山登り

尾瀬の入山者過去最低

環境省関東地方環境事務所は、平成23年度尾瀬国立公園への入山者数は約281,300人(対前年比▲18.9%)で、そのうち、尾瀬地域への入山者数は約264,900人と初めて30万人を下回り、統計を取り始めた1989年以降最低だったと発表しました。

今年は、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故等による風評被害や、7月の豪雨で尾瀬ケ原の木道が浮く被害があったことも影響したと考えられます。

東京電力にとっては、登山者数減少で山小屋の収入が減る一方で、登山道の整備にお金がかかると、踏んだり蹴ったりな一年でしたが、それでも、豪雨の後も直ちに木道の修復を行ったそうで、こういうところは、現場の方々の努力に頭が下がるばかりです。

さて、尾瀬へのアプローチとしては、栃木県・福島県側の沼山峠と、群馬県側の鳩待峠が一般的ですが、公表された資料によると、半数以上が鳩待峠からの入山です。

H23

古くから山登りをされている方は、この結果を意外に思ったのではないでしょうか?
昔は、尾瀬と言えば栃木県側の桧枝岐から入るのが一般的でした。

1986年(昭和61年)に野岩鉄道が開通し、東武鉄道と直通運転を始めると、「尾瀬夜行23:55」と銘打った夜行列車を走らせ、早朝会津高原駅(現:会津高原尾瀬口駅)に着き、バスで御池・沼山峠入り出来るようになりました。

私が初めて尾瀬に行った時は、この行き方でしたが、チケットはすぐに売り切れるので、早めに買いに行ったものでした。
それが、数年前に行った時は、売り切れどころは、車内は空席が目立ち、ボックス席を独占してぐっすり眠ることが出来て、ちょっとびっくりした記憶があります。

Photo

これは、数字にも表れていて、鳩待峠は比較的数字が安定しているのに対し、沼山口(大江湿原)側は、減少傾向が続おり、今年は平成11年のほぼ3分の1まで落ち込んでいます。
モータリゼーションの影響でしょうか?鉄道では、野岩線が便利なのですが、関東方面から車で行くのであれば、関越道から行った方が便利です。(私は下山後の温泉とビールが楽しみなので鉄道が好きですが…)

ここに、震災と原発事故の影響が拍車をかけてしまったようです。

福島県側には桧枝岐という温泉地があり、尾瀬観光の宿泊基地になっていたのですが、大きな打撃を与えられたことでしょう。

秋に尾瀬に行った人の話では、異様なほど人が少なかったとのことで、ある意味ゆったりと尾瀬を堪能できたそうですが、観光業の方々にとっても死活問題ですね。

放射能汚染への懸念は大きかったと思われますが、群馬県自然環境課尾瀬保全推進室によれば、「五月に実施した空間放射線量の測定では、屋外での活動に問題のない数値だった。」ということですので、来年は、是非美しい尾瀬の自然を愛でに、お出かけされてはいかがでしょう?

〔追記〕H25.9.27付

平成24年度の入山者数は324,900人で、震災前の水準近くまで回復してきました。

H24_2

しかし、栃木・福島県側の玄関口、沼山峠口の入山者は61,000人で、減少傾向に歯止めをかけるに至っていません。

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尾瀬と東京電力

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尾瀬と東京電力

「夏が来れば思い出す はるかな尾瀬 遠い空『夏の思い出(江間章子作詞・中田喜直作曲)』」

原発事故で、世論の厳しい荒波にのまれている東京電力ですが、平成19年に29番目の国立公園に指定された「尾瀬国立公園」で、約3万7200ヘクタールのうち、群馬県側の約1万6千ヘクタールを所有し、環境保護などのために毎年約2億円を拠出。木道の管理や湿原の回復などの環境整備を行っていることは、あまり知られていません。

尾瀬を散策したことがある方なら、「東電小屋」という山小屋の名前を耳にしたこともあると思います。

(以下、東京電力のHPより抜粋)
“もともとは、尾瀬の豊富な水を発電に生かそうと、1916年(大正5年)、当時の電力会社(利根発電)が尾瀬の群馬県側の土地(群馬県側だけは当時から私有地となっていた。福島・新潟県側は当時も今も国有林)を取得、1922年(大正11年)には関東水電が水利権(河川や湖沼の水を利用する権利)を取得しました。

しかしながら、度重なる戦争や震災で大規模な開発が難しかったこと、また、当時から尾瀬の自然は守るべきだという声が強く、政府内も二分されていたことなどがあり、計画が実現しないまま、尾瀬は1951年(昭和26年)の東京電力設立時に、前身の会社から引き継がれたのです。それが、尾瀬と東京電力の出会いの始まりです。現在、尾瀬国立公園全体の約4割、特別保護地区の約7割の土地を所有しています。

荒廃したアヤメ平昭和30年代後半に、尾瀬の美しさにひかれてやってくるハイカーの数が増えるにつれて、また、当時は木道や公衆トイレなどの設備が整っていなかったため、尾瀬の自然は瞬く間に荒廃していきました。東京電力は、その頃から、一度失われた自然を守ろうと、尾瀬の“自然保護”に力を注ぐようになったのです。踏み荒らすことなく、人と自然が触れ合えるように約20km(全長65km)にわたる木道の敷設やアヤメ平の湿原回復作業などに取り組んでいます。”

「なんだ、元々はダムの底に埋めるつもりだったのか!?」…なんていう少し辛辣な意見も聞こえてきそうですが、冬が来るたびに傷んで修復が必要な木道を地道に直してくれているのは、何を隠そう東京電力さんなのです。実際に、東京電力に入社した若手社員は、社員研修の一環として、尾瀬でこういった活動に参加していると聞きました。

近年、多くの登山客が押し寄せ、ごみやトイレの汚水問題等で、尾瀬の自然も破壊されているといわれていますが、それでも尾瀬ヶ原を囲む山々から見下ろす箱庭のような景色は、日常の嫌なことをすべて吹き飛ばしてくれるほどの絶景で、自然の尊さを実感出来ると思います。

今回の原発事故の対応では、組織の性格上、いろいろと問題が露呈してしまいましたが、その一方で、こうしている間にも、電気の安定供給のため、尾瀬の自然を守るために、日々努力してくれている方々がいることに感謝したいと思います。

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【地代】『山小屋はいらないのか』

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【地代】『山小屋はいらないのか』

三俣山荘の伊藤正一氏の著作ですが、登山ガイドではなく、伊藤氏の経営する山小屋の地代訴訟について世に問う内容です。

三俣山荘は、北アルプスの奥地、黒部川の源流近くにある山小屋です。山小屋のある場所は国有林すので、国(林野庁)に対して地代を払う必要があります。国はその地代増額請求の際、それまでの「定額方式」から「収益方式(毎年の営業報告書の提出を義務付け、総売上(経費を控除しない額)と設備投資費を報告させ、総売上の1%~3%を地代として徴集する。)」に地代算定方法を改める…とした通達に対して、山荘側が争った事件です。

結論から申し上げますと、1981年の通達から20年以上の歳月を得て、国の主張である「収益方式」による地代が認められ、山荘側が敗訴しました。(本著は裁判の途中で刊行されましたが、現在三俣山荘のホームページにその後の顛末が書かれています。)

現在では、都心部の店舗等を中心に収益方式による家賃の決め方は一般的になっていますが、当時としてはかなり画期的な決め方だったのでしょうね。

不動産鑑定評価基準には、「不動産の価格は、一般に当該不動産の収益性を反映して形成されるものであり、収益は、不動産の経済価値の本質を形成するものである。」とあり、その不動産の生み出す収益こそが、不動産の価格や賃料を求める際の基準になることは、合理的と考えられます。

しかし、不動産の収益性を分析するに当たり、単に「収入」だけを重視するのは非常に危険で、「収入」と同時に「費用(必要諸経費)」をしっかり把握する必要があります。

費用の中には、水道光熱費のように月々の支払いとして見える形で把握されるものもあれば、大規模修繕費のように今は発生していないけど、いつか必ず必要になる費用も存在します。また、貨幣額として把握されないものの不動産事業を経営していくに当たり様々なリスクがあり、これらは主に還元利回りに反映されます。今すぐ払わなくてよいものと言うのはついつい見えなくなってしまいますね。

不動産の経済価値を把握する際にはこういった費用もしっかり見極める必要があります。

よく、収益不動産(ビルの一棟売りや投資用マンション)の宣伝で、「利回り●●%」なんていうのがありますが、たいてい『粗利回り』…即ち、収入に対しての利回りで費用は考慮していなかったりしますね。築年数が経過している古い物件ですと利回りがとても高かったりしますが、実際には修繕費がたくさんかかってしまったり、近い将来大規模修繕や建替えのためにたくさんお金がかかったりするものです。

さて、話を戻しますが、山小屋の「費用(必要諸経費)」って、どんなものが考えられるでしょう?

ぱっと思いつくところでは燃料代や食費、人件費等が考えられますが、深い山の中では建物の消耗も激しいので、大規模修繕の積立も普通の建物より多く必要でしょう。また、山小屋は登山者の安全な登山を守る義務を負っています。登山道や水場、トイレ等の整備や遭難者の救助活動等々、小屋の経営に直接関係しない部分も、それらが半ば義務であることが公然であることから山小屋の必要諸経費に加えて考えるべきでしょう。実際、山小屋に宿泊しない登山者も山小屋には有形無形の恩恵を受けているのであり、こうした部分を評価しないと山小屋が成り立たなくなってしまいます。こういった部分も、継続賃料の差額配分法における配分率決定においては「借主の近隣地域の発展に対する寄与度 」として考慮されるべきでしょうね。

私も、昨年8月に「黒部五郎岳」、9月に「雲ノ平」に行った際、三俣山荘で休憩させていただきました(降りしきる雨の中で温かいコーヒーが美味しかった)。

どの登山口からでもまる1日~2日かかる山奥では、水や食事、夏季には医療(岡山大学医学部の医師・看護師が滞在)まで提供してくれる山小屋のありがたさが身に染みました。

もし、山小屋の地代の案件が来たら、しっかり現地実査して説得力のある鑑定書書いてみたいものです。

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