借地借家(地代・家賃)

【継続賃料(利回り法)】継続賃料利回りの査定

継続賃料を求める手法には、差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法の4種類があります。

この内、利回り法は、元本である「価格」と果実である「賃料」の相関関係を示す「利回り」を時系列に捉える手法です。

わかりやすい例を挙げて説明します。

1億円の不動産を月50万円(年間600万円)で賃貸したとします。

ここでは、わかりやすくするために必要諸経費を無視して、価格と賃料の相関関係は次の式で表されます。 600万円÷1億円=6%

賃貸人は、6%の利回り(粗利回り)を得られると考えて、不動産を賃貸しました。

その後、不動産の価格が急上昇して、1億2千万円になりました。

この時点で、利回りを計算すると、

600万円÷1億2千万円=5%

利回りは5%に低下しました。賃貸人からすると、当初予定していた収益性が確保されていないので、賃料を引き上げることによって、利回りを維持したいと考えます。そこで、当初予定していた利回り(6%)を、現在の元本(1億2千万円)に乗じて、改定賃料を求めようとします。

1億2千万円×6%=720万円(=月額60万円)

これが、利回り法の基本的な考え方です。この時の基準となる利回り(6%)を継続賃料利回りと言います。

不動産鑑定評価基準には、「継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、期待利回り、契約締結時及びその後の各賃料改定時の利回り基礎価格の変動の程度近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における対象不動産と類似の不動産の賃貸借等の事例又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借等の事例における利回りを総合的に比較考量して求めるものとする。」と定められています。

継続賃料利回りは、実績純賃料利回り(基準ので求められる利回り)を基準にします。先に挙げた事例の6%がこれにあたりますが、実際の計算では純賃料(実質賃料から必要諸経費を控除した賃料)を用います。

しかし、この実績純賃料利回りをそのまま採用して良いというわけではありません。

賃料は、不動産の価格と異なり、遅延性(粘着性)という特徴を持っています。

通常、不動産の価格が20%上昇したからと言って、賃料もすぐに20%上昇すると言うことはありません。その上昇のスピードは遅く、且つ上昇の程度も少ないと言う特徴を持ちます。

これは、借地借家法制における賃借人保護の要請や継続的な法律関係の安定性から来るもので、対象不動産の用途や賃借人の属性によって、その程度に差があり、用途が居住用で賃借人が個人の場合で特に強く働き、逆に商業系で特にオフィスのように代替不動産の多い物件等は、比較的不動産価格に追随して賃料が改定される傾向があります。

先ほど挙げたのは、不動産価格が20%上昇(1億円→1億2千万円)している事例ですが、これが、仮に直近合意時点がわずか1年前だとすると、20%の賃料引き上げは賃借人に酷です。そこで、基準はこの実績純賃料利回りに調整を行うよう定めています。

期待利回り
賃貸人が期待する利回りです。契約当初に具体的に何%と明示していれば、その利回りですし、不動産の用途、類型、地域性によって相場観が示されているものもあります。

これが例示の先頭に記されていることから、利回り法が、賃貸人の採算性を重視した手法であると捉えることが出来ます。

契約締結時及びその後の各賃料改定時の利回り
不動産証券化市場の発展に伴い、海外の資金が流入してきて不動産の利回りは、低下傾向を続けています。以前は6%が当たり前でも、現在では周辺の利回りが4~5%が一般的…というのであれば、契約締結時の利回りをそのまま適用するのは難しいでしょう。

具体的には、不動産の利回りの推移を分析して、例えば、不動産投資の利回り水準が30%低下しているなら、継続賃料利回りに0.7(=1-30%)を乗じるなど、計算根拠を示して調整します。

基礎価格の変動の程度
基礎価格が大きく変動している場合に、これをダイレクトに適用すると、賃料が急激に増減することになるので、考慮する必要があります。但し、基礎価格が急激に変動しても、賃料は同じようには変動しないので、利回り水準が変わっているはずです。で利回りの推移を十分に考慮すれば、ここではあまり調整を行う必要はないでしょう。

近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における対象不動産と類似の不動産の賃貸借等の事例又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借等の事例における利回り
平たく言うと、周辺の利回り相場も意識してください…ということでしょう。
このを重視すべきと考えていらっしゃる方が多いようです。しかし、近所でお世話になっているから安い賃料で貸した、または、ペットの飼育を許可する代わりに少し高めで貸した等、不動産の賃貸借は個別性が強く、契約当事者間の信頼関係などによって、賃貸の条件もそれぞれ異なるものです。
そこに、いきなりの利回りをダイレクトに導入しては、当事者間の特殊な事情を反映出来ません。「不動産賃貸借は個別性が強い」と言うことを念頭に慎重に調整を図るべきと考えます。

直近合意時点から価格時点までの間に、地価水準に大きな変動があった場合等に、これらの調整を行わずに実績純賃料利回りをそのまま採用して利回り法による賃料を試算すると、極端に乖離した数字で試算されることがあります。そのようなことがないよう、適切な調整を行うか、どうしようもない場合は、試算賃料を調整して鑑定評価額を決定する段階で、乖離した原因を分析した上で参考に留める等、適宜判断していく必要があるでしょう。


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継続地代と固定資産税

数年前に実際にあった土地の賃貸をしている地主さんからの相談で、借地上の建物(共同住宅)が焼失してしまい、その結果、固定資産税が上がってしまい困っているとのこと。

固定資産税の算定には住宅用地の特例があって、その税負担を軽減する目的から、課税標準の特例措置が設けられていて、住宅用地の特例措置を適用した額(本則課税標準額)は、住宅用地の区分、固定資産税及び都市計画税に応じて、固定資産税評価額の6分の1や3分の1等で計算されます。

しかし、賦課期日(毎年1月1日付)に住宅(建物)がなければ、当然ですが特例措置は受けられません。土地を利用しているのは借地人ですが、固定資産税を支払うのは地主(賃貸人)です。固定資産税等の増加を理由に、「地代を増額出来ないか?」という相談です。

借地借家法第11条第1項は、「地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」と定めており、「土地に対する租税その他の公課の増減」は地代増(減)額請求権を行使する要件を満たします。

ここで注意しなければならないのは、地代の計算方法です。

求める賃料は不動産の賃貸借等の継続に係る賃料ですので、継続賃料を求めることになりますが、継続賃料を求める手法のひとつである差額配分法を適用すると、ざっくり次のような計算になります。


現行地代:年額120万円(保証金、権利金などの一時金なし)
新規賃料:年額170万円※
公租公課:年額30万円→90万円
差額配分率:2分の1(折半法)
※ 対象不動産の経済価値に即応した賃料で、焼失前の使用方法である共同住宅の敷地を前提とした賃料です。

差額配分法による試算価格
120万円+(170万円-120万円)×1/2=145万円

現行地代120万円に対し、25万円高い145万円と計算されましたが、これでは、公租公課の増加分(60万円)をまかなえません。

そこで、差額配分法を適用するにあたり、そのまま公式通りに当てはまるのではなく、公租公課を切り離して計算する必要があります。

現行賃料(純賃料):年額90万円=120万円-30万円
新規賃料(純賃料):年額140万円=170万円-30万円

差額配分法による試算価格
90万円+(140万円-90万円)×1/2+90万円=205万円

賃料は純賃料必要諸経費等に分かれます。
必要諸経費は賃貸事業に必要な経費で、維持管理費や公租公課からなり、純賃料は、実質賃料から必要諸経費を控除したもので賃貸人の儲けを表します。
差額配分法を適用するにあたって、純賃料を使って、長年の賃貸借の中で生じた賃料差額(50万円)を求めてこれを配分し(25万円)、公租公課については折半しないで90万円全額を加算します。

このように計算すれば、必要諸経費である公租公課の増加分を100%反映させることが出来ます。
これは、鑑定の教科書に載っている方法ではありませんので、鑑定評価書を作成する際、鑑定理論上の根拠を示すとともに、裁判官や調停委員にわかりやすいように図表を駆使して説明する等、いろいろと工夫した結果、依頼人の主張は大筋認められました。

少し前の話になりますが、浅草寺の仲見世通りにあるお土産物などを売る店舗が家賃値上げを請求されて、ちょっとした話題になっていましたが、このケースでも同じような考え方で対応する必要があります。

こちらは「地代」ではなく「家賃」ですので、必要諸経費には建物の修繕費や火災保険料などが加算されていますので、多少複雑になりますが、家賃値上げの直接の引き金となったのは、建物の所有者が固定資産税や都市計画税を払う必要がない東京都から、浅草寺になって課税されることになったからです。

結果、昨年4月に合意がなされ、1区画(約10㎡)1万5千円の家賃が10万円になり、今後2年後に15万円、5年後に20万円、8年後に25万円になるとのこと。
詳しい内容はわかりませんが、おそらく公租公課の増加分は即時値上げして、賃料差額については段階的に上げていくと言うことなのでしょう。
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【借地非訟手続】介入権価格の求め方(譲渡予定価格は考慮されるか?)

借地非訟手続きで、借地権の譲渡を申し立てられた地主は、介入権を行使して、建物及び土地賃借権(借地権)を買取ることが出来ます。

◆ 過去記事

【借地非訟手続】借地権の譲渡と介入権

では、その借地権付建物の価格は、どのようにして決まるのでしょうか?

実務的には、弁護士、不動産鑑定士及び有識者によって構成される鑑定委員が意見書を作成し、これに基づいて裁判所が相当の対価(以後、「介入権価格」と呼びます)を決定します。

鑑定委員には必ず不動産鑑定士が含まれていますので、意見価格は、通常、不動産鑑定評価基準に基づいた「正常価格」として求められます。

よく、借地人が譲渡予定先から差しれられた買入申込書等に記載された「譲渡予定価格」を提示して、その価格で決定するように主張することがありますが、介入権価格はあくまでも正常価格と考えられており、譲渡予定価格は借地権者の売買交渉の拙劣その他事情により、必ずしも合理的な市場で形成される価格で売買されているとは限らないので、鑑定委員は、これらにしばられることなく、意見価格を求めます。

鑑定委員の意見書が提出されると、特に問題がない限りその意見価格で決定されます。この決定を後で覆すのは相当困難ですので、もし当該不動産について各当事者に有利な情報があれば、事前に鑑定委員の目に触れるようにしておくのが望ましいでしょう。
例えば、借地人が譲渡予定価格の根拠として、不動産鑑定士の作成した不動産鑑定評価書を添付すると、訴訟資料等の形で鑑定委員も提示を受けることになるので、一資料として考慮されるかもしれません。評価額に影響を与えるような特殊な事情がある不動産等の場合は一考に値するでしょう。

同様に、競公売に伴う賃借権譲受許可申立事件においても、競売手続での売却基準価格や買受価格は考慮されません。競売や公売の場合は、既に落札しているのですから、多少は考慮されてもいいのではないかと思われるでしょうが、実際、落札価格より低い金額で介入権価格が決定されることもあります。この場合、せっかく落札した不動産を手にすることが出来ないばかりか、落札額を回収することも出来ないことになり、まったくもって「骨折り損のくたびれ儲け」です。借地権付建物を競売で入札するときは注意した方がいいでしょう。

借地権付建物の価格を求めるにあたっては、この他にもいくつか注意すべき点があります。

(1) 名義書換料相当額の控除

介入権は、賃借権譲渡許可申立てまたは競公売に伴う土地賃借権許可申立ての裁判を前提にしているので、譲渡が許可された場合に支払うべき財産上の給付(いわゆる名義書換料:借地権価格の10%が標準)相当額が控除されます。

(2) 建付減価が考慮される

借地権付建物が、その地域の環境に適合していないときや、容積率未消化等の理由により最有効使用の状態にないときは、借地上の建物が土地の減価要因となることがあり、介入権価格は、このような建付減価を考慮して求められます。

建付減価は、通常建物の取壊し費用相当額が上限となります。ひとつの目安として知っておいていいと思います。

(3) 借家権価格の控除

建物に賃借人がいる場合は、借家権価格相当額を控除するのが一般的です。
但し、合理的な賃貸経営により十分収益を上げていて、賃貸借による価値の減少がないものと判断される場合には、借家権の控除を行わないこともあります。この辺りは、議論のあるところですので慎重な判断が必要です。周辺相場と比較して著しく低い賃借料に甘んじている等、借地権付建物の価値が低下しているようなときは、控除すると考えて良いでしょう。

その他、不法占有者がいて明渡しをする見込みがないとき等、明渡し請求をするために必要な費用が考慮される場合があります。

このように、介入権価格を求めるにあたっては、注意すべき点が多いので、事前に介入権価格を予想することは、とても難しいと言えます。

しかし、一旦介入権の申立てを行い、裁判所がこれを認容するときは、借地権付建物の売買契約が成立したときと同様の法律的効果が生じます。仮に介入権価格が思ったより高い金額で決定されたとしても、対価を支払う義務を負い、これを怠れば強制執行により義務の履行を求められる可能性もあります。
「もし、高かったら取り下げればいいや」等という甘い気持ちで申し立てると、後で大変なことになりかねません。

借地非訟事件で介入権を行使するにあたり、相当の対価についてよくわからないときは、借地非訟事件に詳しい不動産鑑定士に事前に相談してみると良いでしょう。



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賃貸事業分析法

平成26年5月1日付の改正『不動産鑑定評価基準』は、不動産証券化市場における国際会計基準への適合等の要請に配慮した部分については、積極的に改訂されているのですが、賃料に関する部分については、事前の調査段階で問題視されていた部分も含めて、あまり具体的な改訂が盛り込まれませんでした。

そんな中、宅地の正常賃料を求める評価手法に賃貸事業分析法が加えられたのは、大きな改正と言えます。

基準の各論第2章第1節 I. 「2.宅地の正常賃料を求める場合」に追記される形で、

また、建物及びその敷地に係る賃貸事業に基づく純収益を適切に求めることができるときには、賃貸事業分析法(建物及びその敷地に係る賃貸事業に基づく純収益をもとに土地に帰属する部分を査定して宅地の試算賃料を求める方法)で得た宅地の試算賃料も比較考量して決定するものとする。

と定義されました。

「比較考量」ということで、あくまでも他の手法による賃料(積算賃料、比準賃料、配分法に準ずる方法に基づく賃料)の補助的な位置づけになっていますが、借地上に賃貸建物が建っている場合の賃料を求める手法としては、土地の賃借人の支払える上限額として合理的であるといえます。

最近REIT(不動産投資信託)が、都心のビルの底地のみを取得するケースが多く見られますが、この底地の地代を設定する際、周辺に参考となる賃貸事例が少ない(一般戸建住宅や小規模小売り店舗の地代の事例はあまり参考にならないことが多い)ことから、この手法の果たす役割は大きいと言えるでしょう。

また、新たに大規模商業施設やホテル等を建設する際の新規地代を求める場合にも、大いに参考とすべきだと思います。建物が収益不動産の場合には、収益分析法という手法が別にあるのですが、最近では賃貸を想定して負担可能賃料から純収益を想定する考え方が主流になりつつあります。(実際、収益還元法の総収益の項にも、このような考え方を基準の文言の追加がなされています。)

私も、まだ、鑑定士になる前の見習い時代に、この手法を適用したホテルの地代を求める鑑定評価書の作成に携わったことがあります。

ホテルを建設することを計画して、土地の賃貸借契約を締結したのですが、土地の賃借人が、建物を建設する前に民事再生を申請したケースで、賃借人の代理人弁護士が、当初合意した地代を減額するよう請求してきたのです。

賃貸人(地主)からの依頼で、継続賃料の鑑定評価書を作成することになったのですが、賃貸事業分析法を採用することで、不動産に帰属する純収益(≒賃料負担能力)を具体的に試算することで、賃料減額の必要のないことを示すことにしました。

当時は、「賃貸事業分析法」等という正式名称はありませんでしたので、「土地残余法に基づく方法」などと適当な名前を付けていました。

ホテルの地代を求める場合、ユニフォーム・システム(Uniform System of Accounts for The Lodging Industry:部門別管理会計)により、各部門の収益が明確化されており、不動産(建物及びその敷地)に帰属する純収益を客観的に求める手法も確立されていましたので、とても説得力のある評価が出来たと思います。

この手法が基準に追加されたことで、今後は大手を振って、適用できる(しなくてはならない?)ことになりました。まだまだ具体的な適用方法については、書籍などに公表されているものがありませんので、土地に帰属する純収益の算定方法など、いろいろと研究していく必要がありそうです。


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「直近合意時点」についての規定の明確化

少し古い話になりますが、国土審議会土地政策分科会不動産鑑定評価部会が、不動産鑑定評価基準等の改正骨子(案)を取りまとめました。

不動産鑑定評価基準の改正骨子(案)(国土交通省HP)

P23【論点H】「継続賃料の評価に係る規定の見直し」の中で、「直近合意時点」についての規定の明確化が示されています。

ここで、直近合意時点について、“継続賃料の評価は、「直近合意時点」から「価格時点」までの期間に生じた事情変更等をもとに行われているものであり、評価において重要な概念であるが、現行賃料の規準では明確にされていないため、「直近合意時点」に係る定義を「現行賃料について合意し適用した時点」として明確に規定する。”と記してます。

現行の不動産鑑定評価基準において、「直近合意時点」という言い方は、使われていません※が、利回り法及びスライド法の適用方法の中に「現行賃料を定めた時点」という言葉が使われています。

※平成26年5月1日付改正『不動産鑑定評価基準』において、正式に「直近合意時点」という言い方が採用されました。

しかし、この言葉の定義が難しいのです。

2年前に初めて賃貸借契約を締結して、今回初めて賃料の改定を検討しているということでしたら、2年前の賃貸借契約締結時点が「直近合意時点」ということになります。

では、当初契約時点が6年前で、その後2年毎に契約書を交わして更新している場合はどうでしょう?

この場合2年毎に契約書を交わして、そこに賃料が記載されて当事者双方が署名捺印しているのだから、直近合意時点は、2年前の契約更新時だという意見があります。

一方で、契約更新は形式的なもので、本当は賃料減額してもらいたかったけど、あまり大家さんともめたくないので我慢していただけで、本当に双方の合意があったのは、6年前の当初契約時まで遡るべきだ、との意見もあるでしょう。

実際の賃貸市場を見ると、6年前は平成19年で、証券化バブルの最盛期で賃料相場は高い水準にありました。その後、平成20年のリーマンショックで市場は急激に冷え込み、賃料相場は大幅に低下しました。このような経済事情の下では、どちらを「直近合意時点」とするかで、試算価格に大きな影響を与えかねません。

実際に数字を出して見てみましょう。

平成19年9月1日に最初の契約を行い、賃料は、1坪当たり25,000円だったとします。
その後、2年毎に契約を更新しますが、賃料の改定は行いませんでした。しかし、実際の相場(正常賃料)は、大きく変動したとします。

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スライド指数は、ここでは簡略のために正常賃料の変動率をそのまま採用しています。

ここで、「直近合意時点」が、平成19年9月1日の場合、スライド法による試算賃料は、

H19.9.1基準のスライド法:25,000円×0.640=16,000円

となりますが、「直近合意時点」を平成23年9月1日とした場合、

H23.9.1基準のスライド法:25,000円×0.941≒23,500円

となり、7,500円もの差が生じてしまいました。

確かに、平成21年の1回目の契約更新の際に、賃料減額の可能性があったのに、賃借人は賃料減額請求を怠ったのだから、保護に値しない・・・と言ってしまえばそれまでですが、不動産の賃貸借の取引慣行に鑑みれば、それは賃借人に酷というものです。

こういう場合、当事者間の事情の他、賃貸借契約の内容や締結の経緯等を十分に考慮しし、双方の合理的意思に合致するような形で、直近合意時点を判断すべきでしょう。

今回の改正骨子(案)のいう「現行賃料について合意し適用した時点」については、以上の様に鑑定評価手法の適用に当たり、大きな影響を及ぼすものであるため、十分に考慮して決定していく必要があります。仕事が楽だからという理由で、安易に直近の時点を選択することなく、長いスパンで分析していくことが重要です。

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収益賃料と最有効使用の原則(店舗賃料と売上高)

アベノミクスの効果でしょうか?リーマンショック以降冷え込んでいた繁華街にも、人の姿が少しずつ戻って来たような気がします。景況感の好転により、商業地の賃料も下降から上昇へと転じつつあるようです。

店舗賃料は、店舗の売上高に比例すると言われています。物販・飲食店舗の事業主は、店舗の収益性を重視して出店の可否について意思決定しますので、損益分岐点を上回るのであればそこに出店したいと考えます。そして、その場所で最も高い賃料を提示できる事業者が、その場所で商売するチャンスを得るのです。(最有効使用の原則)

一般的な飲食業等の場合、売上高に対する原価の割合は3割と言われています。そこから人件費や水光熱費等の販売管理費を控除すると、負担可能賃料(だいたい幾らくらいまで家賃を負担出来るか)が計算できます。こうした計算を基に、採算を図ることが出来ると判断すれば出店のゴー・サインが出ますので、店舗の賃料と売上高の間には深い相関関係が認められます。最近では、売上高に連動させた変動賃料も多く見られますね。

ここで気を付けたいのは、家賃を決定するのは「最有効使用の売上高」だと言うことです。

よく、賃料減額訴訟において、賃借人が「最近、売上高が下がってきているので賃料を下げて欲しい」と訴えて来るケースを目にしますが、売上高の低下が、一般的な景気の後退や地域の衰退によるものなのか、それとも当該事業固有の問題なのか、について検討する必要があります。
前者の場合は、どんな事業でも収益性をあげることが難しいので、賃料の減額を免れることは出来ませんが、後者の場合は、テナントを替えることで、賃貸人はより高い家賃を獲得する機会があるはずです。
特に繁華性の高い目抜き通りにおいては、誰もが出店のチャンスを狙っています。たとえ現在の賃借人が退去しても容易に新しい賃借人を見つけることが出来るでしょう。このような状況で、賃料減額を要求されるのは、賃貸人にとって酷です。

そこで、鑑定評価に当たっては、まず、対象不動産において、どのような事業者が最も収益を獲得し、高い家賃を払うことが出来るかを十分に検討することが必要です。

この最有効使用は時代とともに変わって行きます。かつては高い収益性を背景に、駅前一等地に大きな店舗を構えていた百貨店が、家電量販店にその場を譲っているのは、賃料負担能力が逆転したからです。

【参考】「百貨店から家電量販店(新宿三越アルコット閉店)」
http://akatsuki-rea.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-9118.html

全国展開しているチェーン店等は、大量仕入れによる原価削減、店舗の情報化や物流の最適化合理化により、高い収益性を示しており、また、店舗開発要員が全国の繁華街で出店可能性を探っていますので、商業集積地において最有効使用であることが多いです。収益賃料を査定するにおいては、これらのチェーンを運営している企業の財務データを活用することが有効です。

こうして求められた収益賃料に対して、現行賃料が下回っている場合、たとえ現賃借人の売上減少により家賃負担が厳しくなっていたとしても、直ちに賃料減額を受け入れる必要はないと言えるでしょう。もちろん、客観的な数字を示すことが重要です。ですので、店舗賃料の鑑定評価書を作成する際は、手間暇を惜しまずやっていくことが大切ですね。

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不動産鑑定士 四方田 修

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【借地非訟手続】借地権の譲渡と介入権

民法第612条は、「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」と規定しており、これに違反して第三者に賃借物の使用・収益をさせたときは、賃貸人は契約を解除することが出来ます。

しかし、建物所有を目的とする土地の賃貸借(借地契約)の場合には、借地権の譲渡や転貸が制限されると、事実上、自己の所有物である建物を処分することが不可能となり、建物所有者である借地人に酷であるため、借地借家法第19条は、地主が承諾しない場合でも、借地権の譲渡を受ける第三者(譲受人)が借地権を取得しても借地権設定者(地主)に不利となるおそれがない場合には、借地権者は裁判所に対し、地主の承諾に代わる許可の申立てをすることができます。

「借地権設定者に不利となるおそれ」とは、譲受人の資力(家賃を払えるかどうか?)や暴力団関係者や風紀上好ましくない営業をしようとする者である等の社会的信用面から判断されますが、地主がこれらを立証しない限り認められるのが一般的です。

この申し立ては、裁判所における非訟手続きで行われ、当事者間の利益の公平を図る必要がある時は、借地条件の変更(借地権の存続期間の延長や地代の改定)と、地主に財産上の給付がなされます。

この財産上の給付は、東京地裁では借地権価格の10%相当額を基準とし、裁判所の選任した鑑定人で構成する鑑定委員会の意見に基づき、当該事案の個別事情を考慮してこれを増減した額により決定しています。(おそらく他の裁判所も同じような扱いだと思います。)

財産上の給付額が定率化したことにより、一般の借地権の取引においても、名義書換料が「借地権価格の10%」というのは実務として定着しているようです。

では、地主はこの財産上の給付を受けて、借地権の譲渡を認める以外方法はないのでしょうか?

地主は、建物賃借権譲受許可の申立てをすることが出来ます(建物等優先譲受件または介入権)。裁判所は相当の対価を定めて、これを命ずることが出来ます。

この申立ては、裁判所が定める期間内に行う必要があり、この期間は、裁判所が地主の承諾に代わる許可を認め、地主に告知した日から少なくとも14日以後とされています。意外と短いですね。

この場合の対価ですが、借地人が第三者に売却する予定価格に関係なく、不動産鑑定評価基準における正常価格から、名義書換料相当額を控除した価格となります。

また、対象建物に借地権設定者に対抗し得る借家権者がいる場合は、借家権価格も控除した価格となります。

借地権付建物の評価は、結構複雑なのですが、実務上、取引事例比較法で求めた更地価格に、借地権割合を乗じて求めた価格(借地権割合法)によっている例が多いようです。しかし、借地権の価格は、契約の特殊性等から借地権割合による評価が不相当な場合も多いと思います。鑑定委員会の意見書に対しては、意見を書面で提出する機会がありますので、これらを合理的に説明できる場合は、金額の修正を勝ち取ることが出来るかもしれません。

あかつき鑑定では、鑑定委員会の意見書のチェックや、意見提出のコンサルティングも行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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空室等による損失相当額の計上

中古の投資マンションを1200万円で購入しました。
家賃は月12万円で、必要諸経費(維持管理費、公租公課等)が月2万円で、手取りが10万円とします。
ここで、賃借人が少し家賃を下げて欲しいと相談に来ました。
現状では、必要諸経費控除後の収入が年間120万円(10万円×12か月)で、10%の利回りですが、利回り8%確保できればなんとかローンの返済も出来るので…と考えて、賃料を2万円値下げして家賃を8万円に改定しました。

1年後、賃借人は契約を解除して引っ越して行きました。室内を清掃・消毒して、壁紙を張り替え、新しい賃借人を募集して入居するまで1カ月間空室になってしまいました。

よくある話ですが、当初の賃借人が退去して、新しい賃借人が入るまでの1カ月は家賃が入ってきませんので、その年の必要諸経費控除後の収入は8万円×11カ月=88万円で、利回りは7,3%となり、想定していた利回り8%が達成されないことになります。
もし、ぎりぎりのローンを組んでいたとしたら、これは大変なことになりそうですね。

このように、不動産賃貸経営に当たっては、一定割合の空室の発生を事前に想定して事業計画を立てないと、期待した利回りを達成できなくなります。
つまり、8%の利回りを安定的に確保するためにはもう少し高めの家賃設定を維持する必要があったのです。これが「空室等による損失相当額」を計上する理由です。

実際に、将来予想される空室等による損失をまったく検討しないで不動産投資することはありませんし、そのような事業計画では銀行もお金を貸しにくいと思います。

「空室等による損失相当額」は、価格を求める収益還元法だけでなく、賃料を求める手法の内、積算法や利回り法でも必要に応じて計上する必要があります。これらの手法は、元本(基礎価格)と果実(賃料-必要諸経費等)の相関関係により、賃料を求める手法ですので、収益還元法で計上するのに、賃料の評価で計上しないと言うのは、おかしな話ですね。(そもそも元本価格から果実を求めるこれらの手法の存在意義を否定する学説もありますが、これについては、別途書きたいと思います。)

「空室等による損失相当額」を計上しなくても、空室リスクを利回りに織り込んであれば、同じ評価結果が得られますが、ここは鑑定評価基準にしたがって、具体的に見積ることが出来る限り、「空室等による損失相当額」として計上することにしましょう。

空室等による損失相当額は、DCF法では、収入の部の控除項目になっていますが、賃料の場合には、控除項目を設けるわけにはいかないので、必要諸経費等(「空室等による損失相当額」や「貸倒準備費」は、厳密には「必要諸経費」ではないので「等」がついています。)に計上しています。

次に、空室等による損失相当額を具体的に計上してみましょう。冒頭のケースの場合、例えば賃借人の契約期間が平均して2年位で入れ替わるとすると、24か月のうち1カ月が空室ということで、1/24≒4.2%等と見積もられることが多いようです。不動産調査会社が発表している空室率等の数字も参考になるでしょう。

しかし、機械的にこれらの数字を計上していいわけではありません。見積りに当たっては、投資家としての賃貸人になった気分で、想像をめぐらし、地域分析や個別分析に基づき適正に算出する必要があります。

例えば、リーマンショック以降、都心部のオフィスや高級賃貸マンションは、空室を埋めるためにフリーレントを数カ月つけないと契約がまとまらないという事態が発生しています。このような場合、想定される空室期間だけでなく、フリーレントの分を多めに計上する必要がありそうです。

では、管理の状態がとても悪く、20戸ある部屋の半分が恒常的に空室になっている賃貸マンションのケースはどうでしょうか?空室等損失50%として必要諸経費等に加算して家賃高くしてしまったら、ただでさえ入居する人がいないのに、さらに空室が増えてしまいそうです。

逆に、オーダーメイド賃貸やサブリース契約等で1棟丸々一括で賃借してもらう場合には、賃借人が転居して空室になるという心配もないので、空室等による損失相当額を計上しないのが普通だと思います。仮に、賃借人の信用状態等から賃貸借契約の継続に懸念が生じている場合には、空室等による損失相当額として見積るのではなく、むしろ期待利回りに反映させるべきでしょう。

この他に、希少なヴィンテージマンションで、空室が出来たらすぐに入居したいと言う人が何人も待っているケースや、店舗賃貸で出店準備期間や造作撤収にかかる期間にも賃料が発生する場合等々…、あなたなら、「空室等による損失相当額」をいくら計上するでしょうか?

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賃貸借契約締結の経緯(交渉経緯を記録に残しましょう!)

継続賃料の評価手法については、平成15年のサブリース賃料に関する最高裁判決以降、大きく変わりつつあります。

サブリースやオーダーメイドリース、賃料自動増額特約といった形態の建物賃貸借契約において、賃借人が平成バブルの崩壊による景気後退で事前に取り決めた賃料を支払えなくなり、賃料減額請求が頻発しました。右肩上がりの経済では想定できなかったことで、それまでの賃料の評価手法を単純に適用しただけでは、当事者間の衡平を図ることが難しくなりました。

そこで、最高裁は、借地借家法第32条第1項(賃料増(減)額請求権)が強行法規であるとした上で、さらに相当賃料額を判断するに当たり、賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情その他諸般の事情を考慮すべきであるとの考え方を示しました。

具体的には、契約において賃料額決定されるに至った経緯や賃料自動増額特約が付されるに至った事情(賃料相場との乖離の有無や程度等)、転貸事業における収支予測にかかわる事情、銀行借入金の返済の予定に係わる事情等をも十分に考慮すべきと判決で結論付けていることから、相当賃料の判定には、賃貸借契約書の文面だけでなく、その背景にある諸事情まで調査して査定する必要があります。

しかし、最近の契約ならまだしも、5年も10年も前の契約では、契約に当たった担当者が移動になっていたり、そもそも当初の契約当事者が賃貸人や賃借人の地位を譲渡していたりしていて、契約当初の事情がわからなくなっていることも多いと思います。

裁判所も、「賃料額決定の要素とした事情」の認定には苦労しているようで、最近の判決では、契約の前提としての交渉に際して検討された収益試算表(しかも、固定資産税や火災保険料について正確な数値を記載しているものではなかった)を採り上げ、賃借人の収益を相当程度確保するものではなくてはならないと結論付けています。

こんな時、交渉の経緯を詳細に記載して書面が残っていれば、立証が簡単ですね。

大きな契約を締結する際には、口頭だけの話し合いで終わることはないでしょうから、メモやレジュメのようなものも残るはずです。これらを添付して交渉記録を残しておけば、訴訟の際に大いに役立つはずです。

昨今、継続賃料の鑑定評価においては、契約の経緯や事情について詳しく分析し、賃料に反映していくことが必要になってきています。しかし、契約締結時の事情が記録に残っていなければ、鑑定評価に反映したくても出来ません。

今後、大きな経済情勢の変動が起きれば、訴訟にならないとも限りません。是非、交渉経緯を記録に残すよう、お勧め申し上げます。

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継続賃料の評価と価格形成要因の分析

不動産鑑定評価に当たっては、価格形成要因を市場参加者の観点から明確に把握する必要があります。

一般的な鑑定評価書ではほぼ定型化されており、「一般的要因の分析」で国民総生産や物価、金利・株価等の分析を行い、「地域要因の分析」では、対象不動産の存する●●市の概況(●●市の人口やインフラの整備状況等)、近隣地域の状況等を記載してあることが多いと思います。

しかし、そもそも価格形成要因の分析の本来の趣旨は、その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を分析して、①不動産の効用、②相対的希少性、③不動産に対する有効需要、の三者に及ぼす影響を判定することにあります。

したがって、鑑定評価手法の適用に当たって、影響を及ぼしていると考えられる要因については、しっかりと分析をし、あまり影響を及ぼしていないと考えられる要因については、さほど詳しく分析しなくてもよいと考えます。よく、「●●市の概況」の欄で、対象不動産とはまったく関係のない場所のことを根掘り葉掘り書いているものや、高度商業地の評価であって当たり前の下水道の普及率等を力説しているもの等を見かけますが、これって必要ないような気がします。このように判で押した様な分析になってしまうのは、我々鑑定業界の仕事の仕方からすると致し方ないのもわかるのですが、第三者から見ると「?」と思うでしょうね。(たまにクライアントから、からかわれます。)

多く書く分にはまだよいのですが、分析が「不足」しているのは、問題と言えます。
最近特に気になっているのが、継続賃料の評価書で、最終合意時点の価格形成要因の分析をしていないものが多いということです。

たとえば、最終合意時点が7年前(平成17年)だとしましょう。価格時点(例えば平成24年)との間には、証券化バブルと呼ばれる地価の高騰がありました。都心では年率30%を超えて地価が上昇し、外資の参入により都心の事務所や高級賃貸住宅の賃料も高水準にありました。しかし、平成19年にサブプライムローン問題が発覚し、平成20年にリーマンショックが起こると、世界的に景気が急速に悪化、不動産市場の相場は急落します。
というように、上がって↑、下がって↓という経過を辿りました。

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継続賃料の評価に当たっては、この、上がって↑、下がって↓をしっかり認識しておく必要があります。特に、差額配分法の配分率や利回り法の継続賃料利回りの決定、試算賃料調整等の各段階において、これらの推移を考慮しないと、説得力のある説明は出来ないと思うのです。
極端な話、最終合意時点が平成バブル前の昭和50年代だったりすると、上がって↑、下がって↓の大きなうねりを2回も繰り返しているわけで、ちゃんと分析していれば、二点間の数値だけをもって算定される、スライド法を重視するのは、憚られるのではないでしょうか?

・・・と、口で言うのは簡単ですが、なかなかやってみると大変です。時間的制約から、どうしても数字を出すことに追われてしまいますし、価格形成要因の分析には多くの時間を割くことは難しいかもしれません。また、結構一生懸命書いたのに、「いや、別にあそこは読まないから…」等と、良く言われます(と、いうか殆どのケースでそう思われているでしょう…泪)。

でも、馬鹿にしたものではありません。訴訟等で相手方の提出した鑑定評価書との比較がなされた時に、まったく分析した形跡がない鑑定評価書より、しっかり分析している評価書の方がきっと心証が良いはずです。

なかなか報われない作業ですが、いつかこの地道な努力に陽が当たることを信じて・・・。

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