で取引されたと思われる事例を見つけます。その際、取引の流れを理解しておかないと、相場の読みを誤るので、是非、一度勉強されるとよろしいかと思います。

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不動産鑑定士 四方田 修

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標準的借地権割合とは?

借地権の評価で、「借地権割合」という言葉が出て来ます。

相続税評価を行う際に用いられる「財産評価基準書」の路線価図を見ると、数字の隣に「C」とか「D」と言った数字が付されていますが、これが借地権割合を示していて、「A」が90%、「B」が80%、「C」が70%・・・という具合に決められていて、税法上は、路線価を用いて求めた土地の価格に、この借地権割合を乗じた価格をもって、借地権価格とするとことが認められています。

不動産鑑定評価においても、借地権の取引慣行の成熟の程度が高い地域における借地権の価格を求める手法に、借地権割合法というのがあります。

不動産鑑定評価基準には、「借地権取引が慣行として成熟している場合における当該地域の借地権割合により求めた価格」と、仰々しく書かれていますが、早い話が税法と同じように、更地価格に借地権割合を乗じて借地権価格を求めます。

ここで、問題となるのが「借地権割合」です。

実務修習のテキストには、次の様に書かれています。

「借地権割合法の適用に当たっては、まず、対象不動産が存する地域の標準的な態様の借地権価格の更地価格に対する割合から標準的借地権割合を把握し、その割合をもとに対象不動産(借地権)の態様等を適切に反映した対象不動産に係る借地権割合を把握しなければならない。」

多くの方が、ここでいう「借地権割合」に、相続税路線価で定められた「借地権割合」をそのまま採用していると思われます。しかし、次の様にも書かれています。

「なお、このようにして得られた対象不動産に係る借地権割合は、各国税局の財産評価基準書における借地権割合とは必ずしも一致するものではないことに留意する必要がある。」

要するに、路線価の借地権割合をまるまる信用してはいけませんよ…ということです。

確かに、借地権の取引事例をもとに分析していくと、地域の標準的借地権割合は、路線価の借地権割合より、やや小さい値として把握されるのが一般的です。

これは、底地割合(更地価格に対する底地価格の割合)も同じ傾向で、「更地価格=借地権価格+底地価格」とはなりません。このことは、いったん借地権が設定されると、土地の最有効使用が阻害されること等により経済価値が低下するという理屈に合致するため、「更地価格>借地権価格+底地価格」の実証として説明されてきました。

でも、さらに分析を進めると、実は「借地権価格=相続税路線価×相続税借地権割合」という計算式で査定されたと思われる借地権価格がとても多いことに気が付きます。(もちろん、地域によりますが…)

相続税路線価は、通常公示地や基準地の価格の70~80%程度で査定されているので、この計算式で求めれば、不動産鑑定士の求めた更地価格に対する借地権割合が、相続税の借地権割合より小さく求められるのは当たり前です。

実際、借地権を売買した人の話を聞くと、相続税路線価をもとに計算したという話をよく聞きます。第三者に売買するなら話は別ですが、親族間や関係会社間で売買する場合などは、税務との整合性に気を使って、路線価による価格を採用することが多いようです。

このように決められた借地権の売買事例を基に、借地権割合を分析するのはいかがなものか?という疑問を以前から抱いているのですが、一方で、それも現実の社会経済情勢の下における合理的な市場として呑みこむべきなのかもしれません。まあ、ケースバイケースですね。

亡 高木文雄先生著の「法人・個人をめぐる借地権の税務」(借地権税務の名著。残念ながら平成10年版を最後に絶版となっており、現在入手困難です。)のまえがきにこのような話が書かれています。

“関西の不動産精通者によれば「土地と家屋の権利関係に関する東京の慣行が理不尽にも日本全国の慣行であると立法関係者に認識され」「司法省まで出かけてこの立法に強く反対したが聞入れてもらえず」 借地法、借家法が全国の慣行まで変更してしまった”

法制や通達が世間の取引慣行を誘導する力は大きいです。

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【地代】土地の基礎価格は、「更地価格」か、「底地価格」か?

底地の価格

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